新型「フォルクスワーゲン・ゴルフ」デビュー

2013.05.20 自動車ニュース 生方 聡
「ゴルフTSIハイライン」
「ゴルフTSIハイライン」 拡大

フォルクスワーゲン、新型「ゴルフ」を日本で発表

フォルクスワーゲン グループ ジャパンは2013年5月20日、7代目となる「ゴルフ」を発表、同年6月25日に発売する。

「TSIハイライン」にオプション設定されるLEDポジションランプ付きバイキセノンヘッドライト。


	「TSIハイライン」にオプション設定されるLEDポジションランプ付きバイキセノンヘッドライト。
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「TSIハイライン」のインテリア。ドライバー側に少し傾けられた設計となったセンターコンソールが新型の特徴。


	「TSIハイライン」のインテリア。ドライバー側に少し傾けられた設計となったセンターコンソールが新型の特徴。
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■輸入車ナンバーワンのゴルフがフルモデルチェンジ

1988年の統計開始以来、輸入車ナンバーワンの販売台数を誇る「フォルクスワーゲン・ゴルフ」が7代目にフルモデルチェンジし、日本上陸を果たした。

「ゴルフ」が誕生したのは1974年のこと。以来、2900万台以上が生産されたファミリーカーの世界基準車は、フルモデルチェンジによりさらなる性能向上と燃費アップ、安全装備の充実が図られている。

新型ゴルフは、太いCピラーが特徴の2ボックススタイルや水平基調のフロントグリルなど、ひと目でゴルフとわかるエクステリアを受け継ぐ一方、フロントオーバーハングを短くしてロングノーズ化を図ることで高級感を演出する。それでいて、シンプルさが際だつのは、最近のフォルクスワーゲンデザインの文法どおりだ。

インテリアは、センターコンソールをドライバー側に少し傾けるデザインを採用するとともに、パネルやスイッチなど、先代以上に質感を高めることでひとクラス上の雰囲気に仕上がっている。ゴルフでは初となる電動パーキングブレーキを採用して、センターコンソールまわりをすっきりさせたのも見どころのひとつだ。

 
全長、全幅の拡大などにより広くなった室内。フロントシートはグレードによってスタンダード、コンフォート、スポーツのシートが採用される。
全長、全幅の拡大などにより広くなった室内。フロントシートはグレードによってスタンダード、コンフォート、スポーツのシートが採用される。 拡大
フォルクスワーゲンが掲げる新しいモジュール戦略「MQB」とは、ドイツ語のモデュラーレ・クヴェア・バウカステン(モジュラー・トランスバース・マトリックス)の略で「横置きドライブトレイン搭載車のためのモジュラー化された設計基準および、コンポーネントの体系」という意味(プレスリリース)。これは今後登場する新型モデルにも採用されるという。
フォルクスワーゲンが掲げる新しいモジュール戦略「MQB」とは、ドイツ語のモデュラーレ・クヴェア・バウカステン(モジュラー・トランスバース・マトリックス)の略で「横置きドライブトレイン搭載車のためのモジュラー化された設計基準および、コンポーネントの体系」という意味(プレスリリース)。これは今後登場する新型モデルにも採用されるという。 拡大

■「MQB」モジュール戦略をフォルクスワーゲンとして初採用

全長×全幅×全高=4265×1800×1460mmのボディーサイズは、先代に比べてそれぞれ+55mm、+10mm、-25mm。ホイールベースは60mm延びて2635mmとなった。これにより、リアシートやラゲッジスペース容量が拡大しているが、車両重量は、ボディー単体で23kgの軽量化を達成している。

これを実現したのが、「MQB」と呼ばれる横置きエンジン用の新“モジュール”だ。アルミなどの高価な素材を大量に用いることなく、高張力鋼板の多用や生産方式の工夫、そして、量産効果などにより、コスト上昇を伴うことなく、軽量化を実現したという。

サスペンションは、フロントが全車マクファーソンストラットを採用。一方、リアには、比較的パワーの小さいモデルにはトーションビーム式、ハイパワーモデルにはマルチリンク式を搭載している。また、上級モデルでは、DCC(アダプティブシャシーコントロール)と呼ばれる電子制御サスペンションを選ぶことも可能だ。

1.4リッターTSIエンジンには、負荷の少ない走行時、4気筒のうち2気筒を休止させる自動気筒休止システム「アクティブシリンダーマネジメント(ACT)」が採用される。JC08モード燃費は19.9km/リッター。
1.4リッターTSIエンジンには、負荷の少ない走行時、4気筒のうち2気筒を休止させる自動気筒休止システム「アクティブシリンダーマネジメント(ACT)」が採用される。JC08モード燃費は19.9km/リッター。 拡大
ホイールベースの延長により、リアシートのレッグルームは15mm拡大された。
ホイールベースの延長により、リアシートのレッグルームは15mm拡大された。 拡大

■新開発のTSIエンジンで全車エコカー減税対象に

新型ゴルフの登場に併せて、パワートレインも一新されている。“ダウンサイジングコンセプト”、すなわち、高性能・高効率を誇る小排気量のエンジンとして、ゴルフに用意されたのは、1.2リッターと1.4リッターのTSI(=直噴ターボ)エンジン。

1.2 TSIエンジンは、最高出力105ps、最大トルク17.8kgmの数字こそ変わらないが、メカニズムはSOHCからDOHCに変更され、最大トルクの発生回転数が100rpm低回転側にシフト、より扱いやすい性格となった。

一方、1.4 TSIは新設計のエンジンで、最高出力140ps、最大トルク25.5kgmを達成する一方、負荷が低いときに4気筒のうち2気筒が休止する「アクティブシリンダーマネージメント(ACT)」を採用、さらに効率を高めている。

組み合わされるトランスミッションはいずれもデュアルクラッチの7段DSG。ブルーモーションテクノロジー(アイドリングストップ&ブレーキエネルギー回生システム)の採用やボディーの軽量化などと相まって、JC08モード燃費は1.2 TSI搭載モデルで21.0km/リッター、1.4 TSI搭載モデルで19.9km/リッターを実現し、全車エコカー減税(100%減税)対象となっている。

荷室容量は30リッター拡大され380リッターから最大1270リッターを確保。新たに可変フロアが採用され、床高を100mm下げることが可能となった。
荷室容量は30リッター拡大され380リッターから最大1270リッターを確保。新たに可変フロアが採用され、床高を100mm下げることが可能となった。 拡大
「ゴルフTSIトレンドライン」
「ゴルフTSIトレンドライン」 拡大
新型「ゴルフ」は、時速30km未満で走行中の場合、前方車両との衝突の危険を検知すると、自動的にブレーキをかけて危険を回避する「シティエマージェンシーブレーキ」を採用したほか、ミリ波レーダーを採用したプリクラッシュブレーキシステム「Front Assist Plus」が標準で搭載される。
新型「ゴルフ」は、時速30km未満で走行中の場合、前方車両との衝突の危険を検知すると、自動的にブレーキをかけて危険を回避する「シティエマージェンシーブレーキ」を採用したほか、ミリ波レーダーを採用したプリクラッシュブレーキシステム「Front Assist Plus」が標準で搭載される。 拡大

■自動緊急ブレーキなど安全装備が充実

安全装備の充実も新型ゴルフの特徴だ。エントリーモデルの「up!」で話題になった「シティエマージェンシーブレーキ」に加えて、衝突被害を軽減するプリクラッシュブレーキを標準装着。また、フロントガラス上部のカメラにより車線逸脱を監視するレーンキープアシストシステムや前車追従機能付きのクルーズコントロールであるアダプティブクルーズコントロールを標準またはオプションで用意している。

新型ゴルフには3つのグレードが用意される。1.2 TSIエンジンを搭載するエントリーグレードが「TSIトレンドライン」で249万円。ゴルフTSIトレンドラインにアダプティブクルーズコントロールやリアビューカメラ、16インチアルミホイール、フロントフォグランプなどを追加した「TSIコンフォートライン」が269万円。1.4 TSIエンジンを搭載し、17インチアルミホイールやレーンキープアシストシステム、アダプティブクルーズコントロールなどが標準装着となる最上級グレード「TSIハイライン」が299万円である。

(文=生方聡/写真=webCG)

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