ホンダ・モビリオXT (CVT)【試乗記】
楽しい実用車 2004.05.08 試乗記 ホンダ・モビリオXT (CVT) ……222万6000円 7人乗り3列シートの“ミニ・ミニバン”「ホンダ・モビリオ」に、「VTEC」エンジンと7段CVT「プロスマテック」を搭載した上級グレード「XT」が追加された。CG編集局長の阪和明が乗る。
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若々しい
ミニバンが氾濫気味の街なかにあって、「モビリオ」はけっこう目立つ。グリーンハウスが大きくとられた、つまり窓の面積の広い、個性的なスタイリングからして気になる存在だ。路面電車みたいな造形はとても都会的で垢抜けている。だからミニバン特有の所帯じみたところは希薄だ。たしかに大人数が乗れる構造になっているとはいえ、このクルマはそのように人を運ぶだけでなく、レジャーやレクリエーションのお供として最大限に実力を発揮しそうな若々しい雰囲気に満ちているのが楽しい。
適度な大きさのミニバン
「フィット」をベースにしてつくられたミニバンだから、ボディが大きすぎず取りまわしは容易である。たくさんの人を運べることを売りにするミニバンは、どうしてもボディが肥大しがちになるものだが、モビリオはそうではない。適度な大きさのミニバンである。
小ぶりながら、パッケージングはなかなか巧妙だ。ちゃーんとサードシートも備えていて、いざというときには最大7人も乗れる。
ただ、“ピープルムーバー”と見ると、兄貴分の「ステップワゴン」や「オデッセイ」ほどの余裕はない。となれば、大人が長時間座るには少々辛いサードシートを使うのはハナから諦め、4人乗りとして、あるいはセカンドシートさえも畳んでしまい、2人乗りのユーティリティカーとして割り切って使うのもお勧めだ。燃料タンクをフロントシート下に配置したおかげで、2列目、3列目のシートの収納に工夫が凝らされているから、こうした使い方はぴったりなのだ。自転車なら前輪を外せば立てた状態でかるく2台は積めるし、アウトドアライフ系の大物・小物をしっかり積んでも、室内空間にはかなりのスペースが残る。
硬すぎず柔らかすぎず
走ってどうかというと、これまた上出来である。動力性能はクルマの性格に見合っているというか、特別速いわけではないけれど、不足のない走りっぷりを示す。街を移動するにはストレスを感じないですむし、むしろ低速域では驚くほど反応がよい。もっとも高速道路では少々物足りなさを感じなくもない。100km/h巡航に関してはまったく問題はないものの、ちょっと速い流れのなかでのダッシュ力はあまり期待しないほうがいい。
そこそこパワーのある1.5リッターVTECエンジンに組み合わされたCVT(無段変速機)はスムーズこのうえなく、必要なときに必要なだけの加速力を得られる。ただ、このCVTはマニュアルモードで変速すると肝心のスムーズさを欠くようだ。
乗り心地も基本的に合格点を与えられる。硬すぎず柔らかすぎずのイイ感じである。路面のギャップや首都高の目地段差をかるーくいなし、下からガツンと突き上げるようなショックは皆無といっていいほどだ。凹凸が連続するような路面では、軽度なピッチングが認められるとはいえ、それほど不快ではない。常識的な速度域で走らせるなら、気になることはない。
ハンドリングは正確かつ素直である。山道をかっ飛ばしたわけではないし、そうした場面でそうすることがこのクルマにふさわしいとは思えないから、日常域での経験から判断すると、コーナリング時の安定性は高く、かつ安心感が強い。高速での直進性もとても高い。ようするに、ロングツーリングが苦にならないクルマということだ。
それにしても街なかを走っていて、つくづく感じたのは視界のよさである。実際に走らせる前から想像していたことだが、グラスエリアの大きなクルマだけのことはあって、とても開放的な気分に浸れる。
実用車というものは、やはりこうでなくてはいけない。おおらかな気持ちで運転できるということは、運転に余裕が生まれるはずだから、こんなにいいことはないではないか。明るい室内のモビリオは、クルマ社会まで明るくしてくれそうな気さえする。
(文=阪 和明CG編集局長/写真=峰 昌宏/2004年5月)

阪 和明
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