ヒュンダイ・トラジェ2.7GLS(4AT)【ブリーフテスト】
ヒュンダイ・トラジェ2.7GLS(4AT) 2001.04.05 試乗記 ……229.1万円 総合評価……★★ブランドへのオデッセイ
ヒュンダイ・トラジェは、いわば韓国版ホンダ・オデッセイである。ヒンジ式4枚ドアと2+2+3の7人乗り3列シートをもつ。フランス語で「旅行」を意味するネーミングからわかるように、もとはといえば欧州向けのピープルムーバーだ。
テスト車は、本革内装の贅沢仕様。革がやんわりと張られたシートの座り心地は悪くないけれど、グレーで統一された車内はいかにも無愛想。「バカンスよりショーバイ、ショーバイ」といった感じ。1840mmの車幅を活かして、横方向は余裕たっぷり。フロントに男女2人が座ると、冷え切った夫婦のようだ。
デルタエンジンと呼ばれる2.7リッターV6は、ドロロン!!とちょっと古いアメ車風。滑りが多めのオートマのせいもあり、音ほどは速くない。乗り心地は、人員荷物満載時を想定してか、硬い。コリアンビジネスピープル風に、バリバリと本気で使うヒト向き。
V6モデルなら、オデッセイより約60万円お安い。4気筒モデルならステップワゴンといい勝負。そのうえひとまわり大きなガタイが、トラジェのアピールポイントだ。もっとも、旅人は、「数値」から「質感」への航海途上。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年のフランクフルトショーでデビューしたミニバン。本国では2リッターディーゼルターボもラインナップされるが、日本に輸入されるのは、2リッター直4(137ps)と2.7リッターV6のガソリンユニット2種類。いずれも、4段ATと組み合わされる。
(グレード概要)
V6モデルは、ルーフレール、リアスポイラー、アルミホイールが標準で備わる(直4モデルはオプション)。また、本革仕様、シートウォーマー、AQS(エアクオリティシステム=オートエアコン)を選べるのは、2.7リッターモデルだけ。なお、トラジェは、オーディオレスが標準だ(ツィーター付き6スピーカーは備わる)。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
"(インパネ+装備)……★★★
灰色基調の素っ気ないインパネまわり。2.7GLSには本革巻きステアリングホイールが奢られる。上下に動かすチルト機構付き。自動ライトコントロール、レインセンサー付きワイパーと、装備は充実。ボタン類は、ヘタにデザインされていないぶん、大きく使いやすい。
(前席)……★★★
お尻がやや沈む、ソファのようなレザーシート。座り心地はいい。全幅が1840mmもあるので、室内は左右とも空間じゅうぶん。細かいことだが、前、2列目のシートベルトのフックが、壁にあたってコツコツいうのはいかがなものか。ひとりで運転していると気になる。
(2列目シート)……★★★
スライドできる2列目シート。ただし、サードシートを日常的に使うことを考慮したためか、後へはそれほどスライドしない。座面がやや低いため、足を前に出すかたちになり、意外に足もとの広さを感じない。前席同様、横方向のスペースは申し分ない。前席バックレストの裏に、ダンパー付き(!)のテーブルが備わる。
(3列目シート)……★★
実用的だが、短い座面、低い着座位置と、長時間のドライブは避けたい。3点式シートベルト、しっかりとしたヘッドレストが備わるから、子供用にはいいかも。ただし、乗り込むには、左右セカンドシート間を通るか、シート後部を持ち上げる必要がある。重い。サイドに設置されたエアコン吹き出し口は、夏はありがたかろう。
(荷室)……★
3列シートをもつクルマの弱点として、荷室の奥行きが足りない。120cmの床面最大幅に対し、奥行きはわずか40cm。そのぶん(?)ルーフレールがもともと装着されるし、1、2、3列目シートとも、背面がテーブルになっているから、荷物の大きさにあわせて倒せばいい。長尺モノも室内に搭載可能だ。バンパーと荷室フロアとの間に段差がないのはいい。"
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
「軽量コンパクト」と謳われるV6“デルタ”ユニットは、1998年に開発された新しいエンジンながら、なぜか「ドロロン」と懐かしい回転フィール。組み合わされる4段ATの、走り出しの滑りが多いのも、古くさいフィールを加速する。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
路面からの入力が直接ボディに伝わる、突き上げを許す乗り心地。特にリアサスペンションは、荷物、人員を載せることを前提にチューニングされているのか、ハーシュがキツく、ときに道路の段差でハネる。ハンドリングは、ピープルムーバーとして悪くはないが、楽しくもない。ドライバーは、人員運搬人だ。
(撮影=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年3月2日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:1895km
タイヤ:(前)215/65R15 96H/(後)同じ(いずれもブリヂストンRegno ER30)
オプション装備:本革シートパッケージ/電動ガラスサンルーフ
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態: 市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:263.7km
使用燃料:44.3リッター
参考燃費:6.0km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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