ダイハツ・ アトレー・ワゴン カスタムターボRS(2WD/4AT)【試乗記】
見た目とは裏腹に 2005.05.28 試乗記 ダイハツ・ アトレー・ワゴン カスタムターボRS(2WD/4AT) ……144万7005円 商用バン譲りの積載性をウリにする軽乗用車「アトレー」が、2005年5月9日にフルモデルチェンジ。キャブオーバータイプ軽自動車に「初めて試乗した」自動車ジャーナリストの生方聡は……。目指したのは究極のパッケージング
自動車に関わる仕事を始めてはや14年になるが、これまで一度もキャブオーバータイプの軽自動車に乗る機会がなかった。街なかでしばしば見かけるのに、私には遠い世界のクルマだったのだ。
だから、今回参加した新型アトレーワゴンの試乗会は、驚きの連続である。たとえば、アトレーワゴンの値段。全車ターボエンジンを搭載するとはいえ、価格は133万3500円(車両本体価格)からである。
……えっ、そんなにするの!?
130万円といえば、リッターカーが買える値段である。しかし、「どうしても軽自動車」というユーザーが存在するのも事実だ。そんな人たちのために、全長3.40m、全幅1.48mという軽自動車の規格内で最大の室内空間を提供しようというのが、キャブオーバータイプのクルマなのである。
エンジンを前席の下に配置して後輪を駆動する方式は、室内長を確保するうえでは前輪駆動よりも有利である。だから、前輪駆動に比べて部品点数が多く、コストアップもやむを得ないのだという。
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実に広い
実際、こだわっただけあって、アトレーワゴンの室内は実に広い。スライド可能な後席を一番後ろの位置にセットするとフロントシートのバックレストは遙か彼方……というのはオーバーだが、膝とバックレストとの間にはラクシュリーカー並みの余裕がある。爪先が前席下に入らないのが唯一の悩みだ。
この状態でも、荷室は80cm以上の奥行きを確保。「快適な4人乗車と4人分の荷物積載を両立」という説明はウソじゃなかった。さらに、後席を畳んで床下に収めれば、奥行きは170cm強まで拡大する。室内長を確保するためにテールゲートを薄くし、また、リアの開口部もギリギリまで広げるなど、涙ぐましい努力の積み重ねによってアトレーワゴンはでき上がっていたのだった。
ふつうに乗れた
さっそく試乗してみよう。テスト車は「アトレーワゴン カスタムターボRS」の2WD/4AT仕様だ。ちょっと高めの運転席に着き、まわりを見回すと、心配していたほど違和感がない。立派とはいえないが、インパネのデザインは乗用車的で、ステアリングホイールも寝ていない。アクセルとブレーキの各ペダルはクルマの中央寄りにオフセットしているが、すぐに気にならなくなった。小さいとはいえフロントに独立したノーズがあるセミキャブスタイルなので、安心感もある。
エンジンを始動していざ出発! 最高出力64ps/5900rpm、最大トルク10.5kgm/4000rpmの659cc直列3気筒DOHCターボエンジンは、室内スペースほど“余裕たっぷり”とはいかず、出足はマイルドで、3000rpm以下では頼りなく感じてしまう。だから、力強い加速を望むときには低いギアを使って3000rpm以上に回転を上げてやる必要がある。4000rpm付近ではかなり活発だが、シート下のエンジンはそれ相応に騒々しい。
背が高く、積載重視のクルマにありがちな硬めの乗り心地を覚悟していたが、サスペンションは意外にソフト。乗り心地重視のタイヤも手伝って、路面の凸凹をうまく吸収してくれた。コーナーでの挙動は気になるトコロだが、ロールは大きいものの、いきなりグラッとくるわけではないので、不安は感じない。そもそも、ロック・トゥ・ロックが4回転という超スローなステアリングと終始アンダーなハンドリングなので、コーナーを飛ばそうという気にはならなかった。コレで飛ばすヒトも、まぁいないだろうけど……。
というわけで、はじめは「こんな世界があるなんて」と感じていたが、想像していたほど変わった乗り物じゃなかったアトレーワゴン。乗ってみて身近に思えてきたのが、私にとっては一番の収穫である。
(文=生方聡/写真=峰昌宏/2005年5月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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