スズキ・スイフトSGエアロII(4AT)【ブリーフテスト】
スズキ・スイフトSGエアロII(4AT) 2001.09.14 試乗記 ……129.8万円 総合評価……★★★エアロな感じ
斬新な軽スペシャル「Kei」に、やや保守的なフェイスと1.3リッターユニットを与え、トレッドをやや広げたスズキの小型車「スイフト」。SGエアロIIは、2000年に登場した「80周年記念モデル」を「21世紀記念モデル」という名目に変更したもの。ボディ前後左右にアンダースポイラー、リアエンドにルーフスポイラーを装着して「スポーティ」を演出、若年層ユーザーの掘り起こしを狙う。専用ホイール、特別トリムのインテリアとMD/CD一体型カセットを備えて129.8万円(FFモデル)。トヨタ・ヴィッツや日産キューブに闘いを挑む。
「空力2号」の、四角いボディが地面にグッと踏ん張ったサマは、“おとなし目”スイフトのイメチェンにみごとに成功。960kgのボディに88ps/12.0kgmの出力は十分で、乗り心地も、実用一点張りのインパネまわりに見合ったレベル。不満はない。ただし、外観ほど足まわりがスポーティに振られたわけではないので、若気のいたりでガンバリすぎない方がいい。エアロな気分で、気楽に21世紀を楽しもう(”走り”派には、「RS」がある)。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年1月24日に発表、2月9日から販売が開始された5ドアボディの小型車。ジムニーワイド、エブリイプラス(現エブリイランディ)、ワゴンRプラス(現ワゴンRソリオ)に続く、軽ベースのホワイトナンバー車。スイフトのトライブトレインは、1.3リッター直4+4ATのみ。駆動方式は、FFのほか4WDが用意される。
(グレード概要)
スイフトには、ベーシックな「SE-Z」(82.3から101.8万円)、普及版「SG」(FF/4WD=116.8/129.8万円)、エアロパーツを装着した「SGエアロII」(129.8/142.8万円)、メッキドアハンドル、フォグランプ、ハイマウントストップランプ、プロテイン塗装インパネガーニッシュなど豪華装備の「SX」(132.8/145.8万円)ほか、2001年5月24日にはスズキスポーツのパーツを組み込んだ「RS」(5MT/4AT=142.3/149.8万円)がラインナップされた。21世紀記念スペシャル「SGエアロII」は2001年1月18日に登場した、前年度モデル、スズキ80周年記念車「SGエアロ」の第2弾にあたる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
Keiゆずりの実用的なインパネまわり。インストゥルメントパネルの下を横切る大きな物入れが便利だ。左右端のカップホルダーは、覆い被さるインパネ部分が大きくえぐられ、缶だけでなく、ペットボトルも挿せるようになっている。さすがだ。メーターナセル、センターコンソール上部、シフターまわりなどに「青メタ調樹脂」のカバーが配されるのは、「21世紀記念スペシャル」のSGエアロIIゆえ。
(前席)……★★
座面が短く、体重が太股の狭い範囲にかかりがち。座り心地は平板だが、むやみにお尻が沈まないのはいい。ランバーサポート、しっかりとしたヘッドレストを備える。助手席下に、深さ7cmほどの物入れ有り。
(後席)……★★★
ギリギリまで低くしたフロアの恩恵で、自然な座面高のまま、ヘッドクリアランスを確保したリアシート。足もと、頭まわりの空間はボディサイズ相応だが、窓が広く内側に倒れ込まないので、圧迫感はない。
(荷室)……★★
面最大幅133cm、奥行き52cm、天井までの高さは75cm。床下全面に、深さ6cmのトレイが用意される。後席にスペースをとられて、ラゲッジルームの奥行きはミニマム。ただし、分割可倒式の後席バックレストを倒して荷室を拡大するのは非常に簡単。120cm前後の長尺モノを収納することができる。
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【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
スズキ自慢の1.3リッターオールアルミ「M13A」ユニット。吸気側に、「VVT」と名づけられた可変バルブタイミングシステムを備える。88psと12.0kgmを発生、3速、4速にロックアップ機構をもつ4段ATと組み合わされる。強いキャラクターはないが、使いやすい、素直な実用ユニットだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
フロントはマクファーソンストラット、リアはスイングビームにパナールロッドを追加した、スズキ独自の「I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)」形式をとる。路面の凸凹を拾う乗り心地はいまひとつ。また、アゴを出しやすいハンドリングなので、エアロパーツにつられてトバし過ぎない方がいい。スイフトに限ったことではありませんが……。
(写真=阿部ちひろ)
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【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日: 2001年6月25日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2001年型
テスト車の走行距離: 2192km
タイヤ: (前)165/70R14 81S/(後)同じ(いずれもヨコハマ S209)
オプション装備: --
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態: 市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離: 354.6km
使用燃料: 34.3リッター
参考燃費: 10.3km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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