トヨタ・オリジン(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・オリジン(4AT) 2000.08.24 試乗記 ……700.0万円 総合評価……★★ミカワのタクミ
初代クラウンの自家版本歌取り。プログレなどに使われるFRプラットフォームに、センチュリー生産ライン熟練工の「匠の技」を活かしたボディを載せる。もちろん、観音開きのドアも再現。
複雑な形状のフロントフェンダーと車体正面のフロントエンドパネルを結合。複数のパネルを組み合わせてリアフェンダーを形成。いずれも、継ぎ目がまったくわからないクラフトマンズ・マージック! 顔が映るワンダホーなペイントは、最終塗装前に手作業で耐水ペーパーをかけ、塗装面を平滑にするご苦労のタマモノ。前後バンパーの、鮮映度の高いクロムメッキも見所のひとつ。
……といったオリジンの凄さは、説明を受けないとウッカリ者には理解できない。700.0万円。ファニーな外観に隠された作り手と買い手の強烈な自己満足。トヨタにとっては、「匠の技」継承と少量生産ノウハウ蓄積の一石二鳥。しかも約1000台の限定販売、完売(予定)。ミカワのタクミ。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
プログレなどで用いられるFRプラットフォームを利用した高級パイクカー。トヨタが培った「匠の技」と「最新自動車技術との融合」が謳われる。2000年11月1日から、約1000台の限定販売。
(グレード概要)
3リッター直6+4ATのモノグレード。DVDナビゲーションシステム、先行車との車検距離を自動的に維持するレーザークルーズコントロール、ナビおよびブレーキと連動してシフトダウンを行うナビ協調シフト制御など、自動運転へ向けて、着々と装備充実。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネまわり+装備)……★★★
オプティトロンメーターと呼ばれる光る文字盤を採用。ステアリングホイール、シフター、ウィンカーレバー先端など、随所に赤みの強い木目素材が使われる。ほのかに上品。シフター周囲のメッキも特別仕様だ。センターコンソールの時計は、プログレの「銀」から「金」に格上げされた。
(前席)……★★★
ステッチの幅にも気を使い、パイピングを施した柔らかめのレザーシート。背もたれに、金色に輝く「Origin」の文字。トヨタ初!の革刺繍である。ただし、座り心地に傑出したところは感じられなかった。
(後席)……★★★★
広い足元。頭上の空間も充分。座面の長さもイイ。後ろまで伸びたルーフは、日差しの強い真夏にはありがたい。居心地のいい後席だ。前開きのドアには慣れが必要。
(荷室)……★★
後席を広くとったためか、荷室の奥行きは90cmといまひとつ。床面最大幅は160cm、荷室高さは48cmと、こちらは標準的。ホイールハウスの張り出しが大きいのが減点ポイント。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
トヨタの直6は、スムーズで静か。出力も充分。でも、それだけ。連続可変バルブタイミング機構がついて、よりノッペリした印象に。クルマになんゾ、心乱されたくない御仁に。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
やんわり、決してトガらない乗り心地。金持ち喧嘩せず。10m走って感心。次の10mで、クルマに乗っていることを忘れる。トバすと、ロールアンダー強し。でも、そんな走らせ方をするヒトは、オリジンを買わない。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:web CG 青木禎之
テスト日:2000年8月24日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:780km
タイヤ:(前)195/65R15 91H(Dunlop SP Sport D8H)/(後)同じ
オプション装備:−−
テスト形態:ロードインプレッション(プレス向け試乗会)
走行状態:市街地(6):山岳路(4)
走行距離:−−
使用燃料:−−
参考燃費:−−
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
MINIジョンクーパーワークス(FF/7AT)【試乗記】 2025.10.11 新世代MINIにもトップパフォーマンスモデルの「ジョンクーパーワークス(JCW)」が続々と登場しているが、この3ドアモデルこそが王道中の王道。「THE JCW」である。箱根のワインディングロードに持ち込み、心地よい汗をかいてみた。
-
ホンダ・アコードe:HEV Honda SENSING 360+(FF)【試乗記】 2025.10.10 今や貴重な4ドアセダン「ホンダ・アコード」に、より高度な運転支援機能を備えた「Honda SENSING 360+」の搭載車が登場。注目のハンズオフ走行機能や車線変更支援機能の使用感はどのようなものか? 実際に公道で使って確かめた。
-
ホンダ・プレリュード(FF)【試乗記】 2025.10.9 24年ぶりに復活したホンダの2ドアクーペ「プレリュード」。6代目となる新型のターゲットは、ズバリ1980年代にプレリュードが巻き起こしたデートカーブームをリアルタイムで体験し、記憶している世代である。そんな筆者が公道での走りを報告する。
-
日産リーフB7 X(FWD)/リーフB7 G(FWD)【試乗記】 2025.10.8 量産電気自動車(BEV)のパイオニアである「日産リーフ」がついにフルモデルチェンジ。3代目となる新型は、従来モデルとはなにが違い、BEVとしてどうすごいのか? 「BEVにまつわるユーザーの懸念を徹底的に払拭した」という、新型リーフの実力に触れた。
-
NEW
第849回:新しい「RZ」と「ES」の新機能をいち早く 「SENSES - 五感で感じるLEXUS体験」に参加して
2025.10.15エディターから一言レクサスがラグジュアリーブランドとしての現在地を示すメディア向けイベントを開催。レクサスの最新の取り組みとその成果を、新しい「RZ」と「ES」の機能を通じて体験した。 -
NEW
マイルドハイブリッドとストロングハイブリッドはどこが違うのか?
2025.10.15デイリーコラムハイブリッド車の多様化が進んでいる。システムは大きく「ストロングハイブリッド」と「マイルドハイブリッド」に分けられるわけだが、具体的にどんな違いがあり、機能的にはどんな差があるのだろうか。線引きできるポイントを考える。 -
NEW
MTBのトップライダーが語る「ディフェンダー130」の魅力
2025.10.14DEFENDER 130×永田隼也 共鳴する挑戦者の魂<AD>日本が誇るマウンテンバイク競技のトッププレイヤーである永田隼也選手。練習に大会にと、全国を遠征する彼の活動を支えるのが「ディフェンダー130」だ。圧倒的なタフネスと積載性を併せ持つクロスカントリーモデルの魅力を、一線で活躍する競技者が語る。 -
なぜ給油口の位置は統一されていないのか?
2025.10.14あの多田哲哉のクルマQ&Aクルマの給油口の位置は、車種によって車体の左側だったり右側だったりする。なぜ向きや場所が統一されていないのか、それで設計上は問題ないのか? トヨタでさまざまなクルマの開発にたずさわってきた多田哲哉さんに聞いた。 -
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】
2025.10.14試乗記2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。 -
ただいま鋭意開発中!? 次期「ダイハツ・コペン」を予想する
2025.10.13デイリーコラムダイハツが軽スポーツカー「コペン」の生産終了を宣言。しかしその一方で、新たなコペンの開発にも取り組んでいるという。実現した際には、どんなクルマになるだろうか? 同モデルに詳しい工藤貴宏は、こう考える。