トヨタ・アリオンA20“Sパッケージ”(CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アリオンA20“Sパッケージ”(CVT) 2005.02.18 試乗記 ……263万2350円 総合評価……★★★ 「コロナ」「カリーナ」の跡を継ぐ中型セダン「プレミオ/アリオン」。ミニバン顔負けのシートアレンジができる3BOXのトップグレード「アリオンA20“Sパッケージ”」に、自動車ジャーナリストの笹目二朗が試乗した。
|
苦悩する中堅
今はなき「コロナ」は、トヨタ車のなかでも良心的な造りだったことから、中堅車として高い評価が与えられてきた。しかし、「アリオン(プレミオ)」と名前が変わってから、ボディサイズ以外はカローラ並みの車種になってしまったように感じる。主に内外装を手直しした今回のマイナーチェンジを経て、より“廉価版”的な感覚を与えるよう堕落してしまった。こうなると、2リッター+CVTの存在価値は薄く、1.5リッターで十分。というか、むしろ1.5をメインに据えたがっているようでもある。世の中の流れをリードする立場のトヨタにとって、ミニバンに力を注ぐ気持ちも理解できるが、5ナンバーサイズの上級実用4ドアセダンは、自動車界の根幹車種とも言えよう。このまま縮小の道を辿るのは寂しい気もする。新たに魅力を取り戻せるように再起を望みたい。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「カリーナ」の跡を継ぐミディアムセダンとして、2001年12月にデビュー。販売系列が異なる「プレミオ」とは兄弟車で、アリオンはちょっと若々しいイメージを持つ。
ビスタと共用するプラットフォームに、5ナンバー枠に収まる4ドアセダンボディを架装。ミニバンを意識してか、オーソドクスな3BOXスタイルながら、リアシートは20度のリクライニング機構に加え、6:4分割可倒&フォールディング機構を備える。前席ヘッドレストをはずせば、フロントシートを後席座面とフラットにできるなど、ミニバン顔負けのシートアレンジが可能だ。
エンジンは、1.5リッター1NZ-FE型、1.8リッター1ZZ-FE型と、筒内直噴「D-4」2リッター1AZ-FSE型の3種類。トランスミッションは、2リッターがCVT、他のエンジンは4段ATと組み合わされる。足まわりはフロントがマクファーソン・ストラット/コイルの独立、リアはFFがトーションビーム/コイル、4WDはダブルウィッシュボーン/コイル。
(グレード概要)
「アリオンA20」は、2リッターエンジンを積むアリオンの上級モデル。“Sパッケージ”は、ディスチャージヘッドランプやアルミホイールを付与した最上級グレードである。快適装備がグレードアップされ、プライバシーガラスや雨滴感知式ワイパーなどを標準装備。ステアリングホイールとシフトノブは本革巻きとなる。
【車内と荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
木目パネルの仕上がりは上々。一見するとプラスチックには見えず、叩いた時の乾いた音でようやくそれと知れるほどだ。ダッシュボード周辺の仕上がりは、つなぎ目の隙間が狭いうえ、バラつきも少なく、見事の一言につきる。オプティトロンメーターを備えるが、視認性などは普通。格別な仕上げや技術的に新しい試みなどはなされていないが、初見評価では相当高得点が期待できる。トヨタの得意分野で実力発揮。
(前席)……★★★
サイズや形状は良好なのに、クッションに腰がなく座り心地は茫洋としている。リクライニングの調整は、このクラスならば電動またはダイヤル式の微調整が望ましい。テレスコピック機構はないが、着座の高さはまずまずでポジションはとれる。しかも、ヘッドクリアランスは高めで圧迫感はない。
サイドブレーキの2度踏みリリース方式は要改善だ。同じ操作でまったく逆の仕事をさせるのは間違いのもと。イザというとき反復使用できない不安も大きい。せめて、「クラウン」のように、シフトレバーとサイドブレーキリリースを連動させるといった工夫が欲しい。
(後席)……★★★
シートアレンジが盛り込まれた後席は、座り心地もまずまず。背もたれは段階的にリクライニングするが、一番立たせた状態でも少し寝過ぎに感じた。さらに、リクライニングするのはシートバックの一部。ドア横の帯部分が少し残ってしまうため、寝かした時に邪魔だった。ヘッドレストもやや遠め。
後席はダブルフォールディング機構を備え、トランクと繋げることができる。アイディアは欧州車っぽく、ラゲッジスペースを広く使える。
(荷室)……★★★
リアシートの背もたれは6:4の分割可倒式。トランクと繋げれば広大な荷物スペースが出現する。トランク部のデッキそのものが高いため、単体でも十分に広いといえるが、たくさん積める感覚はある。少ない荷物を置くときに転がらないよう、抑えるネットなどがあれば便利だろう。荷室にアクセスするには、いちいち前席足元のレバーを操作しなければならない。外からはカギがないと、開けることができないのは不便だった。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
「D-4」は以前より静かになった。ガソリン直噴エンジンが登場した時は、ディーゼルっぽい硬質な音が聞こえたが、今は十分な静粛性をもつ。4000rpm辺りから硬質な音が少し高まるとはいえ、変な音質ではない。CVTはマニュアルシフトできるタイプではないが、Dレンジのほかに、「S」と「B」レンジを搭載。ギア(?)を落とせばエンジンブレーキが期待できる。Sレンジはエンジン回転数があがり、レスポンスも向上。その気で飛ばせば結構速いクルマだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
期待に反して、乗り心地はあまりよくない。コロナのようなフラットさは見られず、上下動が気になる。目地段差のような路面からの入力に対しても、ガツンと直接的ではないにしろ、変位は大きめだ。操縦安定性については、直進性が以前のレベルになく、微修正を要するしピシッとした落ちつきがない。“200万円のクルマ”がもたらす感覚というより、安物っぽい雑な乗り味。トヨタ製中級車らしくない。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2005年2月9日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:846km
タイヤ:(前)195/65R15 91S(後)同じ(いずれもブリヂストンB340)
オプション装備:音声案内クリアランスソナー(4万2000円)/リアフォグランプ(1万500円)/SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ(6万3000円)/G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション+音声ガイダンス付きバックガイドモニター+TVアンテナ(30万1350円)/ボディカラー「ホワイトパールクリスタルシャイン」(3万1500円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:216.3km
使用燃料:23リッター
参考燃費:9.4km/リッター

笹目 二朗
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。
















