トヨタ・ポルテ130 i “Cパッケージ”(4AT)/ポルテ150 r(4AT)【試乗記】
極まる“もてなし感” 2004.08.09 試乗記 トヨタ・ポルテ130 i “Cパッケージ”(4AT)/ポルテ150 r(4AT) ……184万4850円/191万1350円 トヨタの新しいコンパクトカー「ポルテ」。大型電動スライドドアを採用した新型は、あまたある他のコンパクトと何が違うのか? 自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。メリットは十分
名は体を表す。フランス語で“扉”を意味する「ポルテ」は、助手席側のスライドドアが象徴的だ。スライドドアの便利さはいまさらいうまでもないが、日本家屋の玄関を思わせる歓送迎のもてなしは、ポルテに極まるといっていいのではないか。
しかし、言うはやすく行うは難し。実現には様々な技術的困難を伴う。電動開閉装置そのものはワンボックスや「ラウム」などでの蓄積があるが、ボディ全体を適切に構築するのが難しいのだ。
右は通常のヒンジ式開閉ドアで、左側だけスライドするという構造上、ボディのねじり剛性は左右で異なる。そのため、非対称のボディ剛性が操縦性に反映され、ロール感が違ったりする。衝突安全性も左側を強化するだけでなく、左右差の補正をしなければならない。そうした困難を乗り越え、あえて大きなスライドドアを採用したメリットは十分にあると思う。しかも電動式でリモコン操作可能という、いわば「開けゴマ」式のマジックが小気味よい。
ポルテの魅力はドアだけではない。低いフロア(地上から30cm) も乗降性がよく、しかもフロアは完全にフラットだ。これはいつも赤ちゃんと一緒のママ(もちろんパパでもいい)にとっては、ベビーカーをそのまま積み込めるし、シニア世代にとっても、脚を持ち上げる労がすくなく、大変便利なフロアである。
またスライドドアは、駐車スペースが限られた場所での乗り降りにも問題ない。交通頻繁な通りで乗降するにも、コラムシフトレバーがこれに協力し、ドライバーはウォークスルーして直接歩道に降りられるのだ。ただし、レバー操作そのものは他の兄弟姉妹車と共通らしく、もうすこしデザイン的に考慮の余地がある。
拡大
|
拡大
|
オシャレ&実用的
室内高が高いのも特徴である。全高1.72mは、大人でもちょっと屈めば立ったまま入れる感覚。低いフロアと相まって、室内天地寸法からかつてない広さを味わえる。それを、全長4mを切るコンパクトな外寸で実現したところがポルテの凄さだ。ついでに書けば、フェリー料金は4m以上で運賃が高くなるから、ポルテは安いカテゴリーに入る。普段フェリーに馴染みがない人にとっては、宝の持ち腐れかもしれないが、瀬戸内海沿岸などを筆頭に、海運国日本には、日常的に利用するユーザーも案外多い。
助手席のスライド量の長さはちょっと例を見ない。ヘッドレストを外し、背を畳んで前に押し出せば、ダッシュボード下に一部をもぐり込ませることができ、テーブルや物置き場所となる。リアシートへのアクセスはもちろん、ドライバーズシートからのウォークスルーも楽々だ。
さらにリアシートを畳めば、通常のハッチバックでは得られない広大なスペースが出現する。だから、カッコやオシャレで乗る人も多いと思われるが、実用車としても、これほど便利なクルマはちょっと思い出せない。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
お勧めは1.3リッター
あえて気になる点を書くと、足踏み式サイドブレーキの2度踏みリリース方式は、筆者が何度も指摘しているように賛成できない。主ブレーキ失陥時など緊急用としては、反復使用しにくい不安がある。
シートそのものに格別不満はないが、座面の傾斜がフラットで、短時間なら問題ないが、長時間座っていると疲れるタイプだ。ハイトコントロールは後部を持ち上げる方式だから、初期値はもっと後部を下げて、腰にかかる上体の荷重を背面に分担すべきだ。それはシート自体のホールド性を上げることにも繋がる。
加えて、個人的な好みを記すと、ポルテはデザイン的にトヨタの最高位にあると思う。流麗でスタイリッシュなものは比較的簡単で、誰でもトライする分野ながら、こうした実用性を極めたうえでカッコよく処理するのは、なかなか難しい。優しく柔らかな印象のドルフィンノーズ、小さなノッチをつけたフロントウィンドウやAピラーの処理、曲げ過ぎずゆるやかな弧を描くルーフラインなどなど、ちょっと欲しくなる要素を持ったクルマだ。
お勧めは「130 i “Cパッケージ”」。1.3リッターエンジンはショートストローク型で軽快に吹くし、パワーも必要十分。乗り心地はフラットで突き上げ感もすくなかった。
(文=笹目二朗/写真=郡大二郎/2004年8月)
トヨタ・ポルテの動画は、以下のURLをクリック。
http://www.webcg.net/WEBCG/news/000015569.html

笹目 二朗
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.2.26 日本で久々の復活を遂げた「ホンダCR-V」の新型に、北海道のテストコースで試乗。雪上・氷上での“ひとクラス上”の振る舞いに感嘆しつつも、筆者がドン! と太鼓判を押せなかった理由とは? デビューから30年をむかえたCR-Vの、実力と課題を報告する。
-
NEW
スバル・トレイルシーカーET-HS プロトタイプ(4WD)【試乗記】
2026.3.5試乗記スバルから本格的な電気自動車の第2弾となる「トレイルシーカー」が登場。前後のモーターから繰り出すシステム最高出力はドーンと380PS。ただし、それをひけらかすような設定にはしていないのがスバルらしいところだ。スノードライブの印象をお届けする。 -
NEW
ホンダ・インサイト
2026.3.5画像・写真4代目はまさかの電気自動車(BEV)! ハイブリッドからBEVへ、4ドアセダンからSUVへと変身して、「ホンダ・インサイト」が復活を遂げた。ドアトリム/ダッシュボードヒーターにアロマディフューザーと、新たな快適装備を満載したその姿を、写真で紹介する。 -
NEW
BYDシーライオン7 AWD(4WD)
2026.3.5JAIA輸入車試乗会2026堂々たるスタイルにライバルの上をいくパワーと一充電走行距離、そしてざっくり2割はお得なプライスを武器とする電気自動車「BYDシーライオン7」。日本市場への上陸から1年がたち、少しずつ存在感が増してきた電動クーペSUVの走りやいかに。 -
NEW
ついにハードウエアの更新も実現 進化した「スバルアップグレードサービス」の特徴を探る
2026.3.5デイリーコラムスバルが車両の機能や性能の向上を目的とした「スバルアップグレードサービス」の第3弾を開始する。初めてハードウエアの更新も組み込まれた最新サービスの特徴や内容を、スバル車に乗る玉川ニコがオーナー目線で解説する。 -
NEW
第951回:日本が誇る名車を再解釈 「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」の開発担当者に聞く
2026.3.5マッキナ あらモーダ!2026年の「東京オートサロン」で来場者の目をくぎ付けにした「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」。イタルデザインの手になる「ホンダNSX」の“再解釈”モデルは、いかにして誕生したのか? イタリア在住の大矢アキオが、開発関係者の熱い思いを聞いた。 -
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】
2026.3.4試乗記メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。



































