トヨタ・マークII2.0グランデ(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・マークII 2.0グランデ(4AT) 2000.12.04 試乗記 ……266.5万円 総合評価……★★★本物のモデルチェンジ
登場がウワサされるFRセダン「XLV」 待ち(?) で足踏み状態の日産を尻目に、トヨタFRプラットフォームのリニューアルは確実に進みつつある。ではなく、考えてみたら今回のモデルチェンジでほぼひととおり出揃ったかたちだ。というわけで、最後発マークIIのいわゆるパッケージングやカタチは、現行世代の各種FRトヨタ車で採用された路線の順当な延長上にある。
旧型比でいえば、新型マークIIはイッキに真っ当なクルマになった。マークIIだけを見ていうなら、これこそ本物のモデルチェンジだ。10年ぶんほどは新しくなった。
一方、アルテッツァが出てしまった時点ですでにトヨタFRセダンとしての存在意義(ただし、あくまで我々消費者にとっての)はイッキに希薄になっていた。というのは、旧型マークIIの、たとえばキャビン小さく、後席狭く、そのわりにサイズがデカいというイビツさを解消すると、それはアルテッツァのようなクルマになるから。
しかしマークIIの新型はこうして出てきた。当然といえば当然。売れスジ商品だから。今回のメインテーマは「ドライバーズセダン」だという。さてどうか。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
姉妹車クレスタとチェイサーに先立ち、2000年10月24日にデビューした9代目マークII。新しいトヨタの中堅FRセダンは、ビッグキャビンスタイルを採り、窓には枠が付いた。2.5リッターターボ(280ps)、主力の直噴2.5リッターNA(200ps)、直噴でない2.5リッターNA(200ps)、2リッター(160ps)、4種類のエンジンが用意される。ラグジュアリー指向の「グランデ」、スポーティの「グランデiR」に大別される。
(グレード概要)
2.0グランデは、マークIIシリーズのなかで最も廉価なモデル。「JZ」ユニットを用いる他グレードに対し、こちらは「G」型エンジン。なお、グランデ系は、2/2.5リッター+4ATの「グランデ」、2.5リッターに5ATを奢った「グランデG」、2.5リッターターボの「グランデG-tb」がある。装備面で「グランデ」を「グランデG」と比較すると、タイヤサイズがひとまわり小さく、ヘッドライトが通常のハロゲン、ステアリングホイールが樹脂製といった点が異なる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
液晶モニターを中央高く見やすい位置に置いて、なおかつ全体のカタチも仰々しくしない、圧迫感を出さない、という部分はセルシオより上手くできている。明らかにフォルクスワーゲン系各車を強く意識したらしき質感の作り込みも、すくなくとも今のところはまずまず新鮮。全体に、日本市場特有の好みとインターナショナル風味を上手にブレンドしている。細かい操作も、ビックリするほどではないがやりやすい。スイッチ類の数の多さを考えると健闘。カーナビ関係の操作ロジックもよく消化されている感アリ。このあたりとプラットフォームに関して、日産FRは確実にひと世代遅れ。
(前席)……★★★
たとえばカバー=表皮の柄。マークII伝統のいわゆる「演歌調」は、21世紀を目前にしてまた一段と脱臭が進んだ。トヨタは着実である。ガイシャ贔屓の人間が見た瞬間に「うげー」というようなものでは、もはやない。
高くなった着座位置。空間のカタチも、たしかにドライバーズセダンらしく適度にタイト。明らかにイビツな部分は特にない。が、スイートスポットのわかりにくい(というかナイのか?)着座感は相変わらず。また、くねくね道をトバす際に身体を安定させるのはひと苦労。悪くいえば見かけ倒しの感アリ。
(後席)……★★
大スジ、前席での印象と同じ。ただし、頭上空間の環境は旧型比大幅に改善。とはいえ、絶対的なスペースやサイズはカローラフィールダーに負けていた。唯一、左右の幅だけは勝っていたかもしれないが。
とってつけたような固定ヘッドレストは角度がマズい。見た目こそ大きくなっているが、実際は「点」というか「線」でしか乗員の後頭部を支えられない。
(荷室)……★★★
燃料タンクが後席座面床下へ引っ越したため容積は格段にアップ。当然ながら、特に奥行き寸法は別世界。そのぶんの余裕を後席空間のために使ったほうがよかったのではないかという気もするが、そうなるとホイールベース(現状ではクラウンやプログレと同寸)から考え直す必要が生じる。いわゆる車格ヒエラルキーの整合性にも問題が生じる。だったら全長をもっと詰めてはとも思ったが、そうなるとアルテッツァとの違いが……。うーむ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
これの前に乗った2.5リッター「D-4」ユニット搭載モデル は、そうと知るまで2リッター だと信じて疑わなかった。が、今回の仕様は乗った印象も額面どおり。オトシン(音・振動)関係のキャラクターも円満。基本設計はもはやトヨタ最古参に近いエンジンだが、意外や満足度高し。トルコンもイヤな滑り特になし。ただし、発進加速のスルドさを重視しすぎたか渋滞下の微妙な加減速が少々やりづらい。1速のギア比が敏感すぎる、つまり低すぎるのではないか。加速G一定で走れば問題なし、というところがやはりトヨタ車というか……。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
ベタッと踏んで加速。パッと離してベタッと減速。ズバッとハンドルを切ってR一定のカーブを旋回。またベタッと踏んで加速。そういう人工的で単純な走り方をするとフィーリングはいい、というか違和感があまりない。もちろん、現実の路上にそういう交通環境はほとんど存在しない。
「加減速」「ステアリングを切ったり戻したり」といった動作の過渡期の特性が一定しないせいだろう。マークIIに乗っていると、知らず知らず運転が雑になっていきそうになる。意識しなければ実際そうなるだろう。操作だけでなく態度も。そこで踏みとどまろうと思うと少々ツラい。
同じトヨタFRでも、アルテッツァはそのへん確実によかった。いわゆるスポーティ云々とはまた違ったレベルの話として、ドライバーズカー度が高かった。
要求される限界性能とソフトな当たりとの乖離が穏やかなぶん、乗り心地はおそらくマークIIとしては最良。ツッパるバネ&ダンパーとヘナヘナのブッシュ、というイヤ味が希薄で。今回の仕様はマークIIとしては最低限だが、このクルマにこれ以上を望むべきではないのかもしれない。というわけで、買うなら2.0グランデが賢い選択だと思う。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:森慶太
テスト日:2000年11月9日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:-
タイヤ:(前)195/65R15 91H/(後)同じ
オプション装備,CDチェンジャー+カセット一体AM/FMラジオ+6スピーカー(2.5万円)/ナビゲーションシステム(29.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(4)
テスト距離:-
使用燃料:-
参考燃費:-

森 慶太
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