マツダ・アテンザ【試乗記】
ゼロから真面目に 2002.06.11 試乗記 マツダ・アテンザ Sport(4AT)/アテンザ セダン2.3&2.0(4AT/4AT) ……230.0万円/210万円/200万円 2002年5月20日に発表された、マツダ久々のニューモデル「アテンザ」。広島期待の星にして、ワールドカーの試乗会が、神奈川県は箱根で開催された。5ドアハッチバック「Sport」とセダンに、webCG記者がチョイ乗り!
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世界戦略車
「Zoom-Zoom」のCMもお馴染みになりつつある(?)マツダ。同社が久々に放つニューモデル「アテンザ」が、2002年5月20日にデビューした。ダイナミック性能、スポーティという「マツダのDNA」を体現しながら、パッケージングも優れるミディアムクラスを謳う。
4ドアセダン、「Sport」と呼ばれる5ドアハッチ、そしてワゴンが用意されるアテンザ。日本だけでなく、「MAZDA 6」の名前で、欧州や北米(北米はセダンのみ)でも販売される「世界戦略車」だ。フォードグループで使用される“中型FF車”の、基本となるクルマでもある。だからプラットフォーム、エンジン、サスペンションなどはすべて新設計。マツダのエンジニアは「フォードグループ内で、マツダの技術力をみせつけたかった」と語る。かなり気合を入れてつくられたクルマなのだ。同席していただいた自動車ライター、下野康史さんが聞いたアテンザのベンチマークは、BMW「3シリーズ」やアウディ「A4」などだ。「FRのハンドリングをFFでも実現できるんじゃないかと、今は思っています」。エンジニア氏の発言から、並々ならぬ自信が感じられる。
日本では、2リッター直4と、2.3リッター直4がラインナップされる。ちなみに、ワゴンの発売は少し遅れて、2002年6月24日を予定。さらに1ヶ月ほど遅れて、全車種に4WDが追加される予定だ。FFモデルの4段ATに対し、4WDには5段ATを採用することが、ほぼ決定しているという。
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「いいんじゃないの!」
まず、5ドアハッチバック「Sport」の2.3リッターモデルに乗った。リアスポイラーやディスチャージヘッドランプを標準装備し、タイヤは215/45R17&アルミホイールを履くトップグレード「23S」である。ボディサイズは、全長×全幅×全高=4670×1780×1445mm(セダンは1430mm)、ホイールベースは2675mm。新開発の2.3リッター直列4気筒DOHCは、2リッターとともに「MZR」エンジンと呼ばれるもの。広島、ディアボーン(アメリカ)、チワワ(メキシコ)、バレンシア(スペイン)で製造され、マツダのみならず、フォードグループ全体で採用されるグローバルエンジンだ。オールアルミ製で、吸気バルブタイミングを連続的に変化させる「S-VT」(シーケンシャルバルブタイミング)を採用。178ps/6500rpmの最高出力と、21.9kgm/4000rpmの最大トルクを発生する。2.3リッターのトランスミッションは、シーケンシャルモードを備える4段AT「アクティブマチック」を装備する。
国内のライバルと目される、ホンダ「アコードワゴン」のエンジンは、排気量も形式も同じ2.3リッター直4である。SOHC仕様は、160ps/5700rpmと21.8kgm/4900rpmのアウトプット。DOHC+VTEC仕様になると200psと22.5kgmを発生する。マツダ・アテンザは、VTEC仕様には出力でヒケを取るが、トルクはイイ勝負といえるだろう。
丸をモチーフにデザインされたインテリアは、シルバーのアクセントでスポーティ性を演出。センターコンソール表面をチタン調パネルで覆い、後ろにエアコンやオーディオを搭載する方式は、低コストとデザインを両立させるという、マツダ御自慢のモジュール式。ただ、あまりにメタル調の面積が大きくて、リポーターにはちょっと子供っぽく見えた。
箱根の山道を、カバタさんのドライブで走り出す。走り出した瞬間から、静粛性がすぐれていることに気がついた。助手席に座っていると、ちょっと遠いところでエンジンがまわっているような感覚である。きつい勾配、タイトコーナーが連続する山道を、マニュアルモードでギアを2速にホールドしたまま、高回転をキープして走っていたが、「4気筒エンジンの2次、4次、6次といった基本次数ノイズを残すため、リブの厚さや形状を最適にチューンしました」というエンジン担当エンジニア氏のコトバ通り。不快なノイズはなく、滑らかなエンジン音だけが高まる。
せっかくカバタさんと一緒なので、アテンザの感想を聞いてみたところ、「いいんじゃないの! アシはしっかりしてるし、ステアリングの剛性感も高い。ブレーキのききもいいよ」と、お褒めのコトバが並ぶ。
それを確かめてみようということで、ハンドルを握った。確かに乗り心地はフラットで、路面のバンプをよく動くサスペンションがいなす。コーナーリング中バンプを走り抜けても、アシがバタバタせず安定して駆けぬける。限界挙動に近づくと、オプションで装着される「DSC」(ダイナミックスタビリティコントロール)が介入してクルマの安定性を高めてくれる。DSCの介入が自然だから気がつかないこともあるくらい。まるでコーナリングが上手になった気分だ。ブレーキは利き具合以上に、ペダルの踏み応えがカッチリしていて安心。なるほど、カバタさんのいうとおりである。
「マツダのDNA」
次に、セダンの2.3リッターモデルと2リッターモデルに乗った。ボディサイズは、ハッチバックより全高が15mm低く、車重は50kg(2.3リッターの場合)軽い。タイヤもハッチバックの215/45R17というスポーティサイズでなく、205/55R16。走った印象はハッチバックより、スーっと軽い。
リアシートの居住性は、ハッチバックよりも明らかによかった。足元スペースは両モデルともかわらず、膝をやや伸ばしてくつろげる。ヘッドクリアランスは、セダンの勝ち。ハッチバックの場合、身長176cmのリポーターでは頭が天井につきそうになるし、Cピラーが顔の横にかぶるが、セダンにはそれがない。
2リッターモデルは、2.3リッターよりもさらに乗り心地がよかった。車重は2.3リッターより40kg軽く、195/65R15というタイヤサイズのせいもあって、より軽快なドライブフィール。街で乗るなら、リポーターは2リッターに乗りたいと思った。
エンジンは、144ps/6000rpm、18.6kgm/4500rpmのアウトプット。当然2.3リッターのパワー感はないし、4500rpm以上まわすと振動とノイズが耳につく。しかし、普通に走るぶんには、モタモタしてイラつくようなことはなかった。
2リッターに、アクティブマチックが搭載されないのは残念だった。アクティブマチックのマニュアルモードは、レバー操作に対するレスポンスがとてもよく、さらに回転があがってもギアを勝手にアップしたりしない。あくまで「マニュアル」感覚なのである。しかし2リッターの4段ATは、Dレンジ以外に、Sモードとローレンジしか選べない。学習機能により、ドライバーの癖にあわせたシフトワークをするはずなのだが、Sモードに入れてもあまり変化が感じられなかった。トランスミッションを担当したエンジニア氏によると「普通の方は、ほとんどDレンジでしか走らない」ので、シフトプログラムの改良に重点を置いたというが。ちなみに、待望(?)の5段ATは4WDに採用されることがほぼ決定。さらに、MT車の導入も検討されているという。「シフトチェンジは自分の手足で」という守旧派には、嬉しいニュースといえよう。
アテンザは総じて、「いいんじゃないの!」だ。エンジンはトルキーで、しかもよくまわる。ハンドリングも静粛性もすぐれる。いかにもゼロから真面目につくられたクルマ、といった感じだ。ただ、「マツダのDNA」として喧伝される“スポーティ”が、湧き出るほどではなかったけど。
(文=webCGオオサワ/写真=清水健太/2002年6月)

大澤 俊博
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