ローバー & MG フルラインナップ試乗会【試乗記(前編)】
ローバー & MG フルラインナップ試乗会(前編) 2003.10.03 試乗記 「ちょい乗り」報告 ほのかに上品なブリティッシュブランド「ローバー」と、スポーティな「MG」が帰ってきた。ハコネで開催された MG Rover Nippon によるフルラインナップ試乗会に、『webCG』記者が参加。“ちょい乗り”試乗報告をおくります。 拡大 |
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ラインナップ紹介
ローバーの輸入が再開された。2003年7月17日に「英国の名車 MG 及び Rover の発売を開始」とプレスリリースを発したのは、オートトレーディングルフトジャパン株式会社。メルセデスベンツやBMW、ボルボなどを、いわゆる“並行輸入”し、アグレッシブな値付けと販売でのしあがってきた会社である。ベンツの「Aクラス」を日本にいち早く持ち込んで話題になったことは、記憶に新しい。
一方で、「ランチア・イプシロン」「デルタ」「カッパ」それに「フォルクスワーゲン・ビートル」といった趣味性の強いモデルを手がけ、クルマ好きと自動車専門誌にとってありがたい存在であり続けている。現在、ロータス、TVR、バーキン、ACといったブリティッシュ・スポーツのインポート事業、アルファロメオの正規ディーラーを務める。
ローバーとMGを担当する「MG Rover Nippon」は、オートトレーディング内の一事業部との位置づけ。当面、全国6店舗で業務をスタートする。
「MG Rover Nippon」がラインナップするのは、全6車種。
ローバー75のセダンとワゴン。それらにMG顔を与え、足まわりをチューンした「MG ZT」と「MG ZT-T」。いずれも2.5リッターV6(5AT)、右ハンドルである。
・ローバー75サルーン(398.0万円)
・ローバー75ツアラー(425.0万円)
・MG ZT(425.0万円)
・MG ZT-T(443.0万円)
「MG TF135/160」は、かつてMGFと呼ばれたミドシップ2シーターのニューバージョン。エンジン出力の違い、より具体的には「VVC(可変バルブタイミング機構)」の有無によって、136psと160psモデルに分かれる。どちらもステアリングホイールの位置は右、トランスミッションは5段MTとなる。
・MG TF135(295.0万円)
・MG TF160(325.0万円)
なお、輸入中断前にデリバリーされたローバー車は、これまでBMW系の「ローバー・サービス・センター」がメンテナンスしていた。今後は、MG Rover Nippon が引き継ぐことになる。従来のネットワークをどれだけ活かせるかが、アフターサービス面での課題となろう。
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上を向かないで行こう〜ローバー75サルーン
どことなく懐かしく、しかし“懐かし具合”がまるで古びないのが「ローバー75サルーン」である。もともと、ちょっと懐かしい。
BMWと共同開発したプラットフォームに、肩の力が抜けた(ように感じる)スタイリングの上屋を載せ、横置きされたV6が5段ATを介して前輪を駆動する。ボディサイズは「トヨタ・マークII」にほぼ等しい。生産工場が、オックスフォードからバーミンガムはロングブリッヂに変わっても、当たり前のことながら、クルマの基本は変わらない。
ドアを開ければ、ブリティッシュな世界が待っている。粋なパイピングが施された小柄なレザーシートにウッドパネル。自分の部屋にしたい居心地のよさ。カタログ上には、12色のボディカラーと、4種類の内装が掲載される。組み合わせを想像するヨロコビ。
本国では4気筒からディーゼルまで用意されるが、日本に入るのは、最も大きな2.5リッターV6のみ。177psと24.5kgのアウトプットが、1530kgの車重に適度な余裕。1998年デビューのボディは「巌のように頑強」とはいえず、乗り心地も見かけから想像されるほどは素晴らしくないけれど、まぁ、フェアなレベルといえましょう。意外にクイックなステアリングと、ダイレクトなフィールが、英国調といえば英国調、か。
車両本体価格398.0万円。「ジャガーXタイプ」の2リッターモデルより(わずか)10.0万円高にして、Xタイプ2.5よりは40.0万円の大幅安。しかもローバー75には上級車種がないので、オーナーはココロ安らか。
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遅れてきた主役〜ローバー75ツアラー
新生ローバーラインナップ中の目玉商品が、コレ。サルーンに遅れること3年、2001年のバーミンガムショーでお披露目されたローバー75のワゴン版である。エンジン、トランスミッションといった機関面はサルーンと同じ。ただしタイヤはサルーンの「215/55R16」よりワンランクアップの「225/45R17」となる。
バックドアには、ゲイトのほかに、リアウィンドウだけを開閉できる便利機構付き。荷室自体はとりわけ大きくはないけれど、段差のないパンパーとフロア、キャビンとラゲッジルームを分ける引き出し&巻き取り式ネット「インテグラルネットカセットシステム」、買い物袋などを引っかける「サイドウォールフック」など、日常の使い勝手はよさそう。リアシートには、アームレスト部分にトランクスルーが備わり、かつ分割可倒式となる。
魅力的な内外装と比較して、ドライブフィールは“個性がないのが個性”といったところ。75ツアラーのオーナーにとっては、“運転”という雑事に煩わされないで、かえっていいかも。
(文=webCGアオキ/写真=清水健太/2003年10月)
ローバー&MG フルラインナップ試乗会(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000014406.html

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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