リンカーン・タウンカーSP(4AT)【試乗記】
このクルマにかぎる 2004.07.16 試乗記 リンカーン・タウンカーSP(4AT) ……904万500円 アメリカでのVIPご用達リムジン、そのベースとなることもある後輪駆動セダン「リンカーン・タウンカー」。久々にステアリングホイールを握った『webCG』エグゼクティブディレクター大川悠は、ちょっとうれしくなった。「おお、これこれ!」
「こんなクルマがまだあったんだ」。だいぶ前になるが、2004年2月の輸入車組合のプレス試乗会で「リンカーン・タウンカー」に出会ったとき、懐かしくなった。でも考えれば、アメリカではリモは大半がこのタウンカーベースだから、この種のRWD(後輪駆動)のフォーマルサルーンは必要なのだ。
会場を出るときに、試乗会の基点となったホテル周辺の荒れた路面で、足まわりがブルンブルンした。しかし不快にはならず、むしろ「おお、これこれ!」とうれしくなる。昔と変わらないのである。西湘バイパスの継ぎ目を超えるたびに、とても律儀にステアリングへの振動でそれを教えてくれるのも昔と変わらない。
でもエンジンの低速トルクは充分だから機械ノイズは立てずに済むし、ロードノイズもかなり低い。ただし4段ATはいまどき珍しいほどシフトのたびにショックを伴う。ついでにいえば、相変わらずブレーキはフェードに弱く、箱根ターンパイクをそんなに飛ばさずに降りただけでも、料金所のオジサンが驚くほど煙を上げた。
送迎されるなら……
だがこの種のクルマ、リアのルームが快適ならそれでいいとも言える。リアシートのクッションは比較的高いから見晴らしはいいし、バックレストごと前後できるから、まあ気分は悪くない。
経費節減が厳しい昨今、黒塗りにし、シートカバーをかけ、リアシェルフ真ん中に読書灯、一番確実なトランクから自動車電話のアンテナを立てた送迎用「トヨタ・プレミオ/アリオン」を、朝の首都高速でよく目撃するが、あのなかの方は、そうとう寂しいものがあると思う。やっぱり送ってもらうなら、こういう古典的なクルマに限る。
(文=webCG大川悠/写真=清水健太/2004年7月)

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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