スマート・フォーツーカブリオ(6AT)【試乗記】
デビュー8年目の洗練 2005.01.31 試乗記 スマート・フォーツーカブリオ(6AT) ……189万円 1997年のフランクフルト・モーターショーで、「ミニマムトランスポーター」の新しい形を提案して衝撃的にデビューしたのが「スマート」だった。8年を経た今、そのコンセプトの価値は生き続けているのか。自動車ジャーナリストの笹目二朗が検証する。基本は不変、細部は改良
「スマート」は登場以来いろいろバリェーションを増やしてきたが、軽サイズのエンジンが外されたので黄色いナンバーのスマートは、そろそろ入荷が終了しそうな気配だ。
「フォーフォー」の登場に伴って、従来の2人乗りスマートは「フォーツー」と呼ばれることになった。1997年のデビュー以来8年目を迎え、基本形は不変ながら、細部においてはいろいろ改良が加えられており、走行性は驚くほど洗練されてきた。
乗り心地の改善はその最たるものだろう。デビュー当初は、「Aクラス」ともどもヘラジカテストなどでも指摘されたように、操縦安定性のマージンが限られ、妙にサスペンションを固めてしまった結果、ゴツゴツした硬い乗り心地が不評だった。次なる対策案はソフトに過ぎて頼りなく、こうした全長が極端に短く重心高の高い車の安定性確保の難しさを露呈していた。
近距離移動だけじゃない
しかし今やミニマムトランスポーターとして、見事に洗練度を高めている。本国アウトバーンでは140km/hくらいで悠々と高速クルーズしているし、個人的には青森県の龍飛岬まで往復した長距離旅行の経験もあるし、近距離移動に限らず身軽で経済的なアシ車であることを確認している。
そして今またさらに乗り心地は洗練度を加え、不満な点はほとんど見当たらない。少なくともスプリングレートやダンパー減衰力は良い設定が得られており、これ以上いじらないほうがよさそうだ。
重心高が高くホイールベースが短いゆえのピッチングについては、基本的には不利な状況下にあるが、これも前後バランスを上手く選んであることにより、かなりのレベルまで気にならなくなっている。日本の軽自動車との違いは、ガッシリしたボディやサスペンションの剛性感による安心感だろうか。
直角駐車の実現を!
ドグミッションとオートクラッチによるATも、マニュアルシフトして積極的に操る場合には問題なかったが、自動シフトに任せると繋がりはやや悠長であり、独特のタイムラグを勘案してスロットルを開けなければならなかった。それが今ではかなりスムーズな変速作業を行うように改善されている。
これもドライバーの努力項目として、各ギアで目一杯引っ張るよりも、軽くスロットルを戻して、早め早めにシフトアップを促す方がスムーズにいく。フルに回して素早い加速を望むならば、やはりマニュアルで押していくほうが自然な感覚ではある。
スマートはやはり可愛らしさが身上でもあるし、小型ゆえの利点はまだまだ大きい。道路に直角に駐車する方法は、我が国では未だに許可されてはいないが、場所によってはスペースの有効利用もできるわけだから、時間をかけて関係諸機関を説得してもらいたいところだ。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸、峰昌宏/2005年1月)

笹目 二朗
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