ダイハツYRVターボR(FF/4AT)【ブリーフテスト】
ダイハツYRVターボR(FF/4AT) 2002.03.05 試乗記 ……190.8万円総合評価……★★★★
荒法師
「“走る”背高ワゴン」というアバンギャルドなコンセプトを打ち出したYRV。窓枠下端が前後とも後方に跳ね上がる「ダブルウェッジ」スタイルがジマン。囲まれ感高いのに頭上空間豊かな居住空間は、“広い”というより、変。
「ターボR」は、車高を落としてサスペンションを硬め、BBS15インチアルミで足もとをキメたホッテストモデル。1.3リッターターボは、クラス最強の140psを発生。発進“体感”加速は、速い。信号グランプリは得意かも。
ただし、峠に持っていて真面目に(?)走ると、ハードな足まわりゆえポンポン跳ねるワ、コーナリングではハイパワーを吸収しかねてフロント内輪が空転するワ、の大騒ぎ。痛快というより破天荒なドライブフィール。ま、眉間にシワ寄せて“曲がる”なんて、無粋な東男のやることなんでしょう。上方の洒落気を満載したYRV。個人的には、オモロイから好き。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ダイハツが若者をターゲットに開発した走り指向のコンパクトバン。プラットフォームをストーリアと共有する。車名は、「Youthful(若々しい)」「Robust(たくましい)」「ViVid(活気あふれる)」から。エンジンは1リッター直3DOHC、「DVVT」と呼ばれる可変吸気バルブタイミング機構付きの1.3リッター直4DOHC、クラス最強の140psを誇る同1.3リッターターボ・インタークーラー付きの3種類。NAエンジンには5段MTもしくは4段AT、ターボ車には4段ATが用意される。1.3リッターモデルには、NAターボともFFのほか4WDあり。
(グレード概要)
1.3リッターターボには、ベーシックな「ターボG」、装備充実やや軟弱な「パルコターボ」、そしてホッテストモデル「ターボR」がラインナップされる。ターボRは、「140psターボ+4AT」の組み合わせのみで、FFまたは4WDが用意される。足まわりは、スパルタンに硬められ15mm車高が下がる「Rチューンドサスペンション」。他グレードより1インチ大きなBBS製15インチアルミホイールを履く。ステアリングホイールはシフトボタン付きの革巻きとなる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
シルバーにペイントされたパネルにホワイトメーターで“ヤングな”スポーティ感を演出したインパネまわり。トヨタ・ヴィッツと共用とおぼしきエアコン吹き出し口がアクセントとなる。全体の質感は割り切ったものだが、ステアリングホイールは「革巻き+シフトボタン付き」。全体に独特の雰囲気−−不良っぽいといいましょうかーーがある。粗いドットが打たれたインストゥルメントパネル上面が、陽に光あたるとフロントスクリーンに反射して、視界を妨げるのは困りもの。
(前席)……★★★
オプションの「RECAROシート(!)」が奢られた前席。見た目よりシートクッションは厚め。背面は平板だが、肩の部分にサポートが張り出し、よく上体を支える。絶対的な着座位置は高めだが、ショルダーライン(窓枠下端)も高いので、バスタブに浸かってるような囲まれ感あり。さらに天井も高いため、ヘッドクリアランスは過大。それにしても、なぜにドア内側の肘掛けとパワーウィンドウスイッチは腰のあたりの低い位置に置かれるのか? 全体にマカ不思議な居住空間。
(後席)……★★
150mmのスライド量を誇るリアシート。が、一番後ろにすると、ふくらはぎ後ろあたりの床面が大きく盛り上がっていてジャマなので、膝前の空間のわりにリラックスできない。後席のヒップポイントが前席より75mm高い「スタジアムレイアウトシート」採用とのことだが、肝心の座り心地はいまひとつ。シートバックは薄く平板で、長さも短め。居住性よりシートアレンジを優先したためか? ヘッドレストが大きく、長めのステーが備わるのがわずかな救い。乗車定員は5名だが、リアシートは実質2人用だ。
(荷室)……★★★
床面最大幅130cm、奥行き58cm、開口部の高さ76cmと、日常ユースにはじゅうぶんな広さ。汚れた際にふき取りやすそうな樹脂製のフロアをもつ。床下に深さ6cmから18cmのモノ入れあり。分割可倒式になったリアシートをダブルフォールディングさせて、荷室を大幅に拡大することが可能だ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
常にタービンが回っていることを意識させるターボユニット。3000rpmあたりから明確なターボバンを見せて、950kgのボディをけっ飛ばす。が、いまひとつ怒濤の加速感が続かないのが、小排気量ユニットの哀しさか。体感上は速い! ATシフターは、スポーティモデルらしく、コラム式からフロアに移された。ステアリングホイールの左右スポークに、「アップ」「ダウン」用それぞれ2つ、計4つのボタンを備える。安全性に考慮して、インパネ上の「ステアシフトボタン」をONにすることで使えるようになる。実用上はともかく、スポーティなアクセサリーではある。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
ガチッと硬められたサスペンションは、揺れようとするボディをそのつど引き戻す、感じ。乗員はギュッギュと揺すられる。助手席に座るヒトは、それなりの理解が求められる。「スポーティに固められたアシ」と言いたいところだが、ロードホルディング性は低く、路面の荒れた峠道では、後アシが容易に跳ねる。しかもハードコーナリングでは、脱出時にスロットルを開けると内輪が空転してトラクションがかからない。LSDもしくは4WDシステムの必要性を痛感させるホットモデルだ。あまり真剣にならないように。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者 :webCG青木禎之
テスト日 :200年1月23日
テスト車の形態 :広報車
テスト車の年式 :2001年型
テスト車の走行距離 :−−
タイヤ :(前)175/55R15 77V/(後)同じ(いずれもブリヂストン Potenza RE030)
オプション装備 :レカロシート(16.0万円)/ナビゲーションシステム(15.9万円)
テスト形態 :ロードインプレッション
走行状態 :市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)
走行距離 :−−
使用燃料: −−
参考燃費 : −−

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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