スズキ・ワゴンRソリオ1.3(4AT)【試乗記】
ふたりにはウレシイ 2002.02.14 試乗記 スズキ・ワゴンRソリオ1.3(4AT) ……134.8万円 スズキの大ヒット作となったワゴンRに、「軽」の枠を越え、より大きな排気量のエンジンを搭載したのが「ワゴンRソリオ」。1リッターと1.3リッターの2種類がラインナップされる。アグレッシブな顔つきの「ソリオ1.3」に、webCG記者が乗った。ちょうどいいコワさ
「人生に、インパクトを。」。のっけから「ワゴンRソリオ」のカタログにそう記載される。 うーん、たしかに街角でヌッとソリオ1.3の四角くいかつい顔が現われると、「ギョッ」とするもんなぁ。
ワゴンRソリオは、販売台数でカローラをしのぐことも珍しくないスズキの大ヒット軽「ワゴンR」をベースに、より大きな1リッターまたは1.3リッターエンジンを積んだクルマだ。1993年に登場したワゴンRは、90年代の日本の小型車にもっとも影響を与えた傑作にして軽自動車としてひとつの完成形だと思う。が、それでも「もうすこし……」と欲張るユーザーがいるわけで、4年後の97年に排気量アップ版たる「ワゴンRワイド」がリリースされた。98年にワゴンRがフルモデルチェンジを受けると翌年「ワゴンR+(プラス)」が、そして2000年11月のマイナーチェンジで名称がワゴンRソリオと変更されて現在にいたる。
車名のSOLIO(ソリオ)とは、「王座」「王権」を意味するスペイン語。にしては、デビュー当初の、小坊主の一休さんならぬイッテンサン(1.3リッター)がミニ浴衣を着た女の子の熱い視線を浴びながらホウキを握っているの雑誌広告は……オモシロカッタ。
マイチェンの目玉モデルとして登場した1.3は、サンシェードのような大きなグリルを備え、大型4灯異形ハロゲンランプが目をむく。大型の前後バンパー、サイドシル、ルーフエンドスポイラーが、いかにも猛々しい。柔和な顔つきの1リッターモデルと明確な差別化が図られた。足もとも、一まわり大きな15インチアルミホイールに55タイヤを履いて、ばっちりキメる。
国内では「軽ナンバーワン」として知られるスズキだが、実は生産量の半数強を海外で生産するグローバルカンパニーでもある。ロング&ベストセラー「アルト」は、ずいぶん前から800cc超に拡大されて、インドほかで販売・生産され、人気を博している。
ソリオ1.3の大仰なフェイスも、さてはインドや東南アジア向けの意匠なのかと思いきやさにあらず。意外や、ハンガリーはマジャール工場で生産され、ヨーロッパ各地にデリバリーされるのが唯一の海外バージョンだという。オペル版ソリオというべき「アギーラ」(ソリオをベースにオペルエンジンを搭載)に1リッターモデルの穏やかなフロントマスクが使われるから、やはり1.3はこれくらいコワい顔でちょうどいいのだろう。
セカセカしない
室内は、背が高く四角いボディを活かした小部屋的空間。前席はベンチシートを模したものだが、もちろん、助手席は個別でスライドする。クッションは柔らかく、ラクシャリー寄りの座り心地。「峠でのホールド性“命”」の若者がいれば、「横に座る彼女もしくは彼氏への密着安易性を重視」するヤングもいるのが世のならい。助手席下には、スズキコンパクト車の標準装備というべきバケツ(シートアンダーボックス)が備わるから、カップルで洗車するのもまた楽し。
シートアレンジも豊富だ。後席は背もたれが分割可倒式になっていて、荷物の量に合わせて左右どちらかもしくは両方を前に倒して荷室を拡大することが可能。一方、フロントシートのヘッドレストを抜けば、前席背もたれを後に倒してリアシート座面につなげ、いわゆるフルフラットにすることができる。またまた若いふたりにはウレシイ。
イッテンサンのエンジンは、可変バルブタイミング機構「VVT」を装備した1.3リッター水冷直4DOHC16バルブ「M13」型ユニット。88ps/6000rpmの最高出力と12.0kgm/3400rpmの最大トルクを発生するスズキ自慢のオールアルミエンジンだ。実用性と静粛性に考慮されたユニットで、街なかを普通に走るかぎり、ふたりのささやきをジャマすることはない。いざガスペダルを踏み込めば、レッドゾーンが始まる6500rpmまで軽々と回るさわやかなパワーソース。シフトプログラムは、俊敏なピックアップより燃費に配慮された、早めにギアを上げるタイプ。見かけのわりに、トロい。王者はせかせかしないものなのか。
車両本体価格は、134.8万円。ワゴンRのターボ版 「RR」と「RR-SWT」が、64psと10.8kgmで134.3万円から154.8万円だから、自然吸気のフィールが好きで、「維持費の面で特に軽でなくても……」というヒトに、ソリオ1.3はいいかもしれない。
(文=webCGアオキ/写真=須藤章一/2002年1月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.9.2 BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.9.1 2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
NEW
北米産の800万円級SUV「トヨタ・ハイランダー」「日産ムラーノ」「ホンダ・パスポート」で一番“買い”なのはどれか?
2026.9.4デイリーコラム特例により国内導入されることになった北米生産のジャパニーズSUVは、3車種ともにサイズと価格帯が接近している。では、そのなかで最も“買い”なのは? それぞれの仕様を見比べてみた。 -
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く
2026.9.3デイリーコラム本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。 -
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(後編)
2026.9.3あの多田哲哉の自動車放談ワインディングロードで新型「BMW iX3」のステアリングを握った多田哲哉さんは、その走りに感心した様子。どんなところが優れているのか、トヨタのエンジニアの視点で語ってもらおう。 -
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。




































