サーブ9-5エアロ2.3TS(4AT)【ブリーフテスト】
サーブ9-5 エアロ2.3TS(4AT) 2001.02.01 試乗記 ……530.0万円 総合評価……★★★★サーブの華
北欧のプレミアムブランド、サーブは、また古くからユニークな技術を持つことで知られる。1950年代から60年代にかけてのサーブ92-96時代に編み出された、燃費向上、2ストロークエンジンの焼きつき防止のための「フリーホイーリング」はあまりにも有名だが、自動車産業が「規模の勝負」になってからもこの小メーカーは熱心に独自技術を磨いてきた。
「外気よりきれいな排ガス」を謳う“トリオニック”エンジンマネジメント・システムなどがいい例だ。なかでもターボの開発に関しては常に積極的な姿勢をとる。単なるパワー追求型のみならず燃費や環境との両立を目指した低圧型など、さまざまなアプローチで製品化を進めてきた。事実、9-5シリーズは、エンジンの種類とグレードを問わず、シリーズ全車が大なり小なり過給される。そのなかで最もパワフルなのが、スポーティバージョンたるこのエアロ。サーブ自前の直4ユニットは、2.3リッターと排気量こそ小さめながら、オペル譲りの3リッターV6(むろん、これもターボ)を軽く凌ぐほどのパワーとトルクを獲得した。いわば、サーブの華だ。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
フロアパンの基本はオペルの現行ベクトラ。弟分の9-3は旧型ベクトラをベースにする。9-5のエンジンは自前の2.0/2.3リッター直4と、オペル・オリジナルの3リッターV6がグレードに応じて用意され、いずれもサーブ伝統のインタークーラー付きターボを備える。過給方式は大別してパワー追求型と燃費重視型に分かれ、後者は低圧ターボと呼ばれる。エアロは、もちろん前者だ。
(グレード概要)
9-5エアロは、その名の通り控え目な空力パーツを身に纏い、45プロファイルの17インチタイヤで足下を硬め、ダッシュボードのウッドフェイシアをカーボン調に改めたスポーティモデル。弟分の9-3エアロと違って、マニュアル仕様は用意されない。ただし、リッター当たり100psの強力パワーが、ただの「雰囲気スポーツ」でない証拠。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
9-5の中でも上から2番目の上級モデルだけに、装備は豊富でクオリティが高く、その大半をフラッグシップ「グリフィン」と共有する。ないのはハイグレードなオーディオやシート(レザー)座面の強制換気、自動防幻ミラーなど僅かなもの。パワーウィンドウがワンタッチで上がらず、ドライブコンピューターの表示も本国仕様のままで分かりづらいのが惜しい。
(前席)……★★★
北欧車らしいシートヒーターと立ち上がりの素早い空調が、冬場はありがたい。メモリー付きのパワーシートが豪華。センターコンソールに配置されたイグニッションが独得だが、他車から乗り換えるとついついコラムをまさぐってしまうのも事実。北欧人を基準としているせいか、ステアリングはチルト/テレスコピックをもってしても若干遠め。
(後席)……★★★★
レッグルームはホイールベースの数値(2705mm)以上に余裕があり、のびやかな天井までの距離や豪華な大型シートとも相俟って、ショファードリヴンにも好適なほど。ただし、グリフィンに備わる後席用シートヒーターは付いていない。
(荷室)……★★★★
スポーティモデルのため、ボディバリエーションはワゴンがなくセダンのみ。それでもトランクの広さと使いやすさは充分以上、クラスの水準を確実に超えている。むろん、バンパーレベルからきっちりと開く。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
「どこでもドア」ならぬ、いつでもターボ。リミットは6000rpmと低めだが、アイドリング直後から全域にわたって過給が効くため、スレトスをまったく感じさせない。しかもターボ特有のクセ、すなわちタービンノイズやパワーの段付き、タイムラグなどがほとんどないため、実に気持ちよく運転できる。パワートレーンのスムーズさは4気筒であることを忘れさせるほどで、エンジンブレーキの効きが弱いのもそのせいか? アイドリングだけはややラフな振動を伴う。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
グリフィンに比べるとなぜか低速でフロントの上下動が目立ち、はじめは落ち着かない印象がする。タイヤが太いだけに目地で鋭く反応する傾向は最後まで残るが、乗り心地全体はスピードが上がるほど改善され、フラットさも増す。自然な操作感のステアリングは美点のひとつ。これだけでハンドリングが楽しくなる。ただし、小まわりは利かない。コーナリングはサイズに似合わず意外なほどテールハッピーで、リアの限界は相対的に低い。だから面白いのだが。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:別冊編集部 道田宣和
テスト日:2001年1月23日から1月24日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:5345km
タイヤ:(前)225/45R17 91W(Michelin Pilot HX/(後)同じ
オプション装備:-
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)
テスト距離:370.1km
使用燃料:51.0リッター
参考燃費:7.3km/リッター

道田 宣和
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