第176回:新作「フォーフォー」について“スマート教”信者からひと言 これは一種の踏み絵です 後編
2004.11.29 小沢コージの勢いまかせ!第176回:新作「フォーフォー」について“スマート教”信者からひと言 これは一種の踏み絵です 後編
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■ちゃんとスマートしてる
(前回からの続き)
前置きが長くなったけど、やっとこさ、日本に入ってきたスマートの新作「フォーフォー」のお話を。コイツは正直、最初は「なんじゃこりゃ?」でした。なにしろ5人乗り。“スマート教”の教義から思いっきり外れてるでしょ。っていうか、これってスマートじゃないじゃん! って感じ。幻滅した方も多いはずです。
ただねぇ。残念ながらスマートは完全な宗教ではなく、一応ビジネスなんだよね。大雑把に言って、フォートゥの販売台数が年間約10万台。個人的には随分売れてると思うけど、これじゃ採算が取れないらしい。
そこで一般的な2列座席のハッチバック、つまりフォーフォーを作ったわけだけど、乗るとこれが意外とよくできてて個性も強い。最初は「三菱コルト」と共同開発って話でガッカリしたけど、それも大幅に違いました。
共通なのはエンジンの基本設計やサスペンション、アクセルの位置などほんの一部。ボディ構造は全く違うし、寸法も違う。エンジンも中身は違うし、つくられる工場がまったく違う(コルトはマイナーチェンジで同じエンジンを搭載)。そしてなにより乗ってみると、全然コルトと乗り味が違う。メチャクチャ“スマートしてる”のだ。
■ま、いっか!?
一番顕著なのは圧倒的な剛性感で、まさにトリディオン・セーフティセルの“ドラム缶”の味。と同時にセル構造により、ボディは通常より約200?も軽くできており、加減速その他すべてがさわやか。ギアボックスもコルトとは違いセミAT搭載で、テイストはまさにスマートなのよ。
唯一許せないのはインテリアの普通さ。試乗車の場合、ファットレッド&ストレッチブラックのツートーン以外、結構ジミです。操作系のタッチは独特の硬質さと軽さがあっていいけど、もうちょっとオモチャっぽさが欲しいよね。ただし、逆にいうとボディがデカく、フォートゥより重くなったぶん、ボディのギクシャク感は薄れ、乗り心地もフラットさが増し、「さらによくできたスマート」の感もある。
加えて、フォートゥに乗ってて「2人乗りで困った!」ってシーンもあったし、心の底で一瞬「ま、これでもいっか!」の声が出はじめたのよ。
しかし、同時にストイックなもう一人の俺が叫んでいた。
「なんだよー、それ。こんなんスマートじゃないじゃん。年間10万台だったらがんばれば採算取れるんじゃないの? あきらめ早すぎだよ、ダイムラー」とかね。
だからね。信者からみるとこのフォーフォーの問題は心の問題である。どこまで許せるか、どこまで許せないか。なんちゅーか、“踏み絵”に近い。
己はどこまで教義に忠実でいられるか? が問われてるような気分です。といってもご本尊様自体(つまりメーカー)が教義を拡大解釈し始めたんですけどね。
ってなわけで非常に悩ましい今日この頃。ま、正直言うとおそらく、2、3年すれば「4人乗りでもいっか!」になっちゃう気がしますけどね。特にフォートゥに乗ってて子供が生まれたオーナーさんとかさ。
かくいうワタシも、ポルシェ初のSUV「カイエン」も、なんだかんだで結構許せちゃうしさ。あー、俺ってダメ信者かなぁ!?
(文と写真=小沢コージ/2004年11月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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