ボルボ・スペシャルエディション試乗報告【試乗記(前編)】
ボルボ・スペシャルエディション試乗報告(前編) 2004.03.06 試乗記 わが国におけるボルボの“商売上手”はよく知られるところ。絶妙なタイミングで投入される特別仕様車、今後を探る限定モデル……。そんなスペシャルエディションに、webCGコンテンツエディターのアオキが乗った。![]() |
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エレガンスを加速するC70カブリオレ“White Pearl”(5AT)……545.0万円
「C70カブリオレ」は、1998年デビューの古株ながら、堅調な販売を見せる優雅なオープンボルボ。昨2003年には177台を売り上げ、わが国では「メルセデスベンツCLKカブリオレ」「アウディA4カブリオレ」とともに、輸入車オープン4シーター市場の第2グループを形成する(ダントツのトップは BMW330Ciカブリオレ)。
その名の通り、“真珠の輝き”を思わせるボディカラーがウリの「White Pearl」スペシャルエディションは、昨2003年9月18日から予約が開始された受注生産車。「車両本体価格(495.0万円)+エレガンス仕様(30.0万円)+メタリックペイント(10.0万円)」に、10.0万円を追加するだけで、スペシャルカラーと豪華なオーディオセット、BBS17インチホイールほかが手に入る。
ホワイトボディにアイボリーのレザー内装は、いかにもマダムに好まれそうな素敵な色合い。先代V70ベースの“ちょっと古めな”外観も、この手のクルマでは、むしろエレガンスを加速する。リアシートには、大人2人がちゃんと使える広さが確保される。
02年のリファインで、じゃっかんの強化を見た2.4リッター5気筒ターボ(200ps、29.1kgm)は、しかしクルマの外観ほどは優雅に回らず、いまとなっては少々ガサツ。ボディも頑強とはいいかねる。1インチアップのアシまわりは、“走り”というより、見てくれのため。手元のノートを見ると、「うしろユッタリ、走りノッタリ」とメモされる。
……といったアラ探しを放棄させるのが、幌を下ろしたときの爽快感である。4シーターオープンはショルダーラインが長いので、たとえばチラリと横を見たときの開放感は抜群。うららかな日差しの下、ステアリングホイールを握れば、細かなドライブフィールより、純正採用されたデンマークの名門「DYNAAUDIO(ディナオーディオ)」のサウンドシステムの方が大事に思える。プレス資料には、C70カブリオレについて、「ボルボ究極のライフスタイルカー Enjoy your Slow life」と記される。なるほど。
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斥候S60 2.5T“Sport”(5AT)……529.5万円
C70カブリオレから乗り換えると、にわかに近代的(?)に感じるのが「S60」である。世代の新しさが如実にわかる。
テスト車の「2.5T“Sport”」は、昨2003年11月15日から予約注文を受け付けた150台の限定モデル。「S60シリーズ初のフルボディスタイリングキット」と謳われる通り、前後左右にスポイラーを装着。室内は、オフブラックのレザー内装に、ブラックメッシュのアルミパネルを組み合わせてクールにキメる。車両本体価格は、ベースとなった「2.5T」より60.5万円高の529.5万円。
エンジンは、SUV「XC90」用チューン由来の2.5リッター“ライトプレッシャー”直列5気筒ターボ。03年の「S60AWD」(4WD)に続き、04年モデルからFF(前輪駆動)車「S60 2.5T」にも搭載された。209ps/5000rpmの最高出力と32.6kgm/1500-4500rpmの最大トルクを発生。5段ATを介して、場合によっては前脚で地面を掻く。つまりホイールスピンする。
ヨンゴーのラバーを巻いた17インチホイールを吊すサスペンションには、ホットな「T5仕様」よりさらにワンランク上の「スポーツプラス」が奢られる。硬いな。
“ライト”と言いつつも、明確な過給フィールを伴うS60 2.5Tの力強い加速は楽しいが、ことさら“曲がり”でドライバーにエクサイトメントを与えるクルマではないので、活躍の場はもっぱらハイウェイになろう。高速巡航では、C70カブリオレ同様「ドルビー・プロロジックシステム」を採用した(こちらは)13スピーカーの「harman/kardon」社製オーディオも真価を発揮するはず。
250psの「S60T-5スポーツ」より24.5万円安く、しかし押し出しは強い2.5Tスポーツ。甲冑を着た雄々しい騎士か、はたまたドンキホーテか。世間において、“アグレッシブなボルボ”がドコまで許されるのか、それを探る斥候モデルである。
(文=webCGアオキ/写真=市 健治/2004年2月)
・ボルボ・スペシャルエディション試乗報告【短評(後編)】(2004/03/07)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000014919.html

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。