新型フェラーリ「F12ベルリネッタ」登場

2012.03.02 自動車ニュース

新型フェラーリ「F12ベルリネッタ」登場

2012年2月29日、伊フェラーリは「599」に代わる新たなフラッグシップ「F12ベルリネッタ」の概要を、ワールドプレミアとなるジュネーブモーターショーに先駆け、公式ウェブサイトで公開した。

■引き締まったフラッグシップ

1996年デビューの「550マラネロ」以来、V型12気筒エンジンをフロントに搭載したフェラーリの上級モデルは、「フェラーリ・フォー」を除いては排気量を表す数字を車名に冠していた。その慣習にのっとり、事前情報では新たなフラッグシップは「F620」あるいは「F620GT」になると囁(ささや)かれていたが、予想に反して気筒数にちなんだと思われる、ごくシンプルな「F12ベルリネッタ」の名を冠して登場した。

「F12ベルリネッタ」のスタイリングは、創業間もないころからフェラーリを手がけてきたピニンファリーナと、フェラーリ・スタイリングセンターのコラボレーションにより行われた。ボディーサイズは先代となる「599」よりホイールベースが30mm短縮されて2720mmとなり、全長は47mm短い4618mm、全幅は20mm狭い1942mm、全高は63mm低い1273mmとなった。

エンジンの搭載位置や着座位置を下げたことで重心は低くなり、リアオーバーハングを短縮し、反対にノーズはエンジンの冷却対策もあって長くなったため、プロポーションはいっそうスポーティーになった。またフロントフェンダーからドアにかけて大きくえぐられたサイドビュー(単なるデザインではなく、空力にも貢献している)、往年の「250GTO」や「275GTB」あたりを思わせる盛り上がったリアフェンダーやリアエンドのリップ、ちょうど1年早くデビューした「フェラーリ・フォー」に似た顔つきなど、より彫刻的でアグレッシブな造形によって、寸法以上に引き締まった印象を受ける。

やはり創業当時から協力関係にあるスカリエッティが手がけたシャシーは、アルミニウム製の角パイプを主体とするスペースフレームで、ボディーシェルもアルミ製。部分によって12種類ものアルミ素材を使い分け、また新たな工法を取り入れることによって、ボディーのコンパクト化と合わせて車重は1525kgと「599」に比べ70kgの軽量化を達成。同時に車体剛性は20%向上したという。

また前後重量配分は46:54という理想的な数値を実現した。なお、ボディーサイズは縮小したものの、フラウ社製のレザー張りのインテリアやラゲッジルームは「599」と同等のスペースを確保しているという。

新しいボディーは、空力性能も大幅に向上している。CFD(数値流体力学)を用いたシミュレーションと膨大な量の風洞実験の結果、ダウンフォースは200km/h走行時で123kgと「599」比で76%も向上。いっぽうドラッグは減少し、Cd値は0.299となっている。

■740psのV12を搭載

エンジンは基本的に「フェラーリ・フォー」用と同じ65度V12、自然吸気の直噴DOHC6262ccだが、圧縮比は13.5に高められ、リッターあたり118psとなる最高出力740ps(「599」は620ps、「フェラーリ・フォー」は660ps)までハイチューンされている。
永遠のライバルであるランボルギーニの、昨年デビューしたフラッグシップ「アヴェンタドールLP700-4」の700psは上回るだろうと予想されていたが、フェラーリのほうが排気量が少々小さいにもかかわらず40psのアドバンテージを稼ぎ出したわけだ。最大トルクは70.3kgmという強大な値だが、その80%をわずか2500rpmで発生、そこから8700rpmのレブリミットまで怒濤(どとう)のような加速を見せるという。

目覚ましいパワーアップのいっぽうで、この新しいエンジンと軽量化、空力性能の向上など車両全体の改良によって、燃費は「599」に比べて30%削減、またCO2排出量も350g/kmに抑えられているそうだ。

クロースレシオを持つデュアルクラッチの「F1トランスミッション」は、電子制御ディファレンシャルの「E-Diff」と一体化されており、1964年デビューの「275GTB」以来のフロントエンジン・ベルリネッタの伝統で、後車軸の直前に位置するトランスアクスル方式を採用している。

足まわりは「599」で採用された「SCM」(磁性流体力学式サスペンション・コントロール・システム)をさらに進化させ、ブレーキはカーボン・セラミックの最新版である「CCM3」を導入。またフロントブレーキの温度が上昇すると空気で冷やすアクティブ・ブレーキ・クーリングも採用された。もちろん、前述したE-Diff(電子制御ディファレンシャル)やF1-Trac(電子制御トラクション・コントロール)、ハイパフォーマンスABSといった従来から採用されている統合制御システムも備わる。

フェラーリの持てる最新技術をすべて投入し、1psあたり2.1kg弱という圧倒的なパワー・ウェイト・レシオを誇る「F12ベルリネッタ」のパフォーマンスは、最高速度が340km/h、0-100km/h加速が3.1秒。「599」の330km/h、3.7秒より当然ながら向上しているが、さらにハンドリングの改善や制動力の向上によって、「フィオラノ」のテストコースにおけるラップタイムは1分23秒と「599」より3秒5も短縮。まごうかたなき史上最速のロードゴーイング・フェラーリであると豪語している。

(文=沼田 亨)

「フェラーリF12ベルリネッタ」
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