レクサスIS250バージョンS(FR/6AT)/IS350バージョンS(FR/6AT)【試乗記】
ブランド抜きでもいい 2005.09.26 試乗記 レクサスIS250バージョンS(FR/6AT)/IS350バージョンS(FR/6AT)……442万8000円/523万3500円
トヨタ高級ブランド「レクサス」のニューモデル「IS」。1998年にデビューした「アルテッツァ」の新型となるプレミアムスポーティセダンに、小林彰太郎が試乗した。
もっと冒険したデザインを
2005年8月30日に日本全国で展開を始めたレクサスブランド。オープン時に用意された「GS」「SC」の後を追い、9月30日に発売されるのが、「インテリジェント・スポーツセダン」を名乗る「IS」だ。
今回は2.5、3.5リッター両モデルのスポーティグレードである「バージョンS」に試乗した。
まずスタイリングだが、コンサバすぎるきらいがある。プレスや塗装などは上等であるが、デザイン面では今までの日本車と特にかわらないし、大衆車との決定的な差が感じられない。もちろん日本車なのではあるが、せっかく鳴り物入りで海外から逆輸入してきたわけで、もうすこし冒険してくれてもよかった。また個人的には、レクサスのエンブレムもいまひとつ高級感に欠けると感じた。
乗り込んでみると、メーターなどの意匠、トリムやダッシュボードの質感などに非常にクオリティ感がある。またパドルやスイッチを操作すると適度なタッチ、重みから、高級感を感じることができる。唯一ステアリングの感触が好ましくなかった。手が触れる部分だけに、残念である。
昨今のクルマはモデルチェンジの度に大きくなり、日本で乗るには幅が広いクルマも多くなってきた。そんな中、このISに関してはボディサイズも適正と感じる。また全幅があまり広くない割に、室内の有効幅が広く作られており、世界市場を相手にするレクサスブランドとしては、体の大きな外国人をも満足させることができるだろう。
“ダンナ仕様”ではない
走り出してすぐに気になるのは、自動的にドアロックがかかってしまうところ。スーツを着たビジネスマンがクルマで目的地に到着、しかしドアが開かず後部座席のジャケットが取れない……、というのはカッコ悪いではないか。安全のためとはいえ、日本はそこまで危険な国ではないはずだから、仕向地によって設定を変えるべきではないだろうか。ディーラーでカスタマイズできるそうだが、そうであれば、ロックしない設定をデフォルトにしてほしいところである。
足まわりは硬めではあるが、走るには気持ちよく、ちょうどいい硬さだった。ISは高級車と位置づけられているが、後席に座るクルマではなく、スポーティなオーナードライバーサルーン。そういうツボにははまっており、期待して購入した人は必ず満足するだろう。
高級サルーンだからといって、旧来の“ダンナ仕様”のように飾り立てたものではない。逆にそれを期待すると、乗り心地が悪いと感じるに違いない。名前だけで、「レクサスブランドだから買う」ということはしないほうがいい。
このクルマのターゲットは前者であり、ダンナ仕様を好む向きは無視してもかまわないと思う。
ユーザーの嗜好を考えれば、多少スピードを上げた走行も多くなるはずだ。そうなれば、コーナリング時のアンダーステアをもう少し消して、ニュートラルに、そして3回転ほどのステアリングのロック・トゥ・ロックを、もうすこしクイックな設定にしてもいいだろう。
試乗車に限れば、直進からの切り始めにおいてIS350の方がダルで、IS250のほうがステアリングフィールはよかった。個体差なのか前輪荷重の問題なのかはわからないが。
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IS250が好ましい
エンジンはどちらも有効なトルクのレンジが広く、非常にねばる。これだけいいエンジンであれば、トランスミッションは5段で十分とも思う。まあこれは欧州でのニーズ(燃費対策)に対応したものなのだろう。
3.5リッターはパワーの余裕が相当ある。余裕があるにこしたことはないが、このクルマには2.5のパワーでも十分。なお、どちらも静粛で振動が少ないエンジンだが、3.5は排気音が大きかった。無論、騒がしいほどではない。
レクサスというブランドに注目が集まっているが、このクルマはブランド抜きでもとても良いクルマである。すべてを総合して評価した場合、このセグメント(スポーティ4ドアサルーン)ではワールドトップクラスといっていいだろう。
ハードウェアに関して、他の日本メーカーも大いに勉強することがある。ただ、乗り味に関しては従来の日本車を遙かにしのいでいるのだから、デザインで抜きんでていないところが惜しい。
最後に個人的なチョイスを述べると、私は2.5リッターモデルを選ぶだろう。装備、エンジン、足まわりともに非常に満足できる。
予算に余裕があれば、90万円高のIS350もいいとは思うが、ほとんどのユーザーはIS250で十分だろう。
(文=二玄社編集顧問 小林彰太郎/写真=河野敦樹/2005年9月)

小林 彰太郎
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