フォルクスワーゲン・ゴルフワゴンGLi(4AT)/ポロ4Dr/ポロGTI【試乗記】
『合理主義とバウハウス』 2000.10.15 試乗記 VWゴルフワゴンとニュー・ポロの復習 フォルクスワーゲン総合試乗会から、2000年に国内で販売開始となったモデルの試乗報告。2月に導入されたゴルフIVベースのワゴンと、5月にリリースされた新型ポロに、web CGエグゼクティブディレクター大川 悠が乗ってきた。ジャガイモとパン、コールドミートゴルフワゴンGLi……275.0万円
まずゴルフワゴン。ゴルフIIIベースの従来モデルはなぜかグリーンばかりが目に付くし、いずれもどこか「貨客兼用車」の感じが強い。IVベースの新型も基本的にその流れを受け継いでいる。ただ、ハッチと同様に、半分ぐらいクラスを上げた。
世界的にスモールカーは世代交代とともに少しずつクラスが上がり、そんなことをしているうちに下が空いて、そこに別の新モデル投入という流れができている。それをやった張本人がゴルフ。4代目ともなると、初代のパサートぐらいまで大きく立派になったが、それはワゴンも同様だ。
乗ったのは上級仕様の2リッターユニットを持ったGLi。エンジンからは、ゴルフの家族の声だった独特の唸り音がかなり消えて洗練されたし、乗り心地も大分まろやかになった。ステアリングも軽い。
室内も、カローラほどじゃないけれど、というよりカローラとは違った方向で高級感を出している。つまりカローラが材質からフィッティングまで「小さなセルシオ」であるのに対して、ゴルフはプラスティックはそれなりの素材感を生かした造形をすべきだという点で、やはりドイツ流近代主義が生きている。
ワゴンとしては、当然うまくできている。広くて使いやすいカーゴスペースが四角四面にセットされているが、しかし、リアシートを畳んだりしようと思うと、予想以上に腕力を要求される。つまりドイツ人はやっぱり頑強なのだ。
ともかく全体的に洗練されたが、やっぱりドイツの合理主義の固まりの感じは免れない。年齢性別関わらず、毎晩同じ、ジャガイモとパン、コールドミートだけの質素なメニューの夕食を食べて、10時前には寝てしまう。そして休みは毎回飽きもせず同じ森を歩く。そんな生真面目のドイツ人のライフスタイルをそのままワゴンの形にしたクルマだった。
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清潔な倫理観ポロ4Dr……195.0万円/ポロ4Dr GTI……220.0万円
ゴルフが上に上がれば下が空く。そこで入ったのが先代ポロだが、それも新型ですこし上に行って、まあ2代目ゴルフぐらいのサイズと格になった。そうなるとまた下が空くから、そこにルポが入るというわけ。としたらルポも上に行ったらどうするんだ、という話はピエヒさんに聞いて下さい。
2台乗ったポロ、1台は一番売れ線の1.4リッターモデル「ポロ4Dr」(4AT/195.0万円)、もう1台はやはり4ドアながら1.6を積むスポーツハッチのGTI(5MT/220.0万円)。
個人的にはスペシャルモデルでないノーマルが好き、と書くと、必ずラインアップの一番小さなエンジンのモデルとか、廉価版がいいと主張するのが自動車ジャーナリストの自己証明と思われそうだが、リポーター自身はミーハーの飛ばし屋オジサンだから、いつもはそうじゃない。
でも今回はノーマルの4Drがいいと思った。
理由はひとつ。スポーティハッチが欲しいなら、やっぱりラテン物がいい。徹底的に快楽主義でいい。お気軽で、だからそれなりに奥が深いのがいい。でもドイツものは、真面目な人が無理矢理軽いノリで受けようというのが見えていて、なんかそぐわない。
スポーツハッチの元祖であり、その社会的地位を最初に築いたのが初代ゴルフGTIであることを認めても、ポロのGTIには「馬鹿になりきれない気取り」がある。
ノーマルの1.4、GTIの1.6とも新設計のオールアルミユニットで、あの「ウォーン」という唸りは消えたが、だからといってすごくスポーティなエンジンじゃないから、1.4リッターをATで乗った方がいい。
ポロ4Drは、妙に軽いステアリング。ちょっとストロークがあって、慣れないとコントロールが難しいブレーキ。基本ボディはしっかりしているが、荒れた路面ではスカットルの中あたりで、何かがガタガタ音を出し、まるで剛性が足りないような錯覚を出すのが、すこし興ざめだった。
GTIは確かに「速い」「安定している」「コントロールしやすい」と、まあ優等生だが、何となくハートがない。
それならゴルフIIぐらいまで大きくなり(少なくとも室内は)、全般的に洗練されたノーマルの4ドアの方がいい。リポーターなら、ゴルフを買うよりも、実質的な利便性はそう変わらないこのポロを買うだろう。理詰めだけでなく、インテリアデザインもノイエ・バウハウスともいうべき新モダニズムに統一されていて、その清潔な倫理観がいい。
(web CG 大川 悠)

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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