ルノー・ラグナ ワゴンV6(5AT)【ブリーフテスト】
ルノー・ラグナ ワゴンV6(5AT) 2003.01.29 試乗記 ……375.0万円 総合評価……★★★★潔い実用ワゴン
ブランドイメージに頼ったいわゆる“プレミアム性”は薄いが、“大量の荷物と大勢の人間を運ぶ”というワゴン本来の目的に、真摯に向き合ってつくられているところに好感がもてる。また、インテリアの造形やシートアレンジなどで世の流行を追った結果、ワゴンの機能がないがしろにされるようなこともなく、実用ワゴンに徹していて潔い。ワゴンをワゴンらしく使いたい人には、価値ある1台だろう。
日本市場でのライバルは、プジョー「406ブレークV6」(384.0万円)、ボルボ「V70SE」405.0万円)、フォルクスワーゲン「パサート ワゴンV6」(390.0万円)といったところ。競合車に対するラグナのアドバンテージは、欧州の衝突安全試験「ユーロNCAP」において、2001年に世界で初めて5つ星を獲得した安全性の高さと、使いやすいラゲッジスペース&積載量の多さだ。大柄なボディに2.9リッターV6DOHCという内容をふまえると、ラグナワゴンV6の車両本体価格(375.0万円)は安いといえるだろう。ルノージャポンのスタッフも「利益は二の次。ルノーというブランドを、日本で再構築することを第一に設定した価格」と明言する。つまり、“お買い得モデル”ということだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ルノー「ラグナ」は1993年に初代がデビュー。現行モデルは2000年にフルモデルチェンジを受けた、通称「ラグナII」である。ボディサイズを、先代と較べて全長80mm、全幅が45mm拡大された、全長×全幅×全高=4580×1790×1435mm。ホイールベースは80mm延長され、2750mmとなった。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラットで同じだが、リアはトレーリングアームからトーションビームに改められた。ボディ形状は従来通り、5ドアハッチバックとワゴンが設定される。
(グレード概要)
欧州デビューから遅れること3年、2003年1月28日から日本に導入されることになったラグナ。わが国でのラインナップは、2.9リッターV6+5段AT仕様の、5ドアハッチバックとワゴンの2種類である。装備品として、左右独立式フルオートエアコンやオートワイパー、クルーズコントロールなどが備わる。ルーフレールとバックソナー、さらに、荷室へのアクセスを容易にするガラスハッチは、ワゴン専用装備だ。
ラグナは2001年に世界で初めて、欧州衝突安全テスト「ユーロNCAP」において、最高の5つ星評価を得た(前面衝突15点(満点は16点)側面衝突18点(満点))。安全装備は充実しており、前席、前後席サイド、カーテン、合計8個のエアバッグなどを標準装備する。アクティブセーフティは、車両安定性を高めるESPや、緊急ブレーキ時に踏力を補助するエマージェンシーブレーキアシスト、EBD付きABSが備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
ラグナのキーは、厚さ約4mmのカード型ユニット。エンジンを始動するには、カードをセンターコンソールに挿入し、ステアリングホイール右側に備わるボタンイグニッションを押すだけでよい。クランキングの間キーをまわし続ける必要がないうえに、カードの携帯性もよくて便利だ。次世代からは日産「インテリジェントキー」のように、持っているだけでOKになるという。
細かいところでは、各メーターのフォントの書体がこれまで見たことのない新しいものになっていて新鮮だ。また、ワゴンにはバックソナー、ルーフレール、ガラスハッチオープン機能などが標準で装備されていて便利。お買い得な印象を高めている。
(前席)……★★★
大振りのレザーシートは長距離を走っても疲れにくいものだが、あと少しだけ“アンコ”を詰めて欲しい。ルーテシアのそれのように、コシがあって包み込まれるようなかけ心地ではないのが残念。やや平板。パワーシートなので、シートポジションは細かく調節できる。
(後席)……★★★★★
後席の居住空間はとても広い。背面、座面とも、厚みとクッションがたっぷりとしていて申し分ない。ダブルフォールディング式のシートを畳んでも、ラゲッジスペースの床はフルフラットにはならないが「かけ心地を損なってまで、無理してフルフラットにする意味はない」と、ルノーのスタッフは語っていた。その見識の高さに感心させられた。日本車(特にミニバン)のエンジニア(とユーザー)に、ぜひ聞かせたい一言だ。
(荷室)……★★★★★
上記ルノー・スタッフの証言通り、ラグナ ワゴンのラゲッジスペースはリアシートをフォールディングしなくても広大だ。サイズは1100×1100×750mm(フォールディング時の奥行きは1800mm)と、十分な空間が確保される。容量は最大1400リッター(VDA方式)。荷物をたくさん積めるのはいうまでもなく、無駄なスペースとなるサスペンションハウスの出っ張りも少ない。上下に広いことと、ワゴン専用装備のガラスハッチオープンにより、荷物の出し入れもしやすいだろう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
エンジンの吹き上がりが鋭く小気味いいが、2.9リッターV6のわりにトルクが細く感じられる。アイシン製5段ATのシフト自体は滑らかで好ましいが、マニュアルシフトをしようとするとレバーの動きが渋いので、積極的にシフトしようという気がおきない。これなら、マニュアルモードは要らない。ちなみに、2003年春に2リッター版が追加導入されるそうだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
大きなうねりのような凹凸はうまくいなして踏ん張るが、細かな突起のようなものはショックをそのまま伝える。リアサスペンションに初採用した、液体充填ハニカム状ラバーブッシュに“アタリがつく”のに、1万kmほど要するとルノースタッフがいっていた。テスト車は900km程しか走っていなかったから、もう少し走行距離を重ねたり、タイヤを換えれば多少マイルドになるかもしれない。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2002年12月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:934km
タイヤ:(前)205/55R16 91V(後)同じ(いずれもコンチネンタル Plemium Contact)
オプション装備:--
走行状態:市街地(10)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

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