プジョーの新型コンパクト「208」が日本上陸
2012.09.20 自動車ニュースプジョーの新型コンパクト「208」が日本上陸
プジョー・シトロエン・ジャポンは2012年9月20日、コンパクトカー「208」の日本導入を発表した。同年11月1日から販売を開始する。
■先代モデルより小型化
プジョーではすっかりおなじみの、2桁目をゼロとした3桁数字を最初に使ったのは、1929年発表の「201」だった。最初に前輪駆動を採用したのは「204」で、続く「205」は「GTI」によってスポーティーなブランドイメージを確立した。長年ピニンファリーナが担当してきたスタイリングを、社内で手掛けるきっかけになったのは「206」だった。
このように200番台のプジョーは、このブランドにおける革新の歴史の主役であり続けてきた。今回日本に上陸した最新作「208」も、その伝統を受け継いでいるようだ。「RE-GENERATION」というコンセプトを掲げ、クルマの常識をも見直す革新的なモデルとアナウンスされているのだから。
3ドアと5ドアの2タイプが用意されたボディーを見ると、たしかに革新的な部分がいくつか見て取れる。まずはボディーサイズだ。208は前作「207」より小さくなった。PSAグループの「プラットフォーム1」を引き継いだ関係もあってホイールベースは2540mmのままだが、オーバーハングをフロントで75mm、リアで10mm短縮している。
その結果、207では4mをオーバーしていた全長が、3960mmと4m以内に収まることになった。1740mmの全幅についても、10mmダウンサイジングしている。207で一気に拡大した反動かもしれないが、道路事情に恵まれない(?)日本のユーザーにはうれしいニュースだ。
■カタチにこだわるコンパクト
デザインは、先に「508」に導入されたプジョーの新しい顔、「フローティンググリル」を採用したことが目を引く。3ドアと5ドアで微妙に違うボディーサイドのキャラクターライン、最近のコンセプトカーの流れをくんだ鋭角的なリアコンビランプともども、プジョーらしさを継承しつつフレッシュな印象をもたらしてくれる。
インテリアはそれ以上に斬新かもしれない。ステアリングは小径でしかも楕円(だえん)形。1970年代のシトロエンのグランドツアラー「SM」を思わせる。低いインパネの奥から立ち上がったメーターは、ステアリングホイール上端より外側に見ることになる。ヘッドアップディスプレイの考えを応用したそうで、運転中の視線移動が少ないので安全性が高いという。
インパネの中央に置かれた、セミフローティングスタイルの7インチタッチスクリーンもポイントだ。オーディオ、ドライブコンピューター、Bluetooth接続のハンズフリーキットなどを、直感的にコントロールできる。
ボディーサイズは小さくなったものの、室内は狭くなっていない。例えば後席のひざの前の空間は207に比べて50mmも拡大されており、オーバーハングが短縮された荷室も15リッターアップの285リッターをマーク。後席を畳んだ場合の容積は1076リッターが確保されている。
■タイプの異なる4モデル
グレードは、3ドアモデルが「アリュール」と「GT」、5ドアが「プレミアム」と「シエロ」の合計4車種だ。このうち5ドアモデルは、どちらも自然吸気の1.6リッター直4エンジン(120ps/6000rpm、16.3kgm/4250rpm)に4段ATが、3ドアモデル「GT」は1.6リッター直4ターボ(156ps/6000rpm、24.5kgm/1400-3500rpm)に6段MTが組み合わされる。いずれも207でおなじみのパワートレインだ。
ただ、残る3ドアモデル「アリュール」には、日本市場に初登場となる新開発の自然吸気の1.2リッター直列3気筒(82ps/5750rpm、12.0kgm/2750rpm)が搭載される。こちらのトランスミッションは5段MTのみ。208のボディーは、小型化に加えて各部を軽量化したおかげで、同じエンジンを積む207より100kg軽くなった。ゆえに1.2リッターでも十分に走れるという判断の結果である。
当然ながら環境性能はハイレベルで、欧州モードでの1km走行あたりCO2排出量はわずか104gにとどまっている。さらに208では、車体に使用されるポリマー素材の25%をリサイクルで賄う。207は7%だったから飛躍的な進歩だ。全車にESC(横滑り防止装置)を備え、エアバッグは6個を装着し、ユーロNCAPの衝突実験では最高の五つ星を獲得するなど、安全性もクラス最高レベルとなっている。
価格は下から、「アリュール」(3ドア、5MT)が199万円、「プレミアム」(5ドア、4AT)が216万円、「シエロ」(5ドア、4AT)が240万円、「GT」(3ドア、6MT)が258万円。「アリュール」は2012年12月1日に、それ以外の3モデルは同年11月1日に発売される。
ボディーカラーは7色用意され、インテリアカラーはブラックを基本とするものの、「プレミアム」ではグレーも選択可能になっている。
(文=森口将之)