メルセデスは“ヤングアットハート”で勝負【ジュネーブショー2012】
2012.03.07 自動車ニュース【ジュネーブショー2012】ヤングアットハートで勝負に出るメルセデス・ベンツ
2012年3月6日に開幕したジュネーブショー。その前夜祭で、メルセデス・ベンツはプレミアム・コンパクト市場に本気でアタックすることを高らかに宣言した。
前夜祭の主役は、翌日にワールドプレミアを控えた新型「Aクラス」。ライバルに比べるとユーザー層の高齢化が著しいのが悩みの(?)メルセデス・ベンツは、このAクラスで思い切った若返りを図るつもりなのだろう。プレゼンテーションのゲストとしてサッカー選手を招いたり、DJがポップな音楽を流したりと、とにかくカジュアルな演出が目立つのだ。いつもおしゃれなディーター・ツェッチェさん(ダイムラーAG会長)も、この日はノータイでのスピーチだった。
クルマもおしゃれ感重視。独自の衝突安全性能やら、EV化、燃料電池化など、真面目なお題目のために背が高かった従来のAクラスとはまったく違って、低くてスタイリッシュ。サイドビューは「CLSクラス」ばりにデコラティブだ。びっくりしたのは昨年の上海モーターショーで出展した「コンセプトA」にかなり忠実なこと。ダイヤモンドをちりばめたようなフロントグリルはデザインコンセプトのためだけのものかと思いきや、市販車にも採用している。
若者を意識しているのは、iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ(!?)とでも言わんばかりに、スマートフォン対応を声高にうたっていることにも表れている。今どきはそんなの当たり前な感じがしなくもないが、プレゼンではCOMANDシステムを通してSiri(iPhoneに搭載される音声コントロールシステム)を使うムービーを紹介したり、専用アプリを開発し無償提供すると発表したりと、力の入れ具合はハンパじゃない。とにかく、「若者の心をつかむためには何でもやりまっせ」と気合が入りまくりなのだ。
今回展示されていた3台はどれもスポーティーな装いだったが、中央の1台はengineered by AMG。バンパー下部やヘッドライトのリング、インテリアのステッチなどに赤をあしらって、ひときわアグレッシブに見せている。サスペンションもAMGが開発しているようだが、FFのAMGっていったいどんな走りなのだろうと想像をかき立てられる。
MINIが席巻し、フォロワーが続々と登場しているプレミアム・コンパクトカーは成長が見込める数少ない市場として今や大激戦区。ここで成功しなきゃプレミアム・ブランドとしての明日はないぐらいの勢いなのだが、果たしてメルセデス・ベンツはもくろみ通り新型Aクラスでスマッシュヒットを飛ばせるんだろうか? どこかオジサマの若作り感が漂う面もあるが、メルセデス・ブランドがもつ絶大な信頼感と隙のない造りこみで、いい位置に食い込んでいきそうな気がするのだった。
(文と写真=石井昌道)
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