「ディスクローターの錆について」
2002.05.17 クルマ生活Q&A ブレーキ「ディスクローターの錆について」
2001年型のトヨタ・セリカ(SSIIスーパーストラットパッケージ)に乗っています。事情によりしばらく乗らないでいると、すぐにディスクローターの表面が錆びます。一応、屋根付き・コンクリート打ちの自宅カーポートに置いてあるのですが、雨の日はローターに直接雨が当たるようで、雨があがった翌日にはもうサビが出はじめます。錆びた後に走ると、ブレーキ使用時にジャダーが起きて、そのうちサビが削れると収まります。
ディスクブレーキによく風が当たるようにするため、アルミホイールの開口部が結構広く、そのため雨がよく当たり、外気にもよく触れるので、錆びやすいのだと思います。
そこで質問なのですが、
(1)ブレーキローターのサビはブレーキ性能に悪影響を与えるでしょうか。
(2)錆びないようにしたり、錆びにくくさせるための方法はありますか。
(3)錆びてしまった後のメンテナンス方法はありますか。
(4)そもそも、クルマの保管状態に問題がありますか。
(5)やっぱり、時間がないといいながらも、クルマには毎日短時間でも乗ってあげるのがいいですか? どうか、お教えください。(NKさん)
お答えします。
ディスクローターは裸のままの鉄で出来ていますから、多少のサビは仕方ないでしょう。ローターが錆びてしまうと見栄えはいいものではありませんが、特に悪影響はありません。気にしないのが一番です。
ローターにうっすらと付着しているサビは、アカサビといってすぐに取れてしまうサビです。ローターが錆びたクルマに乗るときは、初めはゆっくりとブレーキをかけてください。一度ブレーキをかければピカピカのディスク部が見えてきて、いつも通りのリニアなブレーキフィールになることでしょう。ただし急激に踏み込むとパッドとローターが偏摩耗を起こしジャダーの原因になることがありますから注意して下さい。
自動車用ディスクローターの材質は「ネズミ鋳鉄」という、通常の鉄鋼に較べ錆びやすい鉄です。しかし「振動」や「潤滑」を補える性質を持っています。荷重の大きなクルマを安全に止めるには、振動を低減することや、引っかかりなくスムーズなブレーキングを行なうため潤滑が必要なのです。
欧州車のディスクローターやブレーキパッドの材質に関して、ディスクローターは錆びやすく、パッドはホイールを黒く汚しやすいといわれます。しかしブレーキのタッチや制動性が良好なので、最近では国産車もヨーロッパ車にならった材質を使うようになっているようです。
ブレーキの錆に特別なメンテナンスは必要ありません。錆るのがイヤだからといって、毎日乗る必要もありません。だからといって、もちろん置きっぱなしもよくありませんから、バッテリーやタイヤのため、すくなくとも1週間に1度ぐらいは乗って調子を整えましょう。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。