ルノー・グラン セニック(4AT)【試乗記】
お気楽、極楽 2005.09.14 試乗記 ルノー・グラン セニック(4AT) ……279万8250円 ルノーの3列7人乗りマルチパーパスビークル「グラン セニック」。欧州でバカンスを楽しむ際、1000kmを走っても“楽しい”と謳われるニューモデルに試乗した。フレンチ・スタイル・バケーション
「今日はフレンチ・スタイル・バケーションを楽しんでいただこうと思いまして(笑)」と、ランチで同席したルノー・ジャポンのマーケティングディレクター、フランソワ・ロカさんが語る。今回の試乗会は、東京・練馬のルノーディーラーから軽井沢までドライブ、食事を楽しんで戻るという、プレス向け試乗会では一風変わった趣向だ。目玉のクルマは、2005年9月9日に発表された「グラン セニック」である。
グラン セニックは、メガーヌのプラットフォームをベースにつくられた、3列7人乗りのシートレイアウトをもつマルチパーパスビークル。本国にはメガーヌワゴンと同じ、ホイールベース2685mmの「セニック」もあるが、日本に導入されるのは2735mmとさらに長い“グラン”。標準車の価格は279万8250円、パノラミック電動ガラスサンルーフを備えた「2.0 グラスルーフ」は309万150円と、かなり戦略的な価格設定である。いずれも、メガーヌと同じ2リッターエンジン+4ATのみ。
休暇に1000km以上のドライブを楽しむ“フレンチ・スタイル・バケーション”に最適なクルマ、コレがグラン セニックのウリである。親戚筋にあたる「日産セレナ」「ラフェスタ」に似て、パセンジャーとのコミュニケーションがはかれる、明るく開放的な室内もポイントだ。ロカさんは今夏のバケーションをフランスで楽しんだ際、グラン セニックで家族旅行にいったという。パリを基点に、ニースやイタリアはフィレンツェなどを訪れ、総計で約3000kmも走ったとか。
「とても楽しいし、子供も大喜び。バカンスシーズンのヨーロッパでは、パーキングエリアなどで子供が楽しめるイベントが開催されるんです。子供もそれを知っていて、クルマに乗っていても“次の楽しみ”があるから、飽きることがない」。豊かなモータリゼーションの国が、うらやましい。「もちろん、グラン セニックのおかげでもありますよ(笑)」、セールストークも忘れない。
「フランス車っぽいね」
運転席に座ると、明るいトーンのクロス内装と広いグラスエリアのおかげか、たしかに開放的だ。バックミラーの横に「チャイルドミラー」なる鏡がついていて、後席全体を見渡せる。子供がニコニコしてる顔を見ながらドライブ……オトーサンには幸せだろう。そういう家庭=幸せ、なのかもしれないけど。
車重がメガーヌ2.0に較べて200kg以上重く、ホイールベースは長く、背が高い。なのに2リッター+4ATだから、動力性能に瞠目するトコロはないが、トルキーなエンジンのおかげで不足はない。ギアは4段と現代ではすくなく、2速と3速が離れているため、山道や高速道路の合流では2速でエンジンを回し、なが〜く引っ張ることになる。日本製ミニバンに慣れた目では「カッタルい」が、「フランス車っぽいね」のヒトコトで片づけられる、ともいえる。「ちょっと古くさい」とはいえ。
ただ、日本の道路で常用する3000rpm付近で、室内に低音がこもるのが惜しい。日本の高速道路、100km/h巡航付近で多用する領域だから、改善してほしいと思った。フランスは130km/hで走れるから、関係ないのだろうか。それ以前に、ロカさんも「ディーゼル+MTがメインです」とおっしゃっていたし。
肩がこらない
なんて思いつつ、軽井沢から高速道路へ下る山道で、ハンドリングの“たしかさ”と安心感を感じた。背丈と車重があるから挙動はユッタリしているが、ステアリングホイールを切れば、そのぶん曲がっていく。段差ではフロアが振動するけれど、足腰が華奢な印象を受けない“粘り腰”な足まわりである。
でも今回の試乗コンセプト(?)はフレンチ・スタイル・バケーション。山道もこなせるが、1000kmを流して走るのが主眼という説明どおり、高速道路を走るのがとってもラクだった。真っ直ぐ走るには、ステアリングホイールに手(指でもOK)を添えるだけ。前方にカーブが見えたら「あっちへ曲がってね」とばかり、手のひらの皮がムニっとなる程度に操舵すればツーっと曲がる。電動パワーステアリングのアシスト量もちょうどよく、「これは長距離がラクな、肩のこらないクルマだなぁ」としみじみ思う。常に同じ姿勢を保たなくても、コシやおしりに負担のかからないシートのおかげもあって、ルノー練馬についても疲れを覚えなかった。1000km走っても疲れないと謳うクルマだから、200km強の行程は屁でもなかろう。お気楽、極楽である。
そういえば、ロカさんとお話していたとき、リポーターが「日本で1000km走るヒトは、あまり、いないかと。300kmくらいが“長距離ドライブ”の一般的な距離でしょう」というと、ロカさん、眉をハの字に両手を拡げ、首を横に振りつつ「フランスでは、毎週末ですねぇ」と語り、笑った。つまり日本なら、週末もお盆、年末も、お気楽、極楽ドライブが楽しめる、ということだ。
(文=webCGオオサワ/写真=高橋信宏/2005年9月)

大澤 俊博
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