フィアット・パンダアレッシィ(FF/2ペダル5MT)【短評】
イタリアの楽しさ全開 2006.04.05 試乗記 フィアット・パンダアレッシィ(FF/2ペダル5MT) ……193.0万円 「フィアット・パンダ」がコラボレーションの相手に選んだのは、意表を突いてキッチンウェアブランドの「アレッシィ」だった。鮮烈なグリーンに臆してしまいそうな、超ポップな色合いのモデルに乗った。ALESSIがPANDAを料理すると
黄緑と白のツートーンカラーを目の当たりにして、思わずたじろいでしまった。鮮やかなボディカラーのクルマが少ない日本の路上では、その強烈さがいっそう強調される。でも、このクルマの場合、変に女性に媚びた日本の軽自動車に乗るときのような気恥ずかしさが感じられないのが、不思議といえば不思議だ。
そもそもパンダは人を楽しませる才能に長けている。背の高い2ボックスボディは、派手さこそないが、コンパクトなボディサイズと相まって嫌みのないキュートなスタイルが魅力的だ。一方、インテリアは、色鮮やかなシートや、質感こそ高くないが巧みにデザインされたセンタークラスターなどが、見るからに楽しげな雰囲気を盛り上げている。
そのパンダを素材に、日本でも高い人気を誇るイタリアのキッチン/テーブルウェアブランド「ALESSI(アレッシィ)」とのコラボレーションによってさらに陽気なクルマが生まれた。それがパンダ・アレッシィである。
パンダ・アレッシィは、パンダの最上級グレード「パンダ・マキシ」をベースに内外装にいろいろと手を加えたもの。ボディカラーからしてユニークで、「ゴアオレンジ」「カボエラグリーン」「ダークウェイブブラック」のオリジナルカラーに「ホワイト」が組み合わされたツートーン。さらにホワイトのルーフレールや、ボディ色のフィルムが施されたサードウインドウなど、同じパンダとは思えないほどの変わりようだ。
さらに鮮やかな蛍光カラー
そして外観上のアクセントになるのが白と黒に塗り分けられたホイールキャップ。エアバルブを覆う部分にはアレッシィではお馴染み、子供を象ったマークが記されている。
ドアを開けると、ボディカラーよりもさらに鮮やかな蛍光カラーのシートがいやおうなく視界に飛び込んでくる(ダークウェイブブラックにはグリーンのシートが組み合わされる)。これにはボディカラー以上に面食らったが、ここまで潔いと案外気持ちがいいものだ。センターコンソールには奇妙な穴が開いているが、ここにはiPodが入りそう。蓋を外せば小物入れが現れた。
さらにパンダ・マキシに標準装着されるツインサンルーフの「スカイドーム」も明るい室内をさらに楽しく演出する。イタリアの楽しさ全開……サンルーフ越しに空を眺めていたら、そんな言葉がふと頭に浮かんだ。
走り出せばいつものパンダ
そんなパンダ・アレッシィには、4WDモデルを除く他のラインアップ同様、1240ccの直列4気筒SOHCと2ペダルMTの「デュアロジック」(5段)が搭載されている。
走り出せば、当然いつものパンダと変わらない。最高出力60ps、最大トルク10.4kgmのスペックは頼りないように思えるが、実際は低速でも想像以上にトルクがあって出足は悪くないし、回してやれば3500rpmあたりからトルクの盛り上がりも感じられる。しかもたかだか60psだから、アクセルペダルを思い切り踏み込んでもその性能を持て余すことはなく、うまくエンジンを使い切れば、街なかでも高速でも、クルマの流れに遅れを取ることはない。
デュアロジックはとくに低いギアでシフトアップするとき、シフトショックやタイムラグが目立ってしまうが、シフトアップする瞬間にマニュアル車を運転するようにアクセルペダルを戻してやると、違和感はだいぶ緩和されるからぜひお試しを。一方、シフトダウンについては十分合格点が与えられる。
乗り心地については、一般道、高速を問わず、細かい上下動が気になるものの、ストローク豊かなサスペンションが路面からのショックをうまく受け止めてくれるのがうれしい。
デュアロジックのおかげでAT免許でも運転できるパンダ・アレッシィ。扱いやすいサイズということもあり、イタリアンデザインを思い切り、しかも手軽に着こなしたいという人には楽しい選択になるはずだ。
(文=生方聡/写真=郡大二郎、峰昌宏/2006年3月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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