スバル・レガシィランカスター6ADA(4AT)【試乗記】
おとなの走り味 2001.08.08 試乗記 スバル・レガシィランカスター6ADA(4AT) ……348.0万円 和製ツーリングワゴンとして、国内ではある種“プレミアム”な存在となったレガシィシリーズ。スポーティさを前面に出すラインナップのなかで異彩を放つのが、世界中でほかにポルシェしかつくっていない水平対向6気筒ユニットを搭載する「ランカスター6」である。自動車ジャーナリスト、河村康彦が乗った。飛び抜けた上質感
トヨタや日産などのフルラインメーカーとは異なり、限られたラインナップのなかで効率の良いビジネスを目指すスバル。そんなスバルを代表するレガシィシリーズは、2001年5月22日に実施されたマイナーチェンジで、「ワゴンとセダン、そしてランカスターという3タイプの個性の違いをさらに鮮明にアピールする」という作戦をとることとなった。これまでは基本的に共通だったツーリングワゴンとセダン「B4」にそれぞれ異なるデザインのフロントマスクを与え、ランカスターはさらにワイルドな顔つきを採用した。
こうしたレガシィシリーズのなかで異彩を放つのが、「フラット6」エンジンを搭載した「ランカスター6」。世界中を見まわしても、ほかにはあのポルシェにしか例を見ない(!)水平対向6気筒レイアウトの3リッターユニットを搭載する。どうやらスバルは、ランカスターを「将来的にはレガシィシリーズから“卒業”させたい」と目論んでいるのではないか? ぼくは、そのように考えている。
実はこのクルマ、ツーリングワゴンのトップモデル「GT-B EチューンII」とほぼ同じ価格帯にある。それゆえ、うっかりすれば“同士討ち”の可能性すらあるのだが、スバルは敢えてそうした冒険に挑んだわけだ。
実際、ランカスター6の走りの上質感は、レガシィシリーズのなかでも飛びぬけている。正直なところ、エンジン低回転域でのトルク感はもう一息。場面によっては「あと一割くらい排気量が大きくても良いかなぁ……」と感じることがある。とはいえ、そのスムーズさは抜群だ。しかも、4気筒ユニットとのフィールの差は、回転が高まるにつれて広がる。「そもそも多気筒化は、エンジン回転数を高めるためにある技術」と、そんなことを教えてくれるかのようでもある。
「おっとり」と「スムーズ」
加速の能力に不満はない。惜しむらくはコンビネーションを組むオートマチックトランスミッションが、“プレミアムカー”としては記号的にも物足りない4段仕様であること。これが5段化されれば、各ギア間のステップ比が小さくなることでシフトアップに伴う加速の連続性はさらに滑らかさを増し、前述したエンジンの素性の良さが一層引き立つこと請け合いなのだが……。
レガシィシリーズ全般にわたって定評ある「フットワークの質感の高さ」「ハンドリングのよさ」。ランカスターの場合、オールシーズンタイプのシューズを履くがために、ステアリング操作に対する舵の正確性という点で、じゃっかん不利な部分がある。指一本分、といったオーダーでのノーズの動きは、確かにスポーツ性が売り物の各ターボ付きモデルほどにはシャープではない。
しかし一方で、こうしたちょっぴり“おっとり”とした動きが、前述のスムーズなエンジンのキャラクターと不思議にマッチする。4気筒エンジン搭載のレガシィシリーズとはひと味異なる“落ち着いた大人の走り味”--それがランカスター6の大きな魅力である。
(文=河村康彦/写真=高橋信宏/2001年7月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
-
BYDシーライオン6(FF)【試乗記】 2026.2.23 「BYDシーライオン6」は満タン・満充電からの航続可能距離が1200kmにも達するというプラグインハイブリッド車だ。そして国内に導入されるBYD車の例に漏れず、装備が山盛りでありながら圧倒的な安さを誇る。300km余りのドライブで燃費性能等をチェックした。
-
アルファ・ロメオ・トナーレ ハイブリッド インテンサ(FF/7AT)【試乗記】 2026.2.22 2025年の大幅改良に、新バリエーション「インテンサ」の設定と、ここにきてさまざまな話題が飛び交っている「アルファ・ロメオ・トナーレ」。ブランドの中軸を担うコンパクトSUVの、今時点の実力とは? 定番の1.5リッターマイルドハイブリッド車で確かめた。
-
トライアンフ・トライデント800(6MT)【海外試乗記】 2026.2.20 英国の名門トライアンフから、800ccクラスの新型モーターサイクル「トライデント800」が登場。「走る・曲がる・止まる」のすべてでゆとりを感じさせる上級のロードスターは、オールラウンダーという言葉では足りない、懐の深いマシンに仕上がっていた。
-
マセラティMCプーラ チェロ(MR/8AT)【試乗記】 2026.2.18 かつて「マセラティの新時代の幕開け」として大々的にデビューした「MC20」がマイナーチェンジで「MCプーラ」へと生まれ変わった。名前まで変えてきたのは、また次の新時代を見据えてのことに違いない。オープントップの「MCプーラ チェロ」にサーキットで乗った。
-
アルファ・ロメオ・ジュリア クアドリフォリオ エストレマ(FR/8AT)【試乗記】 2026.2.17 「アルファ・ロメオ・ジュリア」に設定された台数46台の限定車「クアドリフォリオ エストレマ」に試乗。アクラポビッチ製エキゾーストシステムの採用により最高出力を520PSにアップした、イタリア語で「究極」の名を持つFRハイパフォーマンスモデルの走りを報告する。
-
NEW
右も左もスライドドアばかり ヒンジドアの軽自動車ならではのメリットはあるのか?
2026.2.25デイリーコラム軽自動車の売れ筋が「ホンダN-BOX」のようなスーパーハイトワゴンであるのはご承知のとおりだが、かつての主流だった「スズキ・ワゴンR」のような車型に復権の余地はないか。ヒンジドアのメリットなど、(やや強引ながら)優れている点を探ってみた。 -
NEW
第950回:小林彰太郎氏の霊言アゲイン あの世から業界を憂う
2026.2.25マッキナ あらモーダ!かつて『SUPER CG』の編集者だった大矢アキオが、『CAR GRAPHIC』初代編集長である小林彰太郎との交霊に挑戦! 日本の自動車ジャーナリズムの草分けでもある天国の上司に、昨今の日本の、世界の自動車業界事情を報告する。 -
NEW
ルノー・グランカングー クルール(FF/7AT)【試乗記】
2026.2.25試乗記「ルノー・グランカングー」がついに日本上陸。長さ5m近くに達するロングボディーには3列目シートが追加され、7人乗車が可能に。さらに2・3列目のシートは1脚ずつ取り外しができるなど、極めて使いでのあるMPVだ。ドライブとシートアレンジをじっくり楽しんでみた。 -
NEW
第862回:北極圏の氷上コースでマクラーレンの走りを堪能 「Pure McLaren Arctic Experience」に参加して
2026.2.25エディターから一言マクラーレンがフィンランド北部で「Pure McLaren Arctic Experience」を開催。ほかでは得られない、北極圏のドライビングエクスペリエンスならではの特別な体験とは? 氷上の広大な特設コースで、スーパースポーツ「アルトゥーラ」の秘めた実力に触れた。 -
ボルボEX30クロスカントリー ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】
2026.2.24試乗記ボルボの電気自動車「EX30クロスカントリー」に冬の新潟・妙高高原で試乗。アウトドアテイストが盛り込まれたエクステリアデザインとツインモーターからなる四輪駆動パワートレイン、そして引き上げられた車高が織りなす走りを報告する。 -
エンジニアが「車検・点検時に注意すべき」と思う点は?
2026.2.24あの多田哲哉のクルマQ&Aすっかりディーラー任せにしている車検・点検について、ユーザーが自ら意識し、注視しておくべきチェックポイントはあるだろうか? 長年トヨタで車両開発を取りまとめてきた多田哲哉さんに意見を聞いた。


































