トヨタ・ヴェロッサV25(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ヴェロッサV25(5AT) 2001.12.04 試乗記 ……341.4万円 総合評価……★★★マークIIより乗るとイイ
写真なり実物なりでこのクルマを初めて見て「ウグッ」と思った人。あなたはわりかし、クルマのことに詳しいですね。あるいは、いわゆるクルマ好きでいらっしゃいますね。
やれアルファ156だのランチア・ディアロゴスだのと、ヴェロッサの外観デザインのルーツ(?)については自動車マスコミ業界でもいろいろと(でもないか)話題になったし議論もされた。が、とりあえずそのことはいうまい。もういってるという話もあるが……。
ハードウェアの中身に関しては、ヴェロッサは基本的にマークIIと同じだと思っていい。それのチューニング違いアジつけ違い。実際、いかにもデザイン・コンシャスな表面を透かしてけっこうマジメなセダンの基本体型が見えてきたりもする(それゆえにラテン系になりきれていないという印象もある)。開発CE=チーフエンジニアも、マークIIを担当した人だ。
乗った感じはマークIIよりよかった。いわゆる「スポーティ系」狙いが幸いしたか、あるいは出すのが後になったぶん有利だったか。いずれにせよ、ヴェロッサはトヨタにとってわりと気軽な派生車種だと思う。クレスタの後釜も用意せんとイカンし、最近のヤングアダルトにはこういうのがウケるみたいだから、じゃあ、という程度の。そういうクルマが、日産のプライドを賭けて出した看板モデル「スカイライン」よりも一時は数多く売れた。いやはや現実はキビしい。
ヴェロッサとスカイラインを較べた場合、シャシー関係、つまり操縦性や乗り心地はスカイラインのほうがいい。少なくとも奥が深い。明らかに、より本格派。客室や荷室の居心地やスペースは、互いに一長一短ありでどっちも悪くない。パッケージングに新味があるのはスカイラインだし、カタログでジマンしづらい種類の細部のツメは、ヴェロッサのほうがプロらしい仕事の痕跡が濃厚。あと、各種空力性能ではヴェロッサ、カタなし。レーシングカーのテクノロジーをバリバリに注入されたスカイラインとは比較にならない。最新鋭戦闘機とその模型ぐらい違う。少なくとも、取り組みの真剣さにおいては。
でもって、パワートレイン関係がヴェロッサはいささか有利かもしれない。具体的には、売れスジの中心になると思われる2.5リッター(2リッターエンジンも6気筒直噴ガソリン)に「マ、これでいいか」と思えるモノがある。オートマの段数(とデキそのもの)でもヴェロッサの勝ち。もっとも、そのへんを武器にヴェロッサがスカイラインをアウトセールしているとはちょっと思えないけれど。やっぱ、ラテン系ルックスがウケたんでしょうか?
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【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年7月6日にリリースされた、トヨタいうところの「エモーショナルセダン」。「ヴェロッサ」とは、イタリア語の「Vero(真実)」と「Rosso(赤)」からの造語である。販売店からは旧マークII3兄弟の「クレスタ」を継ぐモデルとなるが、保守層狙いだったクレスタからクルマの性格が一変したため、ニューネームでの登場となった。ベース車「マークII」に準じたグレード構成をとる。エンジンはすべて直6で、2リッター(4AT)、2.5リッター(5AT)、2.5リッターターボ(4AT/5MT)といったラインナップ。2リッターモデルにのみ、4WDが用意される。
(グレード概要)
ヴェロッサの中核エンジン、2.5リッター直噴「D4」搭載モデルには、「V25」(294.0万円)と「25」(279.0万円)の2種類が用意される。V25は、「17インチホイール(タイヤサイズは前後とも215/45ZR17)」「前後スタビライザー」「8WAYパワーシート」「本革+黒木目調ステアリング」「オプションで本革シート選択可能」など、ターボモデルに準じた装備をもつ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
少なくとも、大物樹脂パーツはすべて専用。円形の吹き出し口、およびその周辺の盛り上がりがラテン系。ベタである。徹底している。アルファ156からお客を引っ張ってこようなどと、トヨタは毛ほども思っていない。そんなのハナから知らない人だけ相手にしている。Aピラーの倒れこみはどうやらマークIIよりキツいようだが、スポーティ系狙いでもあることだしこれでいい。ただ、画面に触って操作する方式のナビ(英語では”sat-nav”とか)は自動車用としてはいかがなものか。人間工学的見地からしてツラいものがあると思うが。
(前席)……★★★★
運転ポジションに違和感なし。シート調整機構も効果的。シート本体も、身体をそれなり優しく包み込むような印象あり。悪くないと思う。
(後席)……★★★
サイズがそれなり大ぶりとはいえ、背もたれクッションの一部を盛り上げただけのヘッドレストは明らかに非本格派。ガッカリ。が、シートのかけ心地そのものは前席同様悪くない。絶対的な広さはたいしたことないが、周囲の空間の心地よさもちゃんと考えられている。少なくとも、その痕跡が見える。
(荷室)……★★★
旧世代プラットフォームとの比較でいうと、燃料タンクが床下へ引っ越したことが大きい。で、タンクがいなくなったあとの隙間には収納ボックスを。スキーホールの扉は引き戸。いかにもトヨタらしい小技である。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
2.5リッターの直噴ガソリンは、マークIIで乗ったときとかなり印象が違った。簡単にいって、ちゃんと排気量2.5なりの力強さが実用域にあった。マークIIのときは、スペックを知らずに乗って2.0だとばかり思っていた。希薄燃焼→ストイキ燃焼部分のトルク変動をゴマカすべくトルコンがシャラシャラ、ということもなかった。もちろんゴマカしているのだろうけど、それがよくわからない。少なくとも私には。全体に、直噴ガソリン特有のイヤ味をかなりよく対策してあったと思う。エンジンの温まりかたや回転速域によっては音や振動がちょっと生硬かなというのはあったが、それも「気がする」という程度。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
日本でクルマを買う人の多くが気にしがちな(少なくともメーカーはそう考えている)ごくごく表面的な部分での乗り心地のよさ。それをマークIIほど気にしなくてよかったからか、正味の乗り心地はマークIIよりいい。それはハンドリングについても同様。わずかといえばわずかな違いだが、大事なことだ。ただ、トヨタ車の常で操舵フィールやクルマの動きがどことなくアイマイ。また、アシまわりのガッチリ感もどことなく頼りなさげ。悪くはないけれど、なんとなーく走っている感じがまだある。たぶん、トヨタのアジだ。ヴェロッサの乗りアジがたとえば普及価格帯の国産ズームレンズだとすると、スカイラインはさしずめキャノンのLレンズ(プロ御用達で値段は何倍か)。でもってビーエムはカールツァイス(これまた高価)あたりだろうか。気にならない人にとっては、それこそ実にどうでもいい種類の違いなのかもしれない。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:森慶太
テスト日:2001年9月19日から22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)215/45 ZR17/(後)同じ
オプション装備:クルーズコントロール+VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)(2.6万円)、TRC(トランクコントロール)(8.0万円)、フロントウィンドシールドガラス(0.5万円)、間欠リヤワイパー(1.3万円)、DVDボイスナビゲーション付EMV(27.0万円)、前席SRSサイドエアバック+前後席SRSカーテンシールドエアバック(8万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(4)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

森 慶太
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