ジープ・チェロキー/グランドチェロキー/ラングラー【試乗記(前編)】
聞くと忘れる。見ると憶える。(前編) 2003.05.17 試乗記 ジープ・チェロキー/グランドチェロキー/ラングラー 都会の真ん中でオフロード体験ができる! 「ジープと呼べるのは、ただひとつ」と誇らしげに謳うジープが、東京台場に特設会場を設営して「Jeep EXPERIENCE Tokyo 2003」を開催。一般公開に先立ち、『webCG』記者が泥濘コースで四苦八苦!? 拡大 |
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お台場のジープワールド
フジテレビの本社社屋をのぞむ東京はお台場の空き地に、ちょっと驚くほど本格的なオフロードコースが出現した。「Jeep EXPERIENCE Tokyo 2003」と呼ばれる、ジープの悪路走破力を見てもらう体験試乗会を開くためである。
「お台場には、週末に家族でよく来ていました。それで、ココに大きな空き地があるのを知っていたんです」と話すのは、ダイムラークライスラー日本のクライスラー部門副社長ジョン・D・タンジェマン氏。Jeep EXPERIENCE をお台場で開催できないか、とスタッフに検討を要請し、「これほど都心に近い所でオフロードコースを設置するのは初めて」な、イベントが実現した。
2003年5月17日、18日の週末2日間で、1400組のユーザーを招いて体験試乗会が実施される。それに先立つ5月16日、プレス試乗会が行われた。
11カ所の障害が設けられた500mほどの特設コースは、オフロードコース設営の専門家ウェブ・アーノルドさんによってつくられた。本番のための、つまり“トレイル”こと大自然のなかを行くオフロードツーリングで必要な基本テクニックが体験できるよう、実によく考えられたコース……というのは、説明を受け、実体験して、初めてわかったことである。
説明会場となった大きなテントを出ると、お台場の街の一角が、ジープワールドになっていた。敷地の隅には、ジープのカタチをした巨大な風船(?)が風に揺れ、ジープグッズやアクセサリーを展示・販売するテントがあり、ジープの2003年モデルが並ぶ。なろうことなら、焼きそばやたこ焼き……じゃなくて、ホットドックやハンバーガーの店も出して欲しい。
ときどき強い雨が降る、オフロードコースの難易度をあげる最適な天候のもと、テストドライブが始まった。
■サスペンションの性能と……
ぬかるんだ足もとに気を付けながら、いまやジープの中核モデルとなった「チェロキー」に近づく。ドアを開けて、泥だらけのクツに一瞬乗り込むのを躊躇したが、ちゃんとゴム製のトレイがフロアに敷かれていた。白いボディに黒い革内装。大きなサイズの、ソファのような座り心地がいかにもアメリカンだ。チェロキーの最上級モデル「リミテッド」である。
チェロキーの2003年モデルは、16インチアルミホイール、レザー内装が奢られた「リミテッド」(350.0万円)、スチールホイールとファブリックの「スポーツ」(299.0万円)に、中間グレードとして「レネゲート」(330.0万円)が追加された。これは、ルーフバスケット、ハイビームと連動するルーフライトバー、チューブ式サイドステップなどでドレスアップされたチェロキーで、リーズナブルな価格設定が奏効したか、初期ロットの150台はすぐに売りてしまったという。現在、次の船便が日本へ向かっている。
機関面では、3.7リッターV6SOHC12バルブ(210ps、32.1kgm)と4段ATの組み合わせのみ。4輪ディスクブレーキが全車標準装備となったのが新しい。価格は、リミテッドが18.5万円、スポーツが22.5万円、引き下げられた。
「Jeep EXPERIENCE」と書かれたウッドゲイトからスタートすると、凸凹が交互に続く「サスペンションバンプス」。前を行くクルマのリジットサスが、左右に大きく傾いて、ストロークの豊かさを証明する。……と観察していたら、自車の、予想外に大きな揺れと傾きにキモを潰す。続く大小の岩が敷かれたロックセクションでは、チェロキーの腹に岩がゴリゴリ当たるではないか! 「サスペンションの働きと、フロアの頑強さを知ってもらう区間です」というウェブさんの言葉を思い出して、ココロを落ち着かせる……。
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太っ腹な企画
最初の一周を終えると、次にやはり白いボディの「グランドチェロキー」を選んだ。4.7リッターV8(222ps、40.1kgm)を積む「リミテッドV8」(495.0万円)、つまりジープブランドのフラッグシップだ。贅沢にも、ふんだんに泥にまみれている。車内は、タンのレザーシート、革巻きステアリングホイール、ウッド調インストゥルメントパネルがラクシャリー。
バンプセクションを抜けると、片足を小山に乗せての“逆バンク”旋回コース。グワッとボディが傾き、顔の横に地面がある、ような気がする。「傾斜は38度に抑えておきました。これ以上になると、ちょっとコワいですから」とウェブさんから事前説明を受けたが、コレでもじゅうぶんコワいです。
「もっとステアリングを切って!」を指示する車外のスタッフを見ながら、2002年モデルより35万円も安くなったけれど、「それでも495万円、495万円、495万円……」と、金額が頭のなかをグルグルまわる。ドアミラーが、泥の路面をひっかきそう。
小山、とは言いかねる、本格的に土盛りされた山に登る。空だけを見ながら。頂上ではスタッフのヒトから、「4L(副変速機が4WD-Low)の1速になってますね」とギアを確認される。目の前には、何も、ない。地面が見えない。
「ブレーキを踏まないで、そのまま降りてください」と青いブレーカーを着たスタッフはこともなげに言う。ブレーキを踏んでタイヤがロックすると、クルマは物理の神のもとに去り、ドライバーのコントロールを一切受け付けなくなるからだ。
「アナタのことを本当に信じてもいいですか?」と、弱気に前に進むと……。
本当に地面に激突するんじゃないかと思いましたよ。
何が心配だったかって、コースの脇で見ているダイムラークライスラーの方が、下りおわったクルマを心配そうな顔で見送っていたこと。考えたら、「Jeep EXPERIENCE」は、自社の商品を存分に痛めつける、まことに太っ腹な企画である。(後編につづく)
(文=webCGアオキ/写真=高橋信宏/2003年5月)
・ジープ・チェロキー/グランドチェロキー/ラングラー【短評(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013287.html

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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