トヨタ・イプサム240u(7人乗り/4WD)(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・イプサム240u(7人乗り/4WD)(4AT) 2001.07.07 試乗記 ……331.0万円 総合評価……★★★ファミレスの5000円のステーキ
ガイアやナディアにも使い回した基本ハードウェアを捨て、オデッセイ対抗商品として「よりそれらしいモノ」とすべく一新されたイプサム。具体的には、旧型比エンジンもサイズも確実にひとまわり以上デカくなった。もはや5ナンバー寸法枠には入らない。見た目のファンシー度をググッと抑え気味に、というかほとんどなくした。ヨーロッパでも売る(車名は「ピクニック」)のは旧型と同じでも、そういうわけで打ち出しはだいぶ違う。早い話、トヨタとしては例の「イプー!」の件をもう忘れてほしいようだ。
全体の印象は「中の上」いや「凡庸の上」。初代大エスティマのようなパッケージングの夢や、マツダMPV のような心にしみ入る乗りアジや、初代ホンダ・オデッセイのようなスポーティネスといった“サムシングスペシャル”は、これといって別にないけれど(ホントにない)、特になにも期待しないで乗ると「お、悪くないかな」ぐらいは思える。あからさまなイビツさやお客をバカにしたようなところがなくて、あるいは少なくて、非常にいい意味でトヨタ車らしい。旧型スパシオはもちろんのこと、ナディアやガイアのような魂の抜けた商品を買うよりはるかにマシだ。いわゆる車格上それなりのランクにいるクルマなのだなという感触もある。
ただし、この状態で331.0万円というゴリッパな価格を知ると気持ちは急速にさめる。ジャンルはまるで違うけど、もうちょっとでBMW318i(AT=368.0万円)が買えてしまう。また、合計63.0万円にもなる各種オプション品がない状態を想像するとさらにさめる。さしずめファミレスで5000円のステーキ(実際あるかどうかは知らないけど)を食べたときのようなムナしさがなかったといったらウソになる。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年5月14日に発表された2代目イプサム。「ミニバン、トゥモロー」をテーマに開発された。ホンダ・オデッセイにならった4枚ヒンジドアのボディは継承しつつ、車体寸法、エンジンともに、「5ナンバーサイズ、2リッター直4」の先代よりひとまわり大きくなった。ドライブトレインは、2.4リッター直4ツインカム+4ATの1種類。FFモデルのほか、「アクティブトルクコントロール4WD」システムを備え、「FF」と「4WDオートモード」が選べる4WD車も用意される。
(グレード概要)
イプサムの基本グレードは、素の「e」、ベーシック「i」、空力パーツを付けた「s」、そして装備充実の「u」。それぞれにFFと4WDモデルが用意される。テスト車の「u」は、ディスチャージヘッドランプ、フロントフォグ、バックソナーほか、本革巻きステアリングホイールには、シーケンシャルにギアチャンジできる「ステアシフトマチック」が備わる。オーディオ類は、「MD&CD一体型ラジオ+6スピーカー」が標準となる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ボーヨーとした全体形が車両感覚を幻惑させるヴィッツや、あるいはビミョーなチグハグさがすごく気になるカローラあたりと較べたら、イプサムのこのへんはずっとマシ。パッと乗っていいようのない違和感を抱くことはなかったし、また細かいスイッチ類の操作に戸惑うこともなかった。強く印象に残るようなところはどこといってないけれど。
(前席)……★★★
ここもやはり、カローラよりはずっとマシ。納得できる運転ポジションがスッと決まる。クッションもそれなりフンワリと優しげ。サイズもまあ、不足なし。
(2列目シート)……★★★
まあ自然な着座姿勢、および周囲の空間のカタチ。全体としての印象は1列目と同様。ノアと較べればそれこそ夢のようだが、ミニバンらしいリッチな居心地は別になし。これだけデカいクルマで「この程度?」なムナしさがちょっとあった。
(3列目シート)……★★★
旧型イプサムよりは確実にマシなサイズのシート、および空間。背もたれを倒すと、座面も連動して前上がり方向へと角度が変わる。それなりの工夫あり。ただし、シートそのものは、依然としてオマケのレベル。まだしもちゃんと使える3列目として、ステップワゴンにハッキリ負ける。ただし、ステップワゴンは2列目がイプサムに負ける(ステップワゴンの2列目はステップワゴンの3列目にも負ける)。
(荷室)……★★★
今回のメダマは、スペアタイヤを助手席下に移して得た床下収納。駆動系を避けた排気管によるケラレがないFFモデルであれば、実際可能かどうかはともかく「ゴルフバッグ、入るかも」ぐらいのありがたみはある。ただし、テスト車はヨンクのほう。嬉しさも半分。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
「デカい4気筒ならではの魅力=豊かな実用域トルク」がなくもない。一方、デカい4気筒にありがちなイヤな振動は特になし。とりたてて感動的ではないけれど、アタマにくるほどでもない、実にトヨタ的に目端の効いたオートマ。車検証重量1.6トンに対して不足なし。ただし、パワートレインじたいの魅力はステップワゴンのほうが上。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
MPVほど感動的ではないがそれなり自然で、かつ表情豊かなクルマの動き。バネ下の重さやドタドタ感等ヨンク特有のイヤ味特になし。と思ったらナンと4段階可変ダンパー(笑)。アホらしくて真剣に試さなかったが、ベターなのは下の2段。実際にはいちばんソフトな状態でほとんど通した。カタいほうは、一瞬使って「ああカテえ」でお役御免。意味なし。
(写真=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者:森 慶太
テスト日:2001年5月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:960km
タイヤ:(前)205/65R15 94S/(後)同じ(いずれもトーヨー Tranpath J39)
オプション装備:VSC(Vehicle Stability Control)+TRC(TRaction Control)(8.0万円)/前席サイド&カーテンエアバッグ(7.0万円)/DVDナビゲーションシステム+後席液晶カラーテレビ+音声ガイド付きカラーバックモニター(48.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:286.4km
使用燃料:37.3リッター
参考燃費:7.7km/リッター

森 慶太
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