シトロエン・エグザンティアブレークエクスクルーシブ(4AT)【ブリーフテスト】
シトロエン・エグザンティアブレーク・エクスクルーシブ(4AT) 2001.05.19 試乗記 ……359.0万円 総合評価……★★★★★浸透力がある
日本で買える正規モノのエグザンティアは、どうやらあと100台ほどらしい。考えてみたら、そういう時期になって初めてこのクルマにまだしもちゃんと乗ったんだった。
数年前、ホンのちょっと動かした程度だが乗ったことがある。そのときと較べて、車体のカッチリ感は大幅に上がっている。事情通によると、キューキューモデル(モデルイヤーが1999年)からバージョンアップされて以降こうなったらしい。以前は、思わず「これ、大丈夫かよ!?」てなくらいに繊細というかワラワラしてたのに。まるで別モノ。「それでアシ関係の支持剛性も上がって、乗り味は夢のようによくなりましたね」とは、さっきの事情通談。
オーディオ評論界では「浸透力がある」という表現がよく使われるそうだ。もちろん、ホメ言葉として。ツンツントゲトゲしたところがいっさいなく、抵抗しようのないかたちで優しく耳に入ってきて骨抜きにされちゃうような感じをそういうのだと思うが、クルマの場合でいうとエグザンティアもまさにそのケースではないか。いや、素晴らしすぎる。
ぶっちゃけた話をすると、今回の試乗ではめちゃめちゃ安心したまま快適至極のままトバしまくれてしまった。山道といい、高速道路といい。このエグザンティアが前提であれば、東名の制限速度はそれこそ150km/hでもリーズナブルだと思ったほどだ。
パワートレインやボディ形状の違い等々は、今回かなりどうでもいいやという感じだった。もちろんイヤでは全然なかったわけだけど、「と、とにかくこのクルマを俺は乗りたい!!」。もっと乗りたい。返したくない。モデル末期もいいところに来ているが、改めて眺めれば、サイズも、また見た目におけるコンサバ度とアバンギャルド度のバランスも絶妙だ。
そういえばエグザンティア、小林彰太郎先生が最近新車を購入されたらしい。笹目(二朗)さんも買ったか買うことにしたかしているらしい。タクミ(吉田 匠)さんも持っている。やっぱりな。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ダブルシェブロンの中堅モデル「エグザンティア」は、1992年にリアハッチをもつセダンがデビュー。いわずと知れた、オイルとガスを用いた油圧制御サスペンションが最大の特徴である。ブレークことステーションワゴンが登場するのは、セダンに遅れること3年の95年。98年にフェイスリフトを受け、同時にボディ各部の強化、エンジンのツインカム化、4段ATの新開発「AL4」型への変換などが行われた。日本には、セダンに3リッターV6DOHC(190ps)と2リッター直4ツインカム(130ps)、ブレークは2リッターのみが輸入される。
(グレード概要)
エグザテンティアブレークには、「SX」と上級版「エクスクルーシブ」の2グレードがあり、サスペンションシステムが、前者は「ハイドロニューマチック」、後者が「ハイドラクティブII」なのが最大の違い。ハイドラクティブIIは、ボディ各所のセンサーからの情報をコンピューターが分析、瞬時に足まわりの硬さを変更するアクティブサスペンションである。「ノーマル」「スポーツ」と2つのモードが用意される。装備面では、エクスクルーシブが、ボディ同色バンパー、革巻きステアリングホイール、ダッシュボードやドアにウッドパネルを配した「ウッドタイプトリム」などを備えるのが差異となる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
分別あるオトナが乗るクルマの目の前の景色として非常に相応しい。突飛なところはどこといってなく、むしろきわめてラショナリスティック(合理的)だ。最近はウジャジャけた“デザイン”ばかり見せられているので、実に落ちつく。もちろん、使い勝手も良好。安っぽいとはまったく思わなかった。むしろ、部長超級エグゼクティブのデスクトップ環境を思わせもした。ハンドルの形状や直径やリムの太さも適切(最近はそんなことも褒めなければいけなくなった)。
(前席)……★★★★★
「トケそう」なよさに関してシートが果たしている役割は、おそらくかなり大きい。体感上厚すぎず伸縮性に富み、さらに滑らず、そしてどこか起毛系の感触もある布。とても現代のクルマのものとは思えないほど柔軟性豊かで、「かける」というより「沈みこむ」というか「埋もれる」ようなクッション。それでいて、姿勢保持も良好。たわみ特性とアシの動きのマッチングもいい。果たしてレザー仕様もこれほどヨイかどうか、少々心配。
(後席)……★★★★
ワゴンならではの後方まで平らに延びた屋根のおかげで★4ツと、なろうことなら半個増(頭上空間の余裕改善)。かけ心地は基本的に前席と同じ。いずれも実用車のセオリーと比較して、より低く寝そべる感じで座らせることで、巧妙にシトロエンならではの独特の住み心地を創出している。一方、特に指摘すべき破綻(尻が前にズレる現象や後席における足裏と床の角度のマッチングの不良等々)はナシ。
(荷室)……★★★★★
デカい。見事に四角い。サスペンション関係の出っ張りも少ない。床が低い。内装がいい雰囲気(色のせいもあるかもしれないが明らかにプジョー406ワゴンよりオトナ) 。PSA (プジョーシトロエングループ)車の常で、スペアは車外露出タイプだから、荷物満載時にパンクしても手間増えず。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
PSAのガソリンエンジンの常で、負荷の高い中間加速は苦手。たとえば、高速道路本線車道への合流とかでは少々イラつく。が、ひとたびスピードに乗ったあとはハッキリ速い。これも例によって、オートマ関係は特にシフトゲートの使い勝手のよさが光る。くだらないプラスマイナス(シーケンシャル)変速機構の10倍はイイ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ロングホイールベース。断じてダルではないがあくまでリアの踏ん張りを優先する操舵反応特性。強烈に効かされたフロントのアンチダイブとリアのアンチスクウォット。高度にプログレッシブなエアサスのバネレート。そしておそらく、最新の水準からすると明らかに細く背の高いタイヤのサイズ設定。
それやこれやで、快適なソフトライドと高いスタビリティとのバランスは最高。山道をトバせば前輪ショルダー部はそれなり深く接地するが、とにかくコワくないことコワくないこと。ここまでとことんイキたくさせられたのは、現行メルセデスベンツEクラスのニーサンマル以来の体験だ。
ウニョウニョした独特の揺れの感じは、ハイドロサスならではのユーモラスなオマケ。ハイドラクティブIIには「ノーマル」「スポーツ」の切り替えスイッチが備わるが、あえてスポーツモードを選択せずとも、それが必要な際はクルマが勝手にやってくれる。
(撮影=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者:森 慶太
テスト日:2001年4月19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:1万0610km
タイヤ:(前)185/65R15 88H/(後)同じ(いずれもMichelin Green X)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:315.5km
使用燃料:45.5リッター
参考燃費:6.9km/リッター

森 慶太
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