トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)【ブリーフテスト(後編)】
トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)(後編) 2004.08.26 試乗記 ……721万9800円 総合評価……★★★★ ニュー「クラウンマジェスタ」の上級グレード「Cタイプ」に乗った別冊CG編集室の道田宣和は、ハンドリングのよさに驚いたが……。【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
かつて初代「セルシオ」がデビューしたときに、「回っているかどうかさえわからない」とまで評されたUZ系エンジンの静粛さは、その後、世の中全体がレベルアップした今日でも依然群を抜いている。アイドリングから中速域まではほとんど無音と言って良く、そもそもトルクが41.0kgmから43.8mkgに太ったせいで無理して上まで回す必要がないのだ。
さらに、ギアボックスが6段になったおかげで、D(6速)/100km/hがわずか1600rpmという異例なハイギアリングが可能になった。車重は1690kgに達するが、280psのパワーにはまだまだ余裕充分で、動力性能は申し分ない。
ただし、踏み始めの瞬間はスロットルが重いというよりはどこかむずかるような感触が残り、もしかしたらそうした単純な操作にも「VDIM(ヴィークル・ダイナミクス・インテグレーテッド・マネージメント)」(前編を参照)が介入しているのではと想像させてしまうところがある。
シーケンシャルモード付きの6段ATは使いやすさの点でとても優れている。レバーをDから右(ドライバー側)に寄せれば即、それを兼ねた“S”ポジションになり、そのまま手前に引くと素早いシフトダウンが可能。さらに、咄嗟のときはゲートのクランクを無視していきなり斜め右下にガッと引き下ろす荒技もOKで、変速にストレスを感じることはまずない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
「クラウン」との歴然たる差は乗り心地である。シャキッとヨーロッパ車風になったはいいけれど、なぜか妙に細かいハーシュネスが感じられたクラウンとは対照的に、全体として伝統的なオーナーの好みにも合うソフトさはやはり心地よく感じられるはずだ。
それでもエアサス特有の若干ツンツンした感じが微かに認められるが、一般には無視できるレベルだから安心していい。無論、ダンパーを切り替えて“スポーツ”モードを選ぶこともできるが、そうすると途端に低速で荒さが目立つ割にはこれといったメリットがすくなく、多分にスペックのためのスペック然としている。オートレベリング付きのエアサス大型車とあって、姿勢のフラットさやダイブ/スクォットの小ささはさすがである。
当初、正直言ってあまり期待していなかったハンドリングが期待以上どころか、大袈裟に言えば新しい地平を拓くほど感銘的だったのは喜ばしいかぎり。この場合、主役は明らかにVDIMだ。とにかく、箱根のワインディングロードでは「これがあのクラウンか」と目を剥くほどの素晴らしさ。それもアンダーやオーバーがどうのといった旧来の基準では計り知れない異次元のものだった。
一言で言えば、乗り手がどんなにヘタクソでもまるで熟達したレーシングドライバーが模範を示したときのようにスムーズで、ラインが乱れないのである。極端に言えばドライバーのステアリング操作やスロットルの踏みかた、ブレーキのかけかたがたとえどうであれ、すべては曲がりたいように曲がり、進みたいように進んでくれるのだ。よくよく観察するとクルマ自身が1輪ごとにブレーキをオン/オフしたり、トルクを断続している微妙な感覚が尻を通じて伝わってくるのだが、全体としてはいい意味でそれらが渾然一体となっており、不自然さがまるで感じられない。まさに「マジック!」 と言いたいできだ。
ステアリングそのものもクラウン同様、電動アシストの常識を覆す自然さである。それでも敢えて★5つを付けなかった理由は、まさにその電子制御ゆえか、主として高速道路でレーンチェンジした際などに、一瞬フワッとフロントが浮いてあらぬ方に向きかけることがあり、直進アンダー気味のステアリングもやや戻りが強すぎて改善の余地があると思ったからだ。メルセデスのように意図的にダルにしてあるほうが、こうした性格のハイスピードトゥアラーにはかえって相応しく、乗っていても楽なのである。
(写真=荒川正幸、トヨタ自動車/2004年8月)
【テストデータ】
報告者:道田宣和(別冊CG編集室)
テスト日:2004年8月2日-8月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2328km
タイヤ:(前)215/55R17 93V(後)同じ(いずれもトーヨーPROXES J33)
オプション装備:プリクラッシュセーフティシステム(28万3500円)/クリアランスソナー(4万2000円)/ナイトビュー(31万5000円)/レーダークルーズコントロール(10万5000円/ブレーキ制御、低速追従モード付き)/オットマン機能付き助手席シート+リア左席シートバイブレーター+リア左右席シートヒーター(11万5500円)/クラウン“マークレビンソン”プレミアムサウンドシステム(26万8800円/G-BOOK対応高精細DVDボイスナビゲーション付きEMV、TV・AM/FMマルチ電子チューナーラジオ+インダッシュ6連奏DVDオートチェンジャー+MD+14スピーカー)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(5):高速道路(4):山岳路(1)
テスト距離:412.1km
使用燃料:70.5リッター
参考燃費:5.8km/リッター
トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)【ブリーフテスト(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015611.html
トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)【ブリーフテスト(中編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015612.html

道田 宣和
-
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.18 2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。
-
ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250リミテッド(6MT)【レビュー】 2026.4.17 アメリカの大地が鍛えたアドベンチャーモデル「ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250」に、充実装備の上級モデル「リミテッド」が登場! 試乗して感じられた、日欧のライバルに勝るとも劣らない魅力と、どうしても気になるポイントを報告する。
-
レクサスIS300h“Fスポーツ”(FR/CVT)【試乗記】 2026.4.15 「レクサスIS」のビッグマイナーチェンジモデルが登場。もはや何度目か分からないほどの改良だが、長年にわたってコツコツとネガをつぶし続けてきただけあって、スポーツセダンとしてひとつの完成形といえるレベルに達している。“Fスポーツ”の仕上がりをリポートする。
-
モーガン・スーパースポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2026.4.14 職人の手になるスポーツカーづくりを今に伝える、英国の老舗モーガン。その最新モデルがこの「スーパースポーツ」だ。モダンながらひと目でモーガンとわかる造形に、最新のシャシーがかなえるハイレベルな走り。粋人の要望に応える英国製ロードスターを試す。
-
ボルボV60ウルトラT6 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.13 1990年代のステーションワゴンブームでトップランナーであったボルボ。その伝統を受け継ぐモデルが「V60」だ。現行型の登場は2018年とベテランの域に達しようとしているが、アップデートされた最新プラグインハイブリッドモデルの印象やいかに。
-
NEW
ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.20試乗記本格クロスカントリービークルの「ディフェンダー」にプラグインハイブリッド車の「P300e」が登場。電気の力を借りて2リッターターボとしては格段にパワフルになった一方で、カタログ燃費はなかなか悲観的な数値を示している。果たしてその仕上がりは? -
NEW
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来
2026.4.20デイリーコラム2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。 -
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。 -
谷口信輝の新車試乗――ディフェンダー・オクタ編
2026.4.17webCG Moviesブーム真っ盛りのSUVのなかで、頂点に位置するモデルのひとつであろう「ディフェンダー・オクタ」。そのステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝の評価は……? 動画でリポートします。
































