トヨタ WiLL VS 2ZZ-GE 2WD(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ WiLL VS 2ZZ-GE 2WD(4AT) 2001.08.17 試乗記 ……231.8万円 総合評価……★★★かなり“劇画調”
最近のクルマはどれもこれも同じようなカタチでつまらない。とにかくいっぷう変わったスタイルのクルマが欲しい。そう思っている人にお薦めの1台が「WiLL VS」である。この際ハードウェアの出来不出来は二の次、個性的な姿でクルマを選びたい人には気になる存在に違いない。
ガンダムのキャラクターみたいな顔つき、窓の面積が小さく、まるで装甲車か現金輸送車のようなボディ後半部分、全体形もディテールもかなり“劇画調”というか、B級SF映画に登場しそうなクルマだ。当然、好き嫌いは分かれるだろうが、それだけに魅力的に感じる人も少なくないはずだ。
ただし、見てくれが多少未来的であっても、WiLL VSの中身は平凡の一語に尽きる。走りっぷり、乗り心地など小型実用車の基準で測れば、まったく大したことない。裏を返せば、強烈な個性の衣装こそが、このクルマの最大のセリングポイントなのである。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年4月6日にデビューしたカローラ(フィールダー)ベースの5ドアモデル。アサヒビール、花王、近畿日本ツーリストなどとすすめる異業種合同プロジェクト「WiLL」のブランド名を冠する。2000年1月17日に登場した「WiLL Vi」に続く第2弾。エンジンは、バルブ駆動システムが異なる「1ZZ-FE」(VVT-i:連続可変バルブタイミング機構)と「2ZZ-GE」(VVTL-i:連続可変バルブタイミング&リフト機構)、2種類の1.8リッターユニットが用意される。それぞれ136ps、190psを発生するFFモデルがあり、前者には125psの4WD版もラインナップされる。トランスミッションはいずれも4AT。
(グレード概要)
136ps版と190ps版の装備面での違いは、ステアリングホイールが「合皮/本革」、CD/MD一体型ラジオが「オプション/標準」であるところ。機関面では、ハイチューンモデルにはステアリングホイールのボタンでシフトを行える「スポーツステアシフトマチック」が搭載されるほか、フロントブレーキのローター径が14から15インチにアップ、制動力が強化される。なお、190psモデルは、オプションで「本革シート」を選ぶことも可能だ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ボディ外観のデザインモチーフを採り入れたインストルメントパネルは、質感は決して悪くない。シボの入れ方ひとつとっても、さすがトヨタ車という印象である。派手な赤い照明の丸型メーターの視認性にも問題なく、もちろんスイッチやレバー類の操作性にも不満はない。ATのセレクターの動きだけは滑らかさに欠けるのが惜しい。またセンターコンソールのアルミ風の色合いを持つパネルが安っぽく、室内全体の雰囲気に合っていないことも残念だ。
(前席)……★★★
まず気づくのは着座位置が高めなこと。数値的にはベースモデルより低いそうだが、個人的にはもう少しアイポイントを低くしたいところだ。ただしヘッドルームには余裕があるので、窮屈な印象はない。テスト車にはオプションの「本革シート」(14.5万円)が装着されていたが、これがあまりいい感触ではない。ショルダー部分のサポートはまずまず許せるが、全体に滑りやすい。左右のドアポケット、センターコンソール上にふたつ、ダッシュボード両端の2箇所と小物入れが充分あるのは嬉しい。
(後席)……★★
足元は広々していてよいのだが、とにかく押し込められているような閉塞感が強い。小さい窓、ブラックの室内色とあいまって、息苦しさを覚える。シートのクッションが硬めで、座り心地はしっくりせず、長時間の移動では辛そうに思える。個性的なエクステリアに魅力を感じたドライバーはいいにしても、後席に乗せられるひとはちょっと気の毒。
(荷室)……★
狭い。浅い。4人乗車でのトランクスペースは必要最小限である。ただ、リアシートを畳んで荷物を積むのがこのクルマのやり方だろうから、使い手の考え方しだいで荷室に対する評価は変わってくるはず。
【ドライブフィ―ル】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
絶対的なパワーは申し分ないのに中速トルクが薄い性格のエンジンは、がんがん飛ばしているときはいいにしても、街中を走行する際には痛痒を感じる。アクセルペダルの踏み込み量が必然的に増え、無用と思えるほど頻繁にシフトダウンを強いられ、スムーズに加速しにくい。いくらクルマの形が尖がっているからといっても、もう少し扱いやすい性格のパワートレインにしてほしい。ATをマニュアルモードに切り替えたときのステアリングホイール上の変速ボタンは、それほど使いやすくない。慣れが必要?
(乗り心地+ハンドリング)……★★
思いのほかサスペンションのセッティングは硬めである。締まった硬さならいいのだが、それが明らかに乗り心地に影響している。とくにハーシュネスが強いのが辛い。たとえば首都高などの目地段差を通過する際の路面からの突き上げがひどい。
ハンドリングは可もなく不可もなし。というより印象は希薄。ただし、高速域での直進性に問題はない。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:CG編集局長 阪 和明
テスト日:2001年8月3日から6日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:2915km
タイヤ:(前)205/55R16 89V/(後)同じ(いずれもヨコハマ Advan A681)
オプション装備:本革シート(14.5万円)+ナビゲーションシステム(12.3万円)
テスト形態:ロードインプレション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:190.6km
使用燃料:22.0リッター
参考燃費:8.7km/リッター

阪 和明
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