日産スカイライン350GT Type SP(FR/5AT)【ブリーフテスト】
日産スカイライン350GT Type SP(FR/5AT) 2007.02.20 試乗記 ……462万9200円総合評価……★★★
新しい足まわり、ハイレスポンスなエンジンをひっさげて登場した新型「スカイライン」。もっともスポーティな「Type SP」で、その走行性能を試す。そして気になるアクティブステアの感触は?
「GT」のコンセプトが定まっていない
まとまりのいいスタイリングに適度なサイズをもつFRセダンとして、日産にとっては重要なモデルが「スカイライン」。今回のモデルチェンジでボディはさらに剛性感を増し、内装もしっかりした造りの良さは認められる。この基本を大切にして育っていってほしい。しかしチューニングはまだまだこれからで、課題は山積していると感じられる。
4WASはオプションで正解。日産もこんなことやってますという技術チャレンジはアピールできる。生産化していく段階で技術は進化していくから、実験開発レベルよりは進んでいる、これからのチューニングに期待する。
思うに、「GT-R」ではないただの「GT」をどういう性格のクルマにするか、という明確なコンセプトが見えないというか、目標が定まっていないのではないだろうか。
巷の期待はGT-RがBMWの「M」であるならば、GTはせめて「320」とか「530」などフツウのBMW並みのスポーティなFRセダンのレベルは確保してほしいところ。実用車はFFの「ティアナ」などに任せておけばいい。日産がBMWに対して優位な点があるとすれば、FF、FR両方の車種構成をもっていることだろう。FRなりの性格分けを選べるはずだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2006年11月20日に発売された12代目となる「スカイライン」。セダンが先行で発売され、クーペは秋に発表される予定になっている。エンジンラインナップはハイレスポンスを謳うV6ユニット、「VQ35HR/VQ25HR」の2種が用意され、組み合わせられるトランスミッションはいずれも5段AT。サスペンション形式は従来の4輪マルチリンク式から改められ、前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンクを採用したのも今モデルの特徴である。
(グレード概要)
テスト車はトップグレードとなる「350GT Type SP」。パドルシフトやアルミペダルなどスポーティな内装だけでなく、前後330φの大径ブレーキディスク、18インチタイヤ、硬められたスポーツチューンドサスペンションを標準装備する。テスト車にオプション装着される「4輪アクティブステア(4WAS)」は、車速に応じて前後輪の切れ角とステアリング操舵力を制御するというもので、スポーティグレード(Type SP、S)でのみ選択可能。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
メーター収納部やセンターコンソールなど、立体的な造形は見やすく仕上げもきっちり良好。しかしながら、白文字、赤の針、青の丸線の組み合わせは色がやや玩具っぽい。ハンドル周辺は見た目に重く、GT(グランツーリズモ)らしい雰囲気がたりないと思われる。
固定式のシフトパドルは重畳、考え方が正しい。下方へ長い形状もちょうどいい。ナビや空調、オーディオ関連は操作しやすく、アナログ時計も見栄えがよい。緊急時に反復して使えない二度踏みリリース方式のサイドブレーキは要再考。
(前席)……★★★
サイズ、形状、革装の仕上げも上々。座った時の操作系との位置関係もうまく調整できる。ボンネットやピラーと座面高の織りなす前方の眺めも良好。座面の後傾角は見た目にはいいけれども、クッションの硬さ配分として腰を後ろに押しつける方向性が少々不足。バックレストを倒し気味に座るとヘッドレストが遠いのも気になるところ。ギアボックスの張り出しで広々感は削がれるものの、このFRゆえのタイトさを好む人は多いため、別段マイナスポイントではない。
(後席)……★★
思ったより狭い。ホイールベースの長さや4ドアのメリットを活かしきれていないようだ。クッションの厚みが空間を圧迫しており、膝まわりの余裕もあまりなく、爪先が前席下に入るスペースはミニマム。ヘッドクリアランスもさして余裕はない。背もたれの角度は寝過ぎていて長時間では疲れるだろう。
乗り心地としてはヒョコヒョコ揺さぶられて落ちつかない。G的なショックはマイルドながら、変位的に動かされる量が大きい。乗降性も鴨居敷居が邪魔なのはボディ剛性のための犠牲か。
(荷室)……★★★
並というか必要な容量は確保されている。駆動系やサスペンションの張り出しが大きいぶんスクエアには使えないが、奥行きは深い。リアウィンドウ後端とバンパー高で決まる開口部の広さも広いとはいいがたいが、リッドは上まで大きく開くし通常の使い勝手は良好。ランプのデザイン処理で狭くなりがちな横方向開口部もまずまず。軽く小さな荷物を抑えるネットなどの備えはない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
エンジンは滑らかで静粛に回る。トルクとレスポンスも排気量なりに期待に応え、総じて感触の良いエンジンといえよう。だがGTカーとして見ると、シャープさとか高揚感は今ひとつ。5段ATも変速ショックは抑えられているものの、意気に感ずる部分はなく受動的な事務処理。ギアレシオはまずまず。よって右足の動きと体感加速の関係は、重たいクルマのそれとなってしまう。レスポンスとは踏み込み量ではなく、踏み込み速度に対する感応ではないかと思う。そのあたりを鑑み、自然な味付けにする余地は大いにある。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
GTカーたるもの何よりも操舵感を大切にしたい。この仕様の評価は★2つだ。まず路面によっては直進が乱されがちなこと、微舵修正時のフリクション感が大きく、サラーッとした清涼感がないことで、感触はよろしくない。コーナーでは舵角を決めにくい。意思通りコースを辿れないのは、クルマ自体に余計な動きがあって進路を邪魔するからだ。結果として操作がラフになり、雑な運転を強いられることにイライラしてくる。乗り心地は振動が多く、姿勢はフラットさを保てないから落ちつかない。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年1月29日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年式
テスト車の走行距離:9297km
タイヤ:(前)225/50R18(後)245/45R18(いずれもブリヂストン POTENZA RE050A)
オプション装備:アクティブAFS(3万1500円)/ETC(3万1500円)/カーウイングス対応ナビゲーションシステム(HDD)+バックビューモニター+インテリジェントクルーズコントロール+プリクラッシュシートベルト+インテリジェントブレーキアシスト(41万8950円)/BOSEサウンドシステム(12万5750円)/カーテン&サイドエアバッグ(8万4000円)/4輪アクティブステアリング(4WAS)(13万6500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(4):山岳路(2)
テスト距離:369.1km
使用燃料:48.0リッター
参考燃費:7.69km/リッター

笹目 二朗
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