トヨタ・イプサム240u Gセレクション7人乗り FF(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・イプサム240u Gセレクション7人乗り FF(4AT) 2003.11.20 試乗記 ……306.2万円 総合評価……★★★ 新登場の「ホンダ・オデッセイ」を多少なりとも迎撃しようと、コスメチックなマイナーチェンジを受けたトヨタの4枚ヒンジドア・ミニバン「イプサム」。『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。
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人生の通過モデル
ちょっと前までは「乗用車のような」というフレーズがミニバンのホメ言葉として使われていたが、いまやすっかりミニバンが乗用車にとってかわった日本市場。むしろ「ミニバンのみたいな(ユーティリティの高さ)」が、3ボックスやワゴンのホメ言葉となっている。
……コスメティックな変更をうけたトヨタの中堅ミニバン「イプサム」のステアリングホイールを握りながら、そんなことを考えていた。さらに「カーブでグラリをしたのは過去のこと」と、しっかりした“走り”に感心していたら、ダンパーが「硬(スポーツ)-中-軟(コンフォート)」のスポーツに設定されていた。ダンパー切り替えスイッチなんて、かつては、それこそ上級セダンにしか装備されなかったのに!
ほどほどの乗り心地。不満ない動力性能。充実した装備。7人乗れる。イプサムは、人生におけるひとつの通過モデルだ。ウソかマコトか“ハッピーファミリー”のための。「プレミオ/アリオン」はもちろん、「カムリ」よりグッとお高いプライスで、トヨタもハッピー。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年5月14日に発表された2代目イプサム。「ミニバン、トゥモロー」をテーマに開発された。ホンダ・オデッセイにならった4枚ヒンジドアのボディは継承しつつ、車体寸法、エンジンともに、「5ナンバーサイズ、2リッター直4」の先代よりひとまわり大きくなった。ドライブトレインは、2.4リッター直4ツインカム+4ATの1種類。FFモデルのほか、「アクティブトルクコントロール4WD」システムを備え、「FF」と「4WDオートモード」が選べる4WD車も用意される。
2003年10月2日にマイナーチェンジを受け、スッキリした顔つきになり、内外装に新色が設定された。情報ネットワークサービス「G-BOOK」に対応したDVDナビが設定されたことも新しい
(グレード概要)
マイチェンにともなってグレードが底上げされた。素の「e」は廃止され、ベーシックな「i」、よりスポーティにふった「s」、そして装備充実の「u」が設定される。それぞれにFFと4WDモデルあり。
テスト車の「u Gセレクション」は、「前席ダブル&カーテンエアバッグ」「クルーズコントロール」「木目調+本革のステアリングホイール」など、最も豪華な装備が奢られたグレードである。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
円周部にトランスルーセントな縁取りが施されたメーター類。センターコンソールのディスプレイ下部にも、透明プラスチックのカバーが用いられる。「木目調パネル」「革巻きステアリングホイール&シフトレバー」「2トーンの樹脂類」そして「ファブリック」と、いかなる様式も拒否する場当たり的デザインが、しかし日本の日常にマッチする。
一方、6.5型ワイドディスプレイのパネルタッチパネルをもつわかりやすいDVDナビ、使い方が明確なエアコン、オーディオ類、左手に近い位置に生えるシフトノブといった機能性の高さや、「クルーズコントロール」、ノーズにCCDカメラをつけた「ブラインドコーナーモニター」、バック時にリアの状況をディスプレイする「バックガイドモニター」、「12V電源」「VTR入力端子」はたまた「コンビニのビニール袋用(?)買い物フック」など、しごく充実した装備が、ニッポンの工業製品であることをアピールする。
(前席)……★★★
ドライバーズシートのみ、電動で前後上下リクライニングを調整できる。ほどほどの大きさのイス、あたりはソフトだが、平板な座り心地。すべてのイプサムの前席には「角度調整式アームレスト(運転席・助手席)」が備わり、やはり全グレード標準装備の「木目調格納式センターテーブル(カップホルダー付き)」とあわせ、運転しながらでも“応接間感”を満喫することが可能だ。
(2列目シート)……★★★★
7人乗りではベンチシート風になるセカンドシート。6:4の分割式で、それぞれスムーズに前後にスライドできる。膝前、頭上ともじゅうぶんなスペースあり。バックレストに埋め込まれるアームレストを引き出せば、2人分のカップホルダーが出現する。さらに前席の「木目調格納式センターテーブル」にも2本のカップを差せるから、清涼飲料水好きのキッズも大満足。テスト車には、オプションの「9型ワイドディスプレイ」が天井から下がるから、気の進まない家族旅行でも、退屈しないですむ。
(3列目シート)……★★
着座位置は低く、座面も短いが、セカンドシートの乗員の好意を得ることができれば、つまりじゃっかん2列目シートを前に出してもらえれば、大人でもなんとか実用に使える。平板なバックレストは恐れ入るが、それでもしっかりしたヘッドレストと、3点式シートベルトが備わるのが心強い。左右ホイールハウスの上には、肘掛けとモノ入れ、カップホルダーが用意され、スペースを無駄にしない。
なお、サードシートはもちろん可倒式。背もたれの裏表、どちらから出ているストラップのいずれかを引くことで、簡単にバックレストを前に倒して、荷室をフラットに広げることが可能だ。
(荷室)……★★★
かつての“高級”装備、テールゲートの「電磁オープナー」も、大量生産の威力の前に大衆化。イプサムオーナーは、スマートに開けられる。
荷室の床面最大幅127cm、奥行きは48cm。サードシートを畳めば、2m程度の長尺モノを積むこともできる。ちなみに、天井までの高さは85cm。
人員満載時のラゲッジスペースをすこしでも増やそうと、床下には35cmという深い収納部が確保される。スペアタイヤは? なんと助手席の下に吊されている。感心。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
走り出しに「オッ!」と思わせるトルキーさ。しかしスロットルペダルを踏んでいっても、思いのほか湧き上がらぬ力強さ。……といったことに気づく前に、「運転」に対する意識が薄れる2.4リッター“実用”ユニット。4段ながら、卓越したシフトプログラム(ほか)で、まったく不満を感じさせないトランスミッションと、すばらしい黒子タッグを組む。縁の下の力持ち。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
セミアクティブサスたる「H∞-TEMS」を搭載。ミニバンを感じさせないスムーズな乗り心地がジマン。ハンドリングを含め、セダンやワゴンから乗り換えても、違和感はなかろう。
3段階に単純化された可変ダンパーシステムは、意外なほど(?)利く。「硬(SPORT)」を選べば、それこそ「スポーツ走行」も可能だ。これには、永年使ってダンパーが全体にヘタっても、「硬」にすると、足まわりがちょっと“生き返る”という特典もある。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2003年10月28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:650km
タイヤ:(前)205/65R16 92H/(後)同じ(いずれもDUNLOP SP Sport300)
オプション装備:音声案内クリアランスソナー/イプサム・シアターシステム(G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーション/6.5型ワイドディスプレイ+DVD・MD一体AM/FM付ラジオ+TV+ビデオ+スピーカー&後席9型液晶ワイドディスプレイ/ブラインドコーナーモニター&レーンモニタリングシステム&音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニター)(42.2万円)br>テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(8):高速道路(2)
テスト距離:−−
使用燃料:−−
参考燃費:−−

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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