日産セレナ20RX(CVT)/20S(CVT)【試乗記】
裏切られることはない 2005.07.07 試乗記 日産セレナ20RX(CVT)/20S(CVT) ……312万7950円/335万9700円 「ホンダ・ステップワゴン」と同時期に発売され、ライバル視される「日産セレナ」。3代目新型に乗った、自動車ジャーナリストの笹目二朗が比較インプレッション。
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乗るとなかなか味がある
新しい「日産セレナ」は、ニュー「ホンダ・ステップワゴン」と発表時期が近いこともあり、最近のミニバンのなかでも注目株だ。新型セレナのウリは、ミニバンに対する要求をわかりやすく満たす“5ナンバー枠内では最大サイズ”。ターゲット・ユーザーを同様に若いファミリー層とするステップワゴンと比較すると、そのアプローチは一見同じでありながら微妙に違う。そこにそれぞれのメーカー色が出ていて興味深い。ステップワゴンは“低さ”やクルマには珍しい装備などを特徴とするが、セレナはあくまでも実用性や使い勝手を主体に仕上げている。
5ナンバーサイズ最大の容量を持つ外寸は、小型車枠いっぱいの全長×全幅×全高=4690×1695×1840mm。ステップワゴンに較べて70mmも上回る背の高さは、室内の天井を高く確保する意図を明確に表しており、ステップワゴンのように低く見せることには執着していない。一方、低めに設定されたステップによる乗降性のよさや、低重心による操縦安定性の向上など、ミニバンのネガを改善するアプローチは同じ狙いだ。トップライトルーフやフローリングフロアのような、新しい試みこそないが経験を踏まえた使いやすさが追求されている。
外観はラジエターグリルやバンパーなどのデザインが異なる2種類の“顔”が用意される。エンジンは2リッター直4のみ、トランスミッションはCVTで、ここは「ラフェスタ」と同じ。サスペンションも特に凝ったものではないが、いずれもチューニングはよく練られたもので、最近の日産車にありがちな促成栽培感はなく、乗るとなかなか味がある。
もう一声
高いルーフと低いフロアで室内はひときわ広い容積を実現した。ドライバーシートに座った印象はダッシュボードの造形や、広いフロント&サイドガラスのおかげもあって比較的すっきりしているが、メーター類そのものは旧態依然として古風。デジタル数字や液晶表示のほうがイイとは言わないが、円盤に針でも見せ方に工夫が欲しい。インパネシフトのレバーを短くし、操作力を補うためモーターでアシストする方式も、使い勝手には一考を促したいトコロだ。
サイドウィンドウを途中から下げて下方視界を改善したことや、そこを利用して「フィアット・ムルティプラ」並みに高く設定したドアグリップなど、乗り込みなどの使い勝手はいい。
室内をパッと見た雰囲気としては、オプション設定のルーフの明かり採りやフローリング風インテリアなどを備えるステップワゴンのほうが明るく開放的。セレナは立ち上がって縦にウォークスルーするときなどに、高い天井のありがたみを感じるが、インテリアの雰囲気には多少、暗い印象が付きまとう。
中央および3列目シートは、全長が長いだけステップワゴンより足元に余裕がある。メーカーによる荷物の詰め込み具合は、マウンテンバイク4台を縦に積めるセレナに対しステップワゴンは2台で多少の違いがあるのは、外観から想像する通り、といっていいだろう。
シートそのものはステップワゴン同様、座面の後傾角が足りず平板なベンチっぽいもの。女性でも3列目をアレンジ(左右跳ね上げ)できるように、スプリングで軽く持ち上げられるようにするといった努力とともに、長距離でも疲れにくいシートが欲しい。
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落ち着いた乗り心地
エンジン、足まわりなどはエンジンの表示馬力も大きくボディ重量も軽いステップワゴンに優位性がありそうだが、実際の差はそれほどでもない。静粛性やなめらかさでも、セレナの「MR20型」エンジンは好感度が高い。CVTも以前のブルーバード系などに比べて格段に静粛性とレスポンスを向上させている。
操縦安定性や乗り心地は安楽にして高水準。ミニバンに求められる、つまりゆったり安心して移動できる“安心感”という点ではセレナに一日の長がある。セレナはロール角そのものは大きいが、クルマが傾くその感触が自然で、意思のままハンドルを操作できるし、その入力に対して期待した通りの安定した挙動を見せるのだ。見た目の迫力とグリップをタイヤに求めるユーザーもあろうが、標準装着の195/65R15インチで十分な性能を発揮。微速でもフラットで、路面からの当たりが柔らかい乗り心地は、細身のタイヤのほうに分があった。
ステップワゴンと比較して選ぶユーザーも多いと思われるが、落ち着いた乗り味を求めるならセレナ。いわゆる“ミニバン”を想像して、裏切られることはないと思う。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸/2005年7月)

笹目 二朗
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