第228回:新型シビックで発覚!?やっと始まったホンダ・デザイン革命!
2005.09.06 小沢コージの勢いまかせ!第228回:新型シビックで発覚!?やっと始まったホンダ・デザイン革命!
■近くて遠い「シビック」
いやー、発見はっけん大発見! っていうか“やっと”という感じかな。新型「ホンダ・シビック」。と言ってもクルマ単体に関してではなく、“ホンダ・デザイン全般”に関してね。
先日行った新型シビック(プロトタイプ)の先行撮影会。正直、俺的にはシビックは“終わってる”クルマで、なんせ日本じゃ4ドアセダンしか出さないし、3ドアハッチバックや5ドアハッチバック、はてまた2ドアクーペはヨーロッパ、もしくは北米専用なんだもん。
もはや完全に世界戦略車であり、昔の日本人の魂、あるいはホンダファンの足(!?)としてのシビックは望むべくもない。それはそれで仕方なくて、日本でこのクラスは極端に下火だし、そもそも現行フィットが以前のシビックに成り代わって、ありあまる成果を残しているわけだから問題ナシっちゃナシ!
なんつーか、トヨタでいえば3代目以降のソアラとか、三菱エクリプスみたいな存在だよね。もはや“ぼぼ外人”になってしまって、自然に近くて遠い存在になりつつある……と。べつにクルマ自体のデキは悪くないんだけどさ。
ところが見てビックリ! 大変な収穫がありました。というのも新たなホンダのデザイン戦略がハッキリと見えてきたのだ。
■コレがホンダのデザイン路線
まずはボディサイズなんだけど、全長が7センチも伸び、幅も1755ミリあってかなりデカい。シビックっていうより、ほとんど昔のアコード。
肝心のデザインは、高さが前とほぼ変わってないから、かなりワイド&ロー。横から見たフォルムなんかもフロントウィンドウの始まりが極端に前になっているから、恐ろしいほどペッタンコ&スタイリッシュ。「コレってセダン?」って言いたいくらいだ。
さらに驚いたのが顔。ボンネットがV字風に前スボまりになって、フェンダーが横長のライトの上まで回り込んだ、ある意味、現行オデッセイ風の“ワル顔”になっていた。オデッセイの場合、たしか“黒豹”をイメージしたとか開発者さんは言ってましたね。
でね。シビックといい、最近のステップワゴンといい、ホンダは意図的にこういう“ワル顔”にしてるんですか? と聞いたら某広報マン曰く
「ワル顔、とは考えてませんが(笑)、その通りです」。
さらに今後、こういう戦略を取るんですか? と聞くと
「ハイ」と答えたのだ。
うむむむむ。ここ数年、各車てんでバラバラだったホンダデザインは、ここに来てやっと統一されつつあるのであーる! この問題、個人的にはずっと不満で以前、福井社長が就任したときにもボヤいたことがあるんだけど、ようやく解決しつつあるらしい。
そもそも話を聞いた広報マン自体「デザイン専任」だそうで、それだけでも「ホンダは本気だ」って思いました。
■凡庸になったワケ
ただしね。「統一感を出すために、グリルデザインにフォーマットを儲けるとか、決まりごとは設定してない」し、「世界的に有名なチーフデザイナーの起用もなし」だそうな。
さらに俺はこれ幸いと「なんでここ数年のホンダデザインは凡庸になったのか?」を訊いてみたら、納得できる答えが返ってきました。
「個人的見解なんですけどね。今までのホンダデザインは、個性的にするつもりがなくても“自然と個性的になってしまってた”んです。本田宗一郎をはじめ、作り手が強烈でしたから。そしてそれが逆に、全体的なデザイン戦略を考えるのを遅らせることになったのでは? 今後はちょっと違いますよ(笑)」。
うーむ、やっとといえばやっと、これからといえばこれからのホンダ・デザイン。今後に期待したいところだけど、とはいえこの“ワル顔”路線。俺はあんまり好きじゃないんだけどねぇ……。
「デザインは好き好き。賛否両論あったほうがいいんですよ(笑)」とその広報マンは笑ってたけどさ。
(文=小沢コージ/写真=本田技研工業)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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