三菱ランサーセディアSE-R(CVT)【ブリーフテスト】
三菱ランサーセディアSE-R(CVT) 2000.08.11 試乗記 ……207.3万円総合評価……★★
誰がためにセディアは走る?
「軽」から3ナンバーモデル、ギャランまでの広い隙間を埋めねばならない4ドアセダン。日本、アジア、そして北米までをカバーするためか、スタイリングは呆れるほど保守的。その分(?)、ビッグキャビンと絞りの少ないサイドピラー、先代より100mm延長したホイールベースの恩恵で、室内は広い。
GDIと組み合わされたCVTのデキはすばらしい。普通にドライブするかぎり、通常のATとなんら遜色ない、というか、シフトショックがないので、よりスムーズ。
登場当初から古ぼけた外観とは裏腹に、歴代「エボ」シリーズで鍛えられた足まわりも、これまたグッド! 適度なロールとシュアなハンドリングが気持ちイイ。(FFなのに)キレイなドリフトを決めるテレビCMはウソじゃない。技術力と商品性が乖離した好例。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年5月9日に発表されたランサーセディアは、ミラージュディンゴのフロアパネルをストレッチ、2600mmのホイールベースに4ドアボディを載せた正調セダン。ラインナップは、1.8リッターと1.5リッター、2種類のエンジンに、いずれもCVTが組み合わされると、いたってシンプル。サブネームのセディアは、「Century」と「Diamond」からの造語だ。
(グレード概要)
SE-Rは、ラグジュアリー系モデルの最上級グレード。14インチアルミホイール、7インチディスプレイを備えたカーナビ、本革ステアリングホイール、シフトノブなどを標準で装備する。スポーティモデル、「Touring」より13.8万円高い。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネまわり+装備)……★★★★
センターコンソールとトンネルが分離した、意外に(?)斬新なインパネまわり。大きなセンターディスプレイ、実直に四角く並んだボタン群と大径のダイアルスイッチ類。見かけはともかく、使いやすい。ナビゲーションも、システムそのものに疑問なしとはしないが、「現在地」「広域-詳細」などの日本語表記と合わせ、まことにユーザーフレンドリー。
(前席)……★★★★
ルーフに向かっての絞り込みが少ないスタイルゆえ、車内は広い。特に頭部周辺の広々感は高い。フロントグラスの角度は急だが、はじまりが運転手から遠いので、身長165cmのテスターの場合、「額に突き刺さる」の感はない。シートは、柔らかく、ラグジュアリー。座面の角度調整が可能だが、個人的には、背もたれ寄りをじゅうぶん上げる、つまり座面を前のめり気味にできないのが、やや不満。
(後席)……★★★★
先代より10cm延長されたホイールベースの恩恵は、主に後席にもたらされた。台湾では「高級車」と見なされるというランサーセディア、ショファードリブンも考慮され、足元は広い。座面の奥行きにも不満はない。後席バックレストは可倒式ではないが、肘掛けを出せば、トランクスルーが可能だ。
(荷室)……★★★
奥行き95cm、床面最大幅135cmのトランクルーム。家族5人で大旅行にでも繰り出さない限り、必要充分であろう。ただ、トランクリッドをダンパーではなく、荷室上部に左右に渡したトーションバーで支えるため、荷室の高さが若干スポイルされる。幅×奥行き×高さ=48×26×46cmの帽子ケースを立てて収納することができなかった。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
「GDI! GDI! GDI! 」。テレビCMでの威勢のいいかけ声とは裏腹に、セディアの1.8リッターは、「トロン」としたおとなしいエンジン。京都は八木工場で製造されるCVTとの相性は非常にいい。急加速時など、回転数が3000rpmを超えると、こもったうなり声を高める。CVT採用で、三菱ジマンの直噴GDIユニットの性能を発揮しやすくなった。つまり、燃焼効率の良い回転数を多用できるので、燃費向上が期待できる、と同社は主張する。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
乗り心地と運動性能のバランスがとれている。足まわりは柔らかく、走ると、これまたトロンとしたフィーリング。街なか、高速とも、安楽安楽。一方、「曲がり」では、タイヤの性格もあって限界は高くないが、挙動が素直なので不安感はない。熟成進むマルチリンクサス。ほんのり感じる「ランエボの味」って、本末転倒?
(写真=五條伴好)
【テストデータ】
報告者: web CG 青木禎之
テスト日 :2000年7月24から26日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2000年型
テスト車の走行距離: 5284km
タイヤ :(前)185/65R14 86S(Yokohama S220)/(後)同じ
オプション装備 :電動スライドサンルーフ(7.5万円)
テスト形態 :ロードインプレッション
走行状態: 市街地(4):高速道路(6)
走行距離 :338.3km
使用燃料 :30.8リッター
参考燃費 :11.0km/リッター
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.7.13 日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。




