日産、「LEAF to Home」を販売開始
2012.05.31 自動車ニュース「日産リーフ」から住宅へ電力供給する「LEAF to Home」販売開始
2012年5月30日、日産自動車は「リーフ」から一般住宅に電力を供給するシステム「LEAF to Home」を今夏に販売開始すると発表した。
■購入者の負担額は約33万円
昨年の東日本大震災による停電や電力事情の悪化に伴い、にわかに注目を集めた電気自動車(EV)の電力供給機能。それに着目し、EVと一般住宅をつなぐ世界初の「V2H」(Vehicle to Home)システムとして実現したのが、「LEAF to Home」である。
システムを構成するのは、「日産リーフ」と、車載用電解コンデンサーを主力とするメーカーであるニチコン(本社:京都市中京区)が開発した「EVパワーステーション」。一般住宅の分電盤に直接接続したEVパワーステーションのコネクターをリーフの急速充電ポートにつなぐことで、リーフに搭載された大容量リチウムイオンバッテリーに蓄えた電気を住宅へ供給することが可能となる。
LEAF to Homeの主なポイントは、以下の四つである。
・ピークシフトへの貢献
電力需要および料金が低い夜間にリーフに充電しておき、電力需要および料金が高い昼間にリーフから住宅に電力を供給することで、ピークシフトと同時に電気料金の節約に貢献する。
・非常時のバックアップ電源
停電時においても、住宅内の照明をはじめ電気機器を最大6kWまで同時に使用でき、24kWhの大容量バッテリーによって一般家庭の約2日分をまかなうことが可能である。
・急速充電機能
LEAF to Homeはリーフからの電力供給だけでなく、200V普通充電の最大2倍のスピードでリーフへの急速充電も可能で、最短4時間でフル充電することができる。
・リーズナブルな価格と蓄電池としての圧倒的なバリュー
LEAF to Homeの導入価格は、補助金制度が適用された場合、標準的な設置工事費を含めて消費税込みで約33万円。ちなみに家庭用蓄電池をリーフなみの容量にすると、1000万円超になるという。そう考えると走る機能のついた蓄電池ともいえるリーフのコストパフォーマンスは圧倒的に高いというわけだ。
■計算上6年あまりで初期投資を回収可能
一方、システムの核となるEVパワーステーションの主な機能としては、次の三つが挙げられる。
・インテリジェントな自動充電制御
住宅内の消費電力をリアルタイムにモニターし、契約アンペアにしたがってリーフに充電可能な電力を自動的に制御するため、ブレーカー落ちの心配がない。
・タイマー予約と充電量の設定
充電の際は開始時刻と充電量、給電の際は開始および停止時刻とバッテリー残量が設定可能である。よって給電を中止してリーフに乗ろうと思ったらバッテリーがスッカラカン、という事態は避けられる。また、電力会社からの給電とリーフからの給電は、あらかじめタイマー設定しておけば瞬時に自動的に切り替える。ただし突発的に停電した際は、危険回避のため手動切り替えとなる。
・履歴管理や暗証番号設定が可能
年間、月間、日ごとの使用履歴を残すことによって節電意識や経済効果を実感したり、暗証番号の設定によって不正使用やいたずらなども防いだりすることができる。
LEAF to Homeの経済効果については、夜間電力を使ってリーフに充電し、昼間使用する電力(10kWh)をリーフから給電した場合、1日あたりの電気料金は213円の節約となるという。これを平日、毎日使用(年間248日)すると、試算では1年間で約5万2800円がセーブされる。つまり先に挙げた消費税込み約33万円という導入価格は、6年たてば(5万2800円×6=31万6800円)ほぼ回収できる計算になる。逆をいえば6年使わないとトントンにならないとも考えられるが、急速充電機能や非常時のバックアップ電源としての価値、そしてピークシフトによる社会的価値を考慮すれば、そう単純に計算できるものではないだろう。
「普通のクルマは駐車しているときは何の価値も生まないが、その潜在能力を最大限に引き出すEVパワーステーションとの組み合わせによって、リーフは非常に大きな付加価値を生み出した」と日産がうたうLEAF to Home。電力消費がピークを迎え、電力供給能力が懸念される夏を目前に控えた6月中旬から注文受付を開始し、設置工事開始は7月上旬からの予定という。
(文と写真=沼田亨)
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