トヨタ・ウインダム3.0Gリミテッドエディション(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ウインダム3.0Gリミテッドエディション(5AT) 2001.08.30 試乗記 ……411.8万円 総合評価……★★★静粛性向上
見ても乗ってもアメリカンなパーソナルセダン。旧型からの最大の変更点は、ドアに窓枠のない、サッシュレスの(ピラード)ハードトップから、サッシュ付きのセダンボディとなったこと。その狙いは2つ。ひとつは、ハードトップボディによる風切り音を減少させ、クルマ全体としての静粛性を向上させようというもの。もうひとつは、フラッシュサーフェス化というスタイリング面からの要請による。
静粛性の向上は、今回のフルモデルチェンジの主目的だが、その狙いは達成されていた。ドライバーズシートのみならず、後席でも、特にリアタイヤと地面が発する走行音の車内への侵入が、明らかに少なくなっていた。
アメリカを最大マーケットとするトヨタの前輪駆動の中型4ドアセダンには「カムリ」があるが、庶民的なトヨタチャンネルで売られるカムリに対し、ウィンダムはより高級なレクサス店で「ES300」として販売される。なお、旧型の2.5リッターは落とされ、エンジンは3リッター一本になった。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1991年にカムリのシャシーを利用した高級スペシャルティセダンとして登場。北米でのトヨタ高級販売チャンネル「レクサス」で、ES300として販売される。いわずと知れた、日本名「ウィンダム」。96年8月21日に、ホイールベースを50mm延長した2代目がデビュー。2001年の同じく8月21日、同様にホイールベースを50mm延ばして2720mmとしたブランニューシャシーを使用した3代目ES300ことウィンダムが誕生した。エンジンは、2.5リッターV6が落とされ、3リッターV6のみに。組み合わされるトランスミッションは、4段から5段ATとなった。
(グレード概要)
グレードは大きく「X」と上級版「G」にわかれる。「G」には、ダンパーの減衰力を16段連続可変させるセミアクティブサスたる「H∞-TEMS」が搭載されるのが、「X」との最大の違い。そのほか、DVDナビゲーションシステムが標準で装備される。
「X」「G」ともに、黒内装の“ブラックセレクション”が設定され、「G」には、さらにトラクションコントロール、アンチスピンデバイス「VSC」、クルーズコントロール、木目調+本革巻きステアリングホイールなどが装備された“リミテッドエディション”、その黒内装“リミテッドエディション・ブラックセレクション”がラインナップされる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
インパネまわりの造形と配色は、同じトヨタのたとえばヴェロッサと較べるとグッと大人っぽい。仕上げは“トヨタ的”というか、上級の「レクサス基準」で上質そのものだ。豊富な装備も、使いやすく配置されている。コテコテのアメリカンではなく、サンフランシスコやニューヨークで好まれるような、多民族多文化的なテイストを今度のウィンダムのインテリアはうまく表現している。それは、日本で乗っても違和感なく、ユーザーをいいクルマに乗っている気にさせるに違いない。フロントガラスの傾斜のキツさは外見から想像されるほどでなく、運転中は気にならない。
(前席)……★★★
インテリアデザインに釣り合っていないのが前席シートのかけ心地。クッション性に乏しく、運転中のドライバーの身体をしっかりと支えてくれない。スポーツタイプのようなシートである必要はないが、もう少し柔らかく腰から上体を包み込んでくれると、クルマ全体の雰囲気や使われ方とピッタリすると思うのだが……。
(後席)……★★
後席の室内空間自体は確保されているが、シートの前後長が短く、リアのサイドウインドの窓ガラスが内側に傾斜しているので、ゆったりと寛ぐ雰囲気はない。また、Cピラーがリアウィンドウにまでまわり込んでいるから、ドライバーからの斜め後方の視界が大きく損なわれる。
(荷室)……★★
マークII系のFR車よりはトランクルームの天地寸法は確保されている。とはいえ、リアサスペンションが大きく張りだしているため、大きな荷物は入れにくいだろう。開口部の形状も大きな荷物の出し入れには向かない。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
3リッターV6は、回転フィールがややガサついている。不思議なことに、1名乗車でも3名乗車でも、2000rpm付近で一度、トルクが細く感じるところがある。上まで回してもパワーが比例して高まるわけでもない。中低回転域で黙々と働く、縁の下の力持ちタイプだ。5段ATは、優秀。スムーズで機敏な変速がクルマの上質感向上に寄与している。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
フルモデルチェンジで新しくなった「H∞-TEMS」(Toyota Electronic Modulated Suspension=セミアクティブサス)は、4段階にダンパーの減衰力を制御できるようになった。最もハードな「SPORT」と、最もソフトな「COMFORT」では歴然とした違いがある。COMFORTでは、とてもソフトな足まわりになり、「クルマのキャラクターに合っている」と思った。フワフワだが、決して不快ではない。逆に、SPORTは減衰力を高めているが、ペースを上げたコーナリングではサスペンションだけが妙に突っ張った感じを受ける。SPORTは不自然。COMFORTと、そこから1段階硬めたモードだけで十分。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2001年8月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:740km
タイヤ:(前)215/60R16 95H/(後)同じ(いずれもトランピオ Trampio J33)
オプション装備:電動ムーンルーフ(9.0万円)/本革シート(16.8万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(10)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

-
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2025.10.20 「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。