トヨタ・ラクティスG“Lパノラマパッケージ”(FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ラクティスG“Lパノラマパッケージ”(FF/CVT) 2005.11.01 試乗記 ……226万9050円 総合評価……★★★ “カーゴ”風味を捨ててスポーティに生まれ変わった、ファンカーゴの後継たる「ラクティス」。パノラマルーフを搭載するトップグレード「G“Lパノラマパッケージ”」に乗った。
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お手軽で気安い
前任車のファンカーゴも非凡なデザインであり、けして退役勧告を受けるほど色褪せてはいないが、シリーズ全体の新陳代謝を考えると止むなしというところか。新型「ラクティス」のほうがむしろ平凡ではあるが、新しい試みも随所に見られ、トヨタ・デザインも少しずつ進化しつつあることを感じさせられる。
車体の造りのよさはトヨタの伝統ともいえ、開口部面積は大きくともボディ剛性はしっかり確保されており、その割りにサイドシルの張り出しも少なく乗降性は良好。低いフロアと高いルーフはラウムなどでも見られた手法で、コンパクトな外寸ながら広々とした居住空間を得ている。コンビニへの買い物とか、近くの駅までの送迎とか、お手軽に気安く乗るには最適な1台といえよう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年夏、初代「ヴィッツ」から派生した小型トールワゴン「ファンカーゴ」が誕生。商用ワゴンのような、でもファニーなルックスと、小さくても使えるという機能性などをセリングポイントとした“携帯空間”(コマーシャルキャッチ)が、名を「ラクティス」に変え登場した。
テーマは「高速大容量スタイリング」とまるでネット回線の謳い文句のようだが、走行性能、パッケージ、ユーティリティ、スタイリングなど、ぐっと男の子向けになったのが特徴。「多様なニーズに1台で応えるハイクオリティコンパクトカー」を標榜する。
エンジンは1.3リッター(Xグレード)と1.5リッター(Gグレード)の2種類。トランスミッションはFFがCVTで、1.5リッターにはパドルシフト・スポーツモードを備える7段マニュアルモード付き「アクティブCVT」を採用した。1.5リッターのみに設定される4WDにはコンベンショナルな4段ATが与えられる。
車内のウリはシートアレンジ。後席中央の座面を180度回転させるとあらわれる「リアセンターマルチトレイ」や、後席を格納しフラットなフロアをつくりだせる「ダイブインシート」(FFのみ。4WDは座面を前席シートバックに寄せる「ダブルフォールディング」)、前席背もたれを倒し足を伸ばして後席に座れる「カウチソファモード」などがある。 一部グレードに標準装備される「パノラマルーフ」が開放感を演出する。
(グレード概要)
G“Lパノラマパッケージ”は、1.5リッターモデルにLパッケージとパノラマルーフがついたトップグレード。Lパッケージはスマートエントリー&スタートシステムやオートエアコン、CD・AM/FMチューナー付きラジオ+6スピーカーなど、快適装備が充実する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
メーター類はウィンドスクリーン直下の上の方で遠くに位置し、前方から視線の移動が少なく見やすい。老眼気味の人にも歓迎されるだろう。計器そのものも反射による写り込みがなく表記も判読しやすい。タコメーターはこのクルマの場合過剰装備かもしれないが、もちろん邪魔ではなく歓迎する人も多いはず。空調やオーディオ/ナビ関連のスイッチ類や配置はシンプルにして良好。フィニッシュもトヨタに期待するレベルにあって上々。センターダッシュパネルの下部張り出しは膝で身体を支えられるから横Gにも有効。
(前席)……★★
面が水平に近く後傾角が少ない腰掛けタイプ。長距離、長時間走行には向かない。しかしこの車のキャラクターとしては都市部向けの短距離ランナーゆえ平板なほうが頻繁な乗降に有利と判断されたようだ。高めに座って眺めは良好、ウィンドウ傾斜は強いほうだが広大なガラスルーフの効果で室内は明るく開放的。ルーフも十分に高く電動のシェードも厚みを抑えてあり無用に天井部分は犠牲になっていない。
(後席)……★★★
フロアは低くルーフは高く居住空間は広い。シートはかなり小振りで座面の前後長は短く背面の丈も短め。ヘッドレストは普段ドライバーの後方視界を妨げないように収納されており、引き上げて使うタイプ。折り畳んで使われることを想定したシートにしては座り心地はまずまず。高めに座る構造上、膝を曲げずに座れ足先も前席下に余裕をもって入れられるため、窮屈な感覚は一切なし。
(荷室)……★★★
面積としての広さは特別大きくはないものの、低いフロアと高いルーフによる天地方向の余裕が大きいのが特徴。相対的に間口は狭が1mは確保されている。バンパー高も低くて積み卸しもラク。もちろんリアシートはワンタッチで畳めるし、FF専用のシャシーフロアは出っ張りもなく低く平らなため有効に使える。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.5リッターという排気量相応のトルク感は希薄だが、スムーズで気持ちよく回せるエンジン。7段マニュアルモードを駆使すればスポーツドライビング感覚も味わえ、CVT特有の変速ショックのないスムーズな運転が可能。シフトレバーはハンドルに近く、ハンドルと一体で回るパドルシフトを嫌う人にも文句を言わせない。ただ、自動変速スポーツモードの必要性には疑問を感じた。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
乗り心地、ハンドリング共に良好。見るからに重心高が高そうなボディのわりにはロールはよくチェックされており総じて軽快に走る。電気モーターによるパワーステアリングは直進付近においてやや落ち着きを欠く。サスペンションはストローク感にこそ乏しいものの、ハーシュネスなど前後G的なショックは軽く受け止められ、総じてフラットな姿勢を保ち不快な部分は少ない。どちらかと言えば、前席に比べて後席のほうが乗り心地悪く上下の動きは大きめ。
(写真=荒川正幸(A)・高橋信宏(T))
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2005年10月14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1036km
タイヤ:(前)175/60R16 82H(後)同じ
オプション装備:ディスチャージヘッドランプ(4万7250円)/SRSサイドエアバッグ(前席)&カーテンシールドエアバッグ(前後席)(6万3000円)/HDDナビゲーションシステム(28万5600円0/175/60R26 82Hタイヤ&16X5 1/2Jアルミホイール(7万3500円)/ETC(1万4700円))
走行状態:市街地(1):高速道路(6):山岳路(3)
テスト距離:300.7km
使用燃料:22.5リッター
参考燃費:13.4km/リッター

笹目 二朗
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