トヨタ・ヴェロッサ20(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ヴェロッサ20(4AT) 2001.09.13 試乗記 ……281.5万円 総合評価……★★★アクを残したマークII
ちょっと前までトヨタのクルマはほとんど全部、「C」で始まる清音の名前をもつのが伝統だった。セルシオ、クラウン、コロナ、セリカ、カリーナ、カローラなどなど。すっきり明快、上品そうで嫌味がなくて発音しやすい。ただしその分ちょっと淡白で線が細く印象が薄い。何だかいかにもトヨタ車らしいと思いませんか?
ところが最近は、それまで許されなかった濁音促音半濁音のオンパレードである。たとえばヴィッツ、アルテッツァ、さらにプログレ、ブレビス、そして今度はヴェロッサと来た。イタリア語のヴェロ(Vero:真実)とロッソ(Rosso:赤)からの造語らしいが、名前の響きはプラットフォームを共用するマークIIよりアクが強くて個性的。クルマそのものの狙いもまさにそこにある。もっとも、近ごろの「個性的」とか「自分らしく」なんて言葉はなかば流行語。他人から言われてなるものじゃないんだけれど………。ヴェロッサの、ランチアっぽい線を狙ったスタイリングも、私にはちょっといただけない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年7月6日にリリースされた、トヨタいうところの「エモーショナルセダン」。販売店からは旧マークII3兄弟の「クレスタ」を継ぐモデルとなるが、保守層狙いだったクレスタからクルマの性格が一変したため、ニューネームでの登場となった。ベース車「マークII」に準じたグレード構成をとる。エンジンはすべて直6で、2リッター(4AT)、2.5リッター(5AT)、2.5リッターターボ(4AT/5MT)。2リッターモデルにのみ、4WDが用意される。
(グレード概要)
ヴェロッサの「20」は、おとなしい2リッター「1G-FE」(160ps、20.4kgm)を搭載するグレード。トランスミッションは、2.5リッターNAモデルが5段ATなのに対し、こちらは4段となる。タイヤサイズが、ターボより1インチちいさく、「25」と同じ「205/55R16」となる。そのほかの装備は、2.5リッターモデルに準じる。シートはファブリックのみで、オプションでも本革内装は用意されない。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ブラック基調にメタル(っぽい樹脂)トリムを要所に配した全体の雰囲気は「若向け」で「アクが強く」かつ「スポーティ」。どことなくアルテッツァを思い起こさせる。しかし、それらは古臭い文法に則った表現といえ、決して個性的ではないと思う。ステアリングホイールのデザインなどもダルだ。そこはトヨタ車、インパネまわりの操作系、使い勝手に問題はないのだが……。
(前席)……★★
ドライバーズシートのサイズは小さめ。特に座面クッションの前後長が足りないよううに感じる。クッションの厚みも充分ではなく、安っぽい感触がつきまとう。黒っぽいカラーでスポーティーさを狙ったシートやインテリアは、よほど配慮しないとチープに流れてしまうものなのだ。
(後席)……★★★
マークIIと同じ2780mmのホイールベースをもつだけあって、リアシートの広さは不満なし。ただしボディスタイルのせいか、きちんと座ると後頭部の辺りが少々窮屈。また、絶対的なスペースとは別に、ブラック一色の室内は開放感に乏しい。
(荷室)……★★★
リアのオーバーハングはマークIIより30mm短いというが、トランクスペースはほぼ等しい。ダブルウィッシュボーンサスペンションの張り出しが大きいのがツライところだ。プラスチック製のラゲッジユーティリティボックスが備わる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
ベーシックグレードの「20」に積まれる2リッター「1G-FE」ユニットは基本的に静かでスムーズだ。「VVT-i」と呼ばれる可変バルブタイミング機構を搭載するが、ボディサイズに比して、実用域でのトルクが細い感は否めない。そのため、ついつい回して走りがち。2.5リッターモデル用の5段ATがあれば大きく違うはずだが、コスト管理が厳しいベーシックグレードには、4段ATしか供給されない(?)。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
「エンジン回転数感応型」パワーステアリングの設定は重め。サスペンションも“トヨタのセダンにしては”なかなかハード。ハンドリングはそれなりにしっかりしていて安定感あり。だが残念ながら、段差をある程度以上のスピードで越えたり、流れの速い高速道路を走る際など、要するに入力が大きくなると、それまでの好印象がガラッと一変するのはほかのトヨタ車と同じ。法定速度遵守のこと。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:高平高輝(CG編集委員)
テスト日:2001年8月4日から5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:3022km
タイヤ:(前)205/55R16 89V/(後)同じ(いずれもMichelin Pilot HX)
オプション装備:CDチェンジャー+カセット一体ラジオ+6スピーカー+DVDナビゲーションシステム(33.5万円)/前席サイド&カーテンエアバッグ(8.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:146.2km
使用燃料:19.3リッター
参考燃費:7.6km/リッター

高平 高輝
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