ランドローバー・フリーランダーHSE(5AT)【ブリーフテスト】
ランドローバー・フリーランダーHSE(5AT) 2004.04.02 試乗記 ……383万2500円 総合評価……★★★ ランドローバーの末っ子モデル「フリーランダー」。顔つきを変え、インテリアを一新したマイチェンモデルに、『CG』編集局長の阪和明が乗った。
|
カジュアルなカタチ
一瞥しただけで、マイナーチェンジ後の「フリーランダー」は大きく印象を変えたのがわかる。1997年のデビュー以来、久々の大きな変化である。とりわけノーズのデザインにランドローバーの最新トレンドが盛り込まれたことで、ぐんと押し出しが強くなった。従来モデルは、中身はきっちり本格的な4×4だったのに、エクステリア・デザインはどことなくおとなしく、どうも迫力に欠けていたのだ。人間でいえば見てくれで損をしてしまうタイプだった。それが今回のフェイスリフトで、かなり商品性が高まった。いわゆるクロカンは無骨すぎて好きになれない人も、「カジュアルなカタチの本物のフルタイム4×4が欲しい」と考えているなら、検討するに値するクルマである。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年のフランクフルトショーでデビューした、老舗ヨンクメーカー、ランドローバーの小型SUV。3/5ドアの「ハードバック」ほか、3ドアモデルのラゲッジルーム天井部分がキャンバストップになった「ソフトバックボディ」が用意される。当初1.8リッター、2リッターディーゼルターボ(コモンレール式)をラインナップ、トランスミッションは5段MTのみだったが、2001年モデルから、ローバー75ゆずりのドライブトレイン、「2.5リッターV6+5段AT」を搭載したモデルが加わった。
2003年には、エクステリアのほか、フェイシアやドア内装などのインテリアも一新。3ドアモデルがなくなり、5ドアのみとなった。
(グレード概要)
グレードは、レザー内装の「HSE」とファブリック内装の「SE」。いずれも、2.5リッターV6エンジンに、コマンドシフト付き5段ATを搭載。
試乗した上級グレードのHSEは、SEと比べ、ホイールが16インチから17インチ、内装が豪華になり、フォグランプ、シートヒーター、電動サンルーフ、クルーズコントロールなどが標準で装備される。安全装備は、ABSやEBD、ETC(トラクションコントロール)を標準装備。ランドローバーが特許をもつ、滑りやすい急勾配で下り速度を制御する「HDC」(ヒル・ディセント・コントロール)も備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
顔つきが変わっただけじゃない。新しいフリーランダーはコクピットもがらりと変わった。従来モデルののっぺりとしたサルーン的なおとなしいものから、立体的というか彫刻的なデザインのインパネになったことで、いい意味で個性を得た。さらに言うなら、これまでの安っぽさが払拭され、レンジローバーをもイメージさせる質感の高さを感じさせる。このインパネを含むインテリアの質感を向上させたところが、新しいフリーランダーのイチバンの進化といえるだろうか。
装備にしてもいわゆるSUVとは違う。単なるSUVでないことは、急勾配を下るときにひじょうに有効なシステムである「ヒル・ディセント・コントロール」やトラクション・コントロールシステム(ETC)が標準であることや、きつい坂や岩を乗り越える際に重要なファクターになるフロントのアプローチアングルが充分に確保されていることからも窺い知れる。快適装備に関しても申し分ない。
(前席)……★★★
よいしょ、と思わず声が出てしまうほど高めの位置にあるシートに腰をおろすと、当然ながら視界はいい。見晴らしのいい高い場所にいると気分が高揚するのは子供のときからだが、この手のSUVを購入する人は、たしかにこうした部分に惹かれているはずだ。べつに自分が偉くなったとは思わなくても、運転するうえで先を見通せるのはありがたい。
クッションが厚めのレザーシートのかけ心地は良好だ。横方向のサポートも問題なく、体にすんなり馴染む形状である。小物入れはたいしてない。グローブボックスは申し訳程度の容量しかないし、自然に手を伸ばしたところに小物を入れるスペースはほとんどない。大きなサイズのドアポケットで補うしかなさそうだ。
(後席)……★★★
着座位置は前のシートよりも高い。それでもルーフが多少持ち上げられているおかげで、天井と頭とのあいだにはコブシ2つ分の余裕はある。頭を押さえつけられている苦しさはない。足もとは適度な広さ、広々しているわけではないけれど、窮屈に感じることもない。まあ、こんなものだろう、というだけの広さはある。シートバックは立ち気味だ。正しい姿勢をとることになるが、中途半端に傾いていないぶん、かえって疲れにくいはずである。
(荷室)……★★★
横開きのテールドアを開けるときれいな形の直方体空間があらわれる。内側に出っ張りがないので、箱物をきちんと積むのによさそうだし、当然のことながらリアシートを折り畳むことにより、さらに広いラゲッジスペースを得られる。じつに実用性に重きを置いた設計といえる。トランクの内張りも丁寧にあつらえられていて、こんなところにもランドローバーのプレミアム性を見出すことができる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
V型6気筒2.5リッターエンジンはリミットの6500rpmまでスムーズにまわるのはもちろん、必要なだけの力を備えている。車両重量が1600kgのボディにはアンダーパワーかと想像していたが、けっしてそんなことはなく、けっこう活発に走る。
組み合わされるオートマチックは5段、コマンドシフトと称する手動でも変速可能なシステムを持つが、通常はDレンジに放り込んだままで事足りる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
これは嬉しい誤算。乗り心地がいいのには驚きである。ポンポン跳ねることは皆無で、とてもフラット感がある。段差を乗り越えたときの不快なショックも、あらゆる速度域で感じないのだ。唯一残念なのはマッド&スノー・タイプのタイヤのパターンノイズが耳障りなことだが、都市部だけで乗るのならべつのタイヤを選べばいい。もっとも、それではフリーランダーを選ぶ意味が薄れるか?
ワインディングロードを飛ばしても、シャシーはしっかり、地に足のついた安定感を示す。ボディのロールも過大でなく、右へ左へと連続するコーナーを走り抜けるような場面においても不安感を抱かずにすむ。
(写真=峰昌宏/2004年4月)
|
【テストデータ】
報告者:『CG』阪和明編集局長
テスト日: 2004年2月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

阪 和明
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。


