第270回:スクープ! エスティマ・ハイブリッド最強説
2代目は“プロの料理人が通いつめる店”だ!?(小沢コージ)
2006.07.13
小沢コージの勢いまかせ!
第270回:スクープ! エスティマ・ハイブリッド最強説2代目は“プロの料理人が通いつめる店”だ!?
■トヨタ社内で一番人気
いやー、聞き捨てならないことを聞いちゃいましたよ。2代目エスティマ・ハイブリッドの試乗会。
「実はこのクルマ、社内で一番人気があるんですよ。特にハイブリッドの開発に絡んだエンジニアたちの間で」。
というのはトヨタ・ハイブリッドの父の一人、田上エンジニア。単純にハイブリッド・システムの開発をプリウスをはじめ、エスティマ、ハリアー、カムリ、レクサスとすべて見てきたとってもエラくて優秀な方だ。
なんで一番人気なんですか?
「それはね。元々、僕らはエスティマみたいなクルマにこそハイブリッドが必要だと思ってたのがある。ワンボックスはどうしてもボディがデカくて重いから、燃費が悪く、パワーも足りなくなるでしょ。それでいて買う人は家族が多く、金銭的にも余裕がない場合が多い。そういうクルマにこそ、よりパワーが増して、燃費が良くなるハイブリッドが相応しいじゃないですか」。
そりゃそうだ。超正論。でもそれだけが理由じゃないでしょ。“プロの間で人気”ってのは?
「まずはハイブリッドの開発がここに来て一応一段落したっていうのがあります。FFをプリウスとカムリでやり、FFベースの4WDをハリアーとこのエスティマでやり、FRをレクサスGSでやった。エンジンも1.5リッターの直4、2.4リッターの直4、3.5リッターのV6とひと通り組み合わせてみた。そこでだいぶ分かってきた部分があるんですよ」。
というと?
「この2代目エスティマには、FFベースのハイブリッドとしては、現在考えられる最良のシステムが積んであります。まず、作動電圧は初代プリウスの288ボルトじゃなく、650ボルトに昇圧してあるし、加速が良くなるリダクションギアが積んであるし、CVTは初代エスティマが油圧式だったのが、電動CVTになってるし、バッテリーだって樹脂ケースから放熱がいい金属ケースになってる。パワーコントロールユニットもGS用ですよ。ホントに機能が充実してる」。
■今もっともお買い得なハイブリッド
要するにマージャンで言う満貫みたいなハイブリッドなんですね。バンバンババンと役が揃いまくってる?
「ある意味、そうかもしれない」。
一言でいうと“お得”だと。しかも今後、すぐにバージョンアップされ、機能アップされる心配がないと。パソコンみたいにね?
「ん、まあそうかな? あとコイツは10・15モードでリッター20キロとバツグンなのはもちろん、実燃費にも気を使ってるからね。これは数値に表れない性能でね……でもさ。他のハイブリッドだってがんばってるんだよ」。
とまあ最後はだんだんクチを濁してきた田上さん。しかし家政婦(どこが!?)小沢は感じた! これこそ単純に“今もっともお買い得なハイブリッド”ではないかと。もちろん、ミニバンが欲しくなきゃ仕方ないんだけどさ。
しかしこれまた一つのクルマ選びの指針。ひとつ、ご検討くださいませませ(笑)。
(文と写真=小沢コージ/2006年7月)
![]() |

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
NEW
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。 -
第926回:フィアット初の電動三輪多目的車 その客を大切にせよ
2025.9.4マッキナ あらモーダ!ステランティスが新しい電動三輪車「フィアット・トリス」を発表。イタリアでデザインされ、モロッコで生産される新しいモビリティーが狙う、マーケットと顧客とは? イタリア在住の大矢アキオが、地中海の向こう側にある成長市場の重要性を語る。 -
ロータス・エメヤR(後編)
2025.9.4あの多田哲哉の自動車放談長年にわたりトヨタで車両開発に取り組んできた多田哲哉さんをして「あまりにも衝撃的な一台」といわしめる「ロータス・エメヤR」。その存在意義について、ベテランエンジニアが熱く語る。