トヨタが高級ミニバンの新型「アルファード/ヴェルファイア」を発売
2023.06.21 自動車ニュース![]() |
トヨタ自動車は2023年6月21日、高級ミニバンの新型「アルファード/ヴェルファイア」を発売した。
◆新型「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」の詳しい写真はこちら(77枚)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
「アルファードとヴェルファイア」の違いを鮮明に
アルファードは2002年に登場したトヨタの高級ミニバンであり、今回の新型は4代目のモデルにあたる。一方、ヴェルファイアはアルファードが2代目となった際に登場した姉妹車で、上質感を第一とするアルファードに対し、力強さや押し出し感を重視した意匠とすることで、差異化を図ってきた。
今回の新型では「性能を世界基準に昇華させる」という開発テーマのもと、従来型から設計を刷新。新しいプラットフォームの採用によって、静粛性や燃費、走りといった基本性能を向上させつつ、高級ミニバンならではの内外装デザイン、ゆとりの室内空間、優れた使い勝手といった高い商品性を持たせるべく、開発を進めたという。
また、今までのモデル以上にアルファードとヴェルファイアを差異化。後者については、黒を基調とした金属装飾でアグレッシブさを表現した専用グレード「Zプレミア」を設定したほか、独自のサスペンションチューニングやボディー補強を施すことで“運転する喜び”を高めたり、純ガソリン車にターボエンジンを搭載したりと、よりオーナーが自ら運転するクルマとしての魅力を際立たせたモデルとした。
ラインナップはアルファードが「Z」と「エグゼクティブラウンジ」、ヴェルファイアがZプレミアとエグゼクティブラウンジと2種類ずつ。パワーユニットにはモデルやグレードに応じて、2.5リッターハイブリッドや2.5リッター自然吸気エンジン、2.4リッターターボエンジンが用意され、またプラグインハイブリッド車の導入も予定されている。
快適性を徹底追求した車内空間と装備
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4995×1850×1935mm(ヴェルファイアは1945mm)、ホイールベース=3000mmと、従来モデルとほぼ共通。一般的な機械式駐車場に収まるサイズを保ちつつ、平板になりがちなボディーサイドの意匠に抑揚を持たせることで、力強く堂々としたスタイルを実現したとしている。
一方、インテリアについては限られた寸法のなかで最大限の乗車空間を確保するべく、各部を設計。運転席と2列目シートの距離を5mm、2列目シートと3列目シートの距離を10mm、従来型よりそれぞれ拡大させた。
また「おもてなし」をテーマにした装備類の選定やレイアウトも特徴で、これまでは車内の各所にちらばっていた照明やスイッチ類、エアコン吹き出し口などの機能を、天井中央に集約させた「スーパーロングオーバーヘッドコンソール」を新開発。反対側のウィンドウを開閉したり、照明を調節したりといった操作が、後席のどこにいてもしやすくなったという。また日差しをやわらげるシェードについても工夫を凝らしており、ムーンルーフには乗員それぞれの希望に添えるよう左右独立タイプのシェードを採用。サイドサンシェードについては「日差しを遮りながらも景色を楽しみたい」という要望に応えるべく、トヨタとしては初となる下降タイプとした。
このほかにも、左右のリアスライドドアに可動式の「ユニバーサルステップ」(ステップ高:220mm)を採用したり、ロングアシストグリップを設置したりと、乗降性の改善も図っている。
「ヴェルファイア」は走りのよさも追求
こうしたこだわりはシャシーやパワーユニットにも込められており、後席の快適性を重視して基本骨格を見直すと同時に、乗員に伝わる振動・騒音の低減に徹底して取り組んだとしている。
プラットフォームは「カムリ」や「クラウン クロスオーバー」などにも用いられるエンジン横置き・前輪駆動ベースの「GA-K」で、これをミニバン向けに最適化して採用。車体剛性を従来比で約50%向上させた。さらに、車体の各部に高減衰タイプ、高剛性タイプの構造用接着剤を使い分けて塗布。ボディーの変形を効果的に抑制し、優れた操縦安定性と乗り心地を実現したという。
サスペンションは、前がマクファーソンストラット式、後ろが従来型をベースに改良を加えたダブルウイッシュボーン式で、振動の周波数に応じて減衰力を変化させる、周波数感応型ショックアブソーバーを装備(「アルファードZ」を除く)。しっかりとした操縦安定性を実現しつつ、地面からの不快な微振動も低減させたという。さらに2列目シートには、クッションフレームの取り付け部分にゴムブッシュを配したほか、背もたれとアームレストに低反発のフォームパッドを採用(「エグゼクティブラウンジ」のみ)。乗員に伝わる振動を、従来型の約3分の1に抑えたとしている。
こうした快適性向上の工夫に加え、ヴェルファイアでは“意のままの走り”についても追求。ボディーにラジエーターサポートとサイドメンバーをつなぐフロントパフォーマンスブレースを追加することで、応答性の向上を図っている。
ハイブリッド車に燃費重視のFF車を設定
パワーユニット/パワートレインの仕様は全4種類で、まずはアルファードとヴェルファイアの両方に2.5リッターガソリンエンジン「A25A-FXS」をベースとしたハイブリッドシステムを設定している。このユニットは従来モデルの改良型で、システム最高出力を250PSに高めつつ、燃費も4WD車で16.5km/リッターに向上させた。加えて、より燃費を重視するオーナー向けにFF車を新設定。こちらの燃費は17.5km/リッターとなっている(数値はいずれも「エグゼクティブラウンジ」のもの)。
一方、純ガソリン車のパワーユニットはモデルによって異なり、アルファードには最高出力182PSの2.5リッター自然吸気エンジンとCVTを搭載。一方ヴェルファイアには、既存の3.5リッターV6エンジンに代わる2.4リッター直4ターボエンジン「T24A-FTS」を、8段ATとの組み合わせで採用した。こちらのユニットは最高出力279PS、最大トルク430N・mというアウトプットを発生しつつ、燃費は2.5リッター自然吸気エンジンとほぼ同等の、10.3km/リッター(FF車)を実現している。
※燃費はいずれもWLTCモード計測値。
トヨタの最高級ミニバンにふさわしい先進装備
「トヨタのミニバンとして最も充実した機能」と紹介されているとおり、新型アルファード/ヴェルファイアは予防安全・運転支援システムも充実している。具体的には、自動緊急ブレーキやアダプティブクルーズコントロールといった定番の機能に加え、ドライバーの操作を先読みしてステアリングの反力を変化させ、スムーズな走行をサポートする「プロアクティブドライビングアシスト(車線内走行時常時操舵支援)」を標準装備。信号交差点への接近を検知した際、ドライバーのアクセルオフやウインカー操作に応じて減速を支援する「プロアクティブドライビングアシスト」も全車に採用される。
さらに、一部の仕様には高度運転支援システム「トヨタ チームメイト」も採用。エグゼクティブラウンジのハイブリッド車には、スマートフォンアプリによって車外から遠隔で駐車・出庫の操作ができる「アドバンストパーク(リモート機能付き)」が備わるほか(Z/Zプレミアのハイブリッド車でもオプションで選択可能)、広範なモデルに高速道路・自動車専用道路での安全運転をサポートする「アドバンストドライブ」が標準装備される。
ラインナップと価格は以下のとおり。
【アルファード】
- Z(2.5リッターガソリン車、FF):540万円
- Z(2.5リッターガソリン車、4WD):559万8000円
- Z(2.5リッターハイブリッド車、FF):620万円
- Z(2.5リッターハイブリッド車、4WD):642万円
- エグゼクティブラウンジ(2.5リッターハイブリッド車、FF):850万円
- エグゼクティブラウンジ(2.5リッターハイブリッド車、4WD):872万円
【ヴェルファイア】
- Zプレミア(2.4リッターガソリンターボ車、FF):655万円
- Zプレミア(2.4リッターガソリンターボ車、4WD):674万8000円
- Zプレミア(2.5リッターハイブリッド車、FF):690万円
- Zプレミア(2.5リッターハイブリッド車、4WD):712万円
- エグゼクティブラウンジ(2.5リッターハイブリッド車、FF):870万円
- エグゼクティブラウンジ(2.5リッターハイブリッド車、4WD):892万円
ボディーカラーは、ヴェルファイアが「ブラック」「プラチナホワイトパールマイカ」の2種類。アルファードがそこに「プレシャスレオブロンド」を加えた3種類。このうち、プラチナホワイトパールマイカは3万3000円、プレシャスレオブロンドは5万5000円の有償色となっている。
トヨタの掲げる月販基準台数は8500台で、このうちの約7割がアルファード、約3割がヴェルファイアと想定。生産はトヨタ車体のいなべ工場で行われる。
(webCG)