ダイハツMAX 2WD Xリミテッド(4AT)【ブリーフテスト】
ダイハツMAX 2WD Xリミテッド(4AT) 2001.10.19 試乗記 ……120.5万円 総合評価……★★★タワーパーキング入庫可
“全高1550mm”の意味するところは要するにコレでしょう? ちなみに「ムーヴ」比約100mm背が低いことになる。三菱「eKワゴン」や、スズキから出てくるはずの新型車も狙いはたぶん同じ。少なくとも、そうじゃなかったら意味がない。
基本的に、1600mmを大きく超えるような全高は軽乗用車にとって無意味なばかりか、百害アリだ。大人4人をキッチリ快適に座らせるためにそこまでは必要ないし、軽のそもそもの存在意義である軽便さを台無しにしてしまう。走りといわず、燃費といわず。だからといって、いまさらムーヴや「ワゴンR」や「ミニカ」「タウンボックス」の背を低くするわけにもいかないから、こういうことになるんでしょうねえ。
と、そのようなワケで、今回試乗する前の気分はあまりパッとしなかった。だって、むやみに背の高いヤツをあらかたバラまきまくったところで「やっぱアレはやりすぎでしたわ」みたいなことをいわれてもねえ。実物のパッと見も、MAXは特にパッとしたものではなかった。テールランプの造形はおそらく「アルファ156」あたりに触発されたものだろうが(そこからしてベタすぎ)、可愛いらしいサイズのタイヤと較べて、ギョッとするほどデカい。
一方、乗ってみての印象はけっこうよかった。バカバカしい広さとは違う「乗員にとって心地よい空間のカタチ」がそれなり追究された跡が見えたし、また「ミラ」と較べてさして遜色ない程度に軽快に走った。乗り心地に関しても、既存車種からの確実な進歩があった。では以下詳細をどうぞ。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年11月1日発売、一時期はやった背高ワゴンから一転、立体駐車場に収まる全高で使い勝手を重視した軽自動車だ。エンジンは3種類をラインナップ。ベーシックな660cc3気筒NA(58ps、6.5kgm)と、スポーティモデル用の660cc3気筒ターボ(64ps、10.9kgm)、660cc4気筒ターボ(64ps、10.2kgm)を用意する。トランスミッションは、5段MT、シフターを上下することでマニュアル操作もできる4段AT、フロアシフトの4段AT、そしてCVT。駆動方式は、前輪駆動とフルタイム4WD、スポーティグレード用パートタイム4WD「サイバー4WDシステム」を設定する。グレードは、カジュアルモデルな「L」「X」と、スポーティな「R」「RS」の4種。トリムレベルも含めれば、12種類ものバリエーションを誇る。
(グレード概要)
「Xリミテッド」は、3気筒NAを搭載する中堅グレード「X」に、フロント/リアロアスカート、サイドストーンガードなどを与えお化粧したモデル。オーディオは、ベースがAM/FM付きのCDプレーヤーなのに対し、2DINサイズのAM/FM付きCD/MDプレーヤー。2WDと4WDのATはインパネシフト、4WDのみにある5MTはフロアシフトとなる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
全体のカタマリとしてのカタチや高さなどは良好。目の前にあって苦しくない。操作する各種要素のレイアウトもいい。ピラーの位置や角度も悪くない。ということで基本的に及第。
ハンドルにチルトおよびテレスコピックの調整機構がつく(下位2グレード「L」「Lリミテッド」は除くケド)。朗報。が、チルト&テレスコ調整ありのグレードは、ATの操作環境がよくない。レバーをインパネ(下位2グレードはフロア)にもってきたことじたいはともかく、このジグザグ型ゲートの設計が少々意味不明。だって、「D-N」間が直線で、「D-3」間がカド曲がんないといけないってナンなんですか?
たしかに、ロック解除ボタンを押す手間はなくなった。あとまあ、エンジンかけてさあ出発というとき「P」から「D」までブラインドタッチで動かすのもラクかなと。私は必ず目視するけど。でも、巡航中にエンジンブレーキを使いたくなったとき、そしてまた不要になったときは補助スイッチでオーバードライブをオフ/オンする従来方式のほうがまだしもずっとラク。要するに、このテのオリジネーターのベンツあたりとは採用の目的がいささか違うということでしょう。
なおインパネシフトATの仕様では、駐車ブレーキが座面脇レバー式から足踏み式になり、さらに助手席座面のクッションが運転席側へ延長されて全体がひとつながりのベンチシート風になる。ヘンな話、恋人といちゃいちゃするのにはいいかもしれない。あーいや、運転席-補助席間の移動がラクになるというべきか。
(前席)……★★★
ムーヴの感覚で座ろうとすると、その低さにオッと思う。ちなみに、「ネイキッド」よりは高いそうだ。チルト&テレスコ調整があるからペダル-シート-ハンドル間の位置関係はなんの問題もないが、欲をいえば全体を動かすリフターがあったらもっとよかったかもしれない。たとえば、座高の低いドライバーでも良好な見晴らしが得られたりするだろうから。ごく短時間乗った印象でしかないけれど、掛け心地そのものもなかなか。背もたれのフィット感が平板でないのが気に入った。座面のみの高さ、あるいは角度調整をつけなかったのがよかったか?
(後席)……★★★
前席よりハッキリ高い座面。ムーヴもそうであるように、これはダイハツのいいところ。ヘッドレストのステーの長さがイマイチだったりはするけれど、掛け心地もまあまあ良好。空間の広さやカタチも悪くない。背もたれにリクライニング機構があり、試してみたらいちばん前から数えて4ノッチめにベストのポイントを発見。その状態で、シートベルトも肩から浮かずにちゃんとかかる。ヘンに窓の数を増やさなかったのがよかった(スルーアンカーの位置がそれで規制されることが多い)。
(荷室)……★★★
後席はダブルフォールディング。が、イニシャルの着座高をかせぐべく座面の下にゲタがはかされているため、畳んでもそんなに低くはならない。で、荷室は上げ底。その下には、例によってヒミツの(笑)収納スペースが少々。上げ底とはいえ絶対的には使いやすい高さ、あるいは低さだ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
「出足がトロい」といわれないように、踏みはじめ領域のスロットル開度特性を工夫したという。簡単な話ガバッと開くようにしてあるわけだが(日本車でよくあるゴマカシ)、実際乗ったら下品な飛び出し感はなかった。全体としてもわりと自然な特性。ただ、ちょっと負荷をかけるとトタンにキックダウンの嵐になる4段ATは少々ウザかった。全体のギア比配分やシフトのプログラムを見直すか、あるいはいっそのこと3段を。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
やはり基本ディメンションというのは正直なもので、ムーヴと較べるとクルマの動きは明らかに軽快。倒れないようムリして頑張ってる感じがない。ミラとあまり違わない気分で運転できる。ヘロヘロではないアシの設定も効いてけっこう楽しい。小さいクルマ特有の嬉しさが明瞭にある。
あと、ミラやムーヴに乗ったときの印象と較べて、乗り心地がスッキリしている。その旨エンジニアに質問したところ、「フロントサスのコイルとダンパーの角度をオフセットさせて、アシの動きだしをスムーズにした」との返答。低速で舗装の悪い道を走ったときなどのモゴモゴした振動が減っていたのはそういう事情からだったのか。カイゼン、大事ですねえ。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:森慶太
テスト日:2001年10月17日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:−−
タイヤ:(前)155/65R13 73S/(後)同じ(いずれもブリヂストン B391)
オプション装備:ABS(EBD&ブレーキアシスト付)(3.5万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):山岳路(9)
テスト距離:−−
使用燃料:−−
参考燃費:−−

森 慶太
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