トヨタ・アルファードV MX 8人乗り FF/G AX 8人乗り FF(4AT/4AT)【試乗記】
死角のない刺客 2002.05.29 試乗記 トヨタ・アルファードV MX 8人乗り FF/G AX 8人乗り FF(4AT/4AT) ……341.5/302.5万円 宿敵日産エルグランド発表の翌日、2002年5月22日、トヨタの大型ミニバン「アルファード」が発表された。「グランビア」「グランドハイエース」「レジアス」「ツーリングハイエース」を統合する(名実とも)大型モデルに、webCG記者が“ちょい乗り”した。第一印象を報告します。前輪駆動を採るトップ・オブ・ミニバン
「トヨタの大型ミニバンとしては、グランビアが早かったと思いますが、ちょっと地味すぎましたかねェ」と、エンジニアの人が説明してくれる。2002年5月27日に開催された、トヨタの全然ミニじゃない大型ミニバン「アルファード」の記者試乗会会場にて。webCG記者が、「なんで日産エルグランドにかなわなかったんですか?」と失礼な質問をしたところである。
「それでもお互いモデル末期になりますと、たとえばエルグランドが2000台売れた月に、トヨタは4台あわせて2500台といったふうに、台数的には勝っていたと思います」と、正確な数字ではありませんが、と前置きしてから言葉を続けた。別に負けていたわけじゃない、ということだ。
ライバル「エルグランド」が、従来通りFR(後輪駆動)シャシーを採り、リジッドだったリアサスペンションを独立懸架に進化させたのに対し、アルファードは、商用バン譲りのFRシャシーをあっさり捨て、FF(前輪駆動)となったエスティマのプラットフォームを活用することにした。海外市場も視野にいれた(比較的)スマートなルックスをもつエスティマに対し、アルファードは、背が高く四角いボディ、押し出し重視のコテコテフェイスを与えられた国内専用モデルである。開発費を抑えながら、FFゆえの広い室内をウリに、ライバルにない廉価版4気筒モデルをも用意し、まさに“死角のない刺客”……なんちゃって。装備満載、利幅の大きなトップ・オブ・ミニバンとして、フランスからの出稼ぎ芸人を使って宣伝にこれ努める。
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静かなミニバン
星座のなかで最も明るい星を意味するギリシア語「α」から名前をとった、輝けるドル箱モデル(になるはずの)アルファード。3リッターV6(220ps、31.0kgm)と2.4リッター直4(159ps、22.4kgm)がカタログに載り、いずれも4段ATが組み合わされる。FFのほか、雪国用にシンプルなビスカスカプリングを用いた4輪駆動車もある。シートレイアウトは2種類。「2+2+3」の7人乗りと、「2+3+3」の8人乗りである。
試乗会場にズラリと新型ミニバンが並ぶの図は、鎧甲を身につけて勇みかえる武士が肩を寄せ合って並んでいる感じ。なんだか可笑しい。価格、装備を含めたラインナップはまったく同じながら、大きなグリルには、トヨペット店向けに細かくグリルの縦桟が組まれた「G」と、ビスタ店用「もうちょっと若向き」ボディ同色横桟デザインの「V」がある。アルファード豆知識。
3リッターV6「V」の中堅グレードMX、FFの8人乗りグレードにまず乗った。木目調パネルを多用したわかりやすく豪華なインストゥルメントパネルが目前に広がる。大きな速度計を中央に配したメーター類、機能性をアピールするジグザグゲートのATシフター。トヨタ流にそつなくまとめられる。
あたりは軟らかいけれどクッションが硬めのシートに座ってキーを捻ると、アイドリングの静かなことにオドロク。手元の資料によると、エンジンノイズに関してはクラウン、マークIIに遜色ないレベルとある。さもありなん。いままでの遮音材のみならず、吸音材を多用しているのが効いているのに違いない。アルファードは、フロアマットまで吸音タイプという徹底ぶりである。
“抜け”がない
吸気側可変バルブタイミング機構と3段階に吸気管の長さを変える可変吸気システムをもつ3リッターV6は、圧倒的なトルク感……を見せることなく、何気なくトヨタの大型ミニバンを走らせる。各グレードにわたって軒並み車重が2トンを超えるエルグランドに対し、1.8トン前後に抑えられたことがアルファードのジマン。3.5リッターV6を積む宿敵に対し、3リッターでよしとした理由だろう。
「シットリ」というより、どこか「ネットリ」したスムーズな乗り心地は、最新ミニバンもトヨタ車の例に漏れない。自動車サイトリポーターの義務感からコーナーをトバしてみたりしても、ハンドリングに破綻はない。「背の高い大きなFF乗用車」という成り立ちそのものの運転感覚だ(褒めてます)。
続いて試乗したのは、2.4リッター直4の「G」AX(8人乗り/FF)。車両本体価格265.0万円。新型エルグランドの最廉価289.0万円よりだいぶお安いうえ、「あと14.0万円でV6モデルが買えます」というディーラーでのセールストークも可能な戦略モデルだ。
エンジンルームの奥に4気筒がヒッソリ鎮座する様子に若干の不安を感じたが、ごく短時間ステアリングホイールを握ったかぎり、「非力さに歯がみする」シーンは見られなかった。しかし、1名乗車で平坦な道を行っただけなので、詳細な報告は後日に譲りたい。
シートアレンジは、ヘッドレストを抜いた1-2-3列シートがつながるフルフラットをはじめ、7人乗り、8人乗りを問わずセカンドシートが後ろを向いたり、サードシートを壁際に横に跳ね上げて荷室を拡大したりと、カタログアピールにおいてなんら“抜け”がない。
プレス資料をもとにした事前学習で思い付いた「死角のない刺客」という情けないフレーズが、山梨県は河口湖周辺でアルファードを“ちょい乗り”したら、グッと具体的に頭のなかで立ち上がってきた。近日、再度アルファードに乗り、日産エルグランドのプレス向け試乗会に参加するので、刮目して次の報告を待たれたい!
(文=webCGアオキ/写真=清水健太/2002年5月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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