トヨタ・アイシスプラタナ2.0(CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アイシスプラタナ2.0(CVT) 2005.01.06 試乗記 ……265万4400円 総合評価……★★★★ 1890mmの大開口「パノラマオープンドア」をウリにする、トヨタの新型ミニバン「アイシス」。「ノア/ヴォクシー」と「ウィッシュ」の中間的存在を担うニューモデルに、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。
|
トヨタ・ミニバンで一番いい印象
「ノア」や「ヴォクシー」、「ウイッシュ」など、似たようなミニバンを数種も抱える大トヨタのなかで、エンジンや変速機、サスペンションなどを共用しながら違う名前のクルマをつくりあげるのも大変と思われるが、同じコンポーネントを使っても乗り味は異なるから、そこには目に見えない社内コンペが繰り広げられているようだ。ちなみに、「アイシス」の開発は、約50万台を売り上げたヒットモデル、ノア/ヴォクシー開発チームの“お隣さん”である。
なかでも、このアイシスが乗って一番いい印象を与えてくれる。エンジンはパワフルでCVTが活発な動力性能に寄与している。乗り心地もさることながら、操縦安定性もいい。楽しめる領域まであと一歩だといえよう。
玉に傷という意味では、何度も苦言を呈している2度踏みリリース方式のサイドブレーキだ。同じ操作で逆の仕事を担当させるのは間違いのもとである。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ガイア」の後を継ぐ5ナンバーミニバン「アイシス」は、ボディ左側のBピラーを廃して実現した、開口1890mm「パノラマオープンドア」が自慢。サイズは、全長×全幅×全高=4610×1695×1640mm、ホイールベース=2785mmである。乗降口の地上高を380mmと低く設定し、スムーズな乗り降り、荷物の揚げ降ろしなどを可能としたのもポイント。 もちろん、3列7席のシートをアレンジすることで得られるユーティリティ性も訴求点のひとつだ。
エンジンは「ウィッシュ」からキャリーオーバーした2種類。1.8リッター直4「1ZZ-FE型」ユニットは132ps/6000rpm、17.3kgm/4200rpm、2リッター直噴「1AZ-FSE(D-4)型」は155ps/6000rpm、19.6kgm/4000rpmと、アウトプットも変わらない。
トランスミッションは、1.8リッターに4段AT「Super ECT」を、2リッターに無段変速機「Super CVT-i」を組み合わせる。CVTには、カーナビゲーションの情報をもとに道路に適したシフト制御を行う「NAVI・AI-SHIFT」を採用。さらに、エアロパーツで身をかためたスポーティグレード「プラタナ」には、マニュアル感覚でギアチェンジできる7段「スポーツシーケンシャルシフトマチック」が備わる。
装備では、「ステアリング感応式クリアランスソナー」に注目。路地などの狭い場所での運転をサポートするために、ハンドル操作と連動して進行方向の障害物を予測し、ブザー音で知らせる、トヨタいわく「世界初」の装置だという。
駆動方式は、1.8リッターと2リッターにFF、2リッターにのみ4WDを用意する。
(グレード概要)
「プラタナ」は、ワイドフェンダーなどエアロパーツを装着した、アイシスのイメージを訴求するスポーティグレード。5ナンバー枠で設計されるアイシスだが、プラタナはやや幅広となり3ナンバー枠となる。
専用装備として、サイドマッドガード(カラード)&ワイドフェンダーパネル、前後エアロバンパー、専用フロントグリルなどを装着。タイヤも1サイズ大きい、205/55R16インチ+アルミホイールとなる。2リッターのトランスミッションはすべてCVTだが、7段でマニュアルシフトできる「7速スポーツシーケンシャルシフトマチック」が付くのは、このグレードのみだ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
メーター類はあっさりしているが見やすい。CVTゆえエンジン回転の動きは緩慢だが、タコメーターはやはり重宝するものだ。インパネシフトのレバーも使いやすい位置にある。ナビのモニターも見やすい。
(前席)……★★★
室内幅は5ナンバーサイズなりの広さだが、横や前後にウォークスルー可能で便利。シート自体は座り心地も悪くない。ランバーサポートはないが、腰まわりのホールド性はまずまずである。前方の眺めも、ヒップポイントが高いため良好で、普段はノーズが見えないが、前にちょっと乗り出せばボディの一部が見えて安心できる。乗用を意識したとはいえ、ルーフが高くヘッドクリアランス十分。Aピラーは寝ているが圧迫感はすくない。
(2列目シート)……★★★
スライドドアを採用しているのでドアの厚みが室内幅を多少圧迫しており、横がけ3人はやや窮屈。ノアよりシート表面はやや乗用車的に処理されているも、やはり折り畳んで使うシートゆえのスクエアな感じや平板さが漂う。ルーフの高さが空間的な余裕を確保している。サイドシルの高さや幅は乗降性の点でややマイナス。左側はピラーレスで大きく開くのでこのステップの高さが余計気になる。
(3列目シート)……★★
折り畳まれる運命にあり、座って使う用途はやや軽視されているも、それほど座り心地として悪くはない。2列目シートを前に出せば足もともなんとかスペースを稼げる。ステーションワゴンの後ろ向きに座るのに比べれば待遇はまずまず。リアウィンドウまでの距離は近い。格納式ヘッドレストはドライバーの視界を助けるよいアイディア。
(荷室)……★★
純粋なトランクとしてみれば狭い。シートを畳んで広げることができるから、乗員との兼ね合いで大きく変わる。フロアは4WD仕様との共用化で高めだがフラット。5ナンバーサイズにまとめた全長ゆえ、こんなものという納得できるサイズ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
パワフルでなかなか速いクルマ。「フォルクスワーゲン・ゴルフ」が積む2リッターFSIよりパワーは出ている感じだ。CVTの効率のよさも納得材料である。5500rpm前後をキープして走る加速感は、3リッタークラスに十分太刀打ちできる。マニュアルシフトできる7段階は、ステップアップ比も小さくきめ細かな走りを選べる。この動力性能が、アイシスの印象を大いに高めている。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
乗り心地は、オーセンティックなミニバンのノアよりはるかに乗用車的なレベルにある。ダンピングもよく比較的フラットな姿勢を保ち、ホイールベースの長さも効いている。この手のクルマとしてはロールする方だが、高い重心高のわりにはロールセンターも高く採られているようで不安感はない。ステアリングも操舵感良好でしっかりとしていて頼もしい。操縦性はトヨタ製ミニバン中で最良だ。
(写真=荒川正幸/2004年11月)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2004年10月22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2563km
タイヤ:(前)205/55R16 (後)同じ(いずれもヨコハマADVAN A460)
オプション装備:SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ(8万9250円)/アイシス・ライブサウンドシステム(G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション)(34万1250円)/ETCユニット(1万8900円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:258km
使用燃料:26.3リッター
参考燃費:9.8km/リッター

笹目 二朗
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
NEW
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。 -
第343回:おやじ、涅槃で待つ
2026.8.31カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。ちまたでの評判がよく、売れ行き好調の新型「日産キックス」に試乗した。その出来はカーマニアをも満足させる評判どおりのもので、新車購入のきっかけにもなった。え? 購入したのはキックスではない? -
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】
2026.8.31試乗記フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。































