トヨタがハリアーを10年ぶりにモデルチェンジ

2013.11.13 自動車ニュース webCG 編集部
「トヨタ・ハリアー」
「トヨタ・ハリアー」
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トヨタが「ハリアー」を10年ぶりにモデルチェンジ

トヨタ自動車は2013年11月13日、新型「ハリアー」を発表した。

 
ボディーカラーは、メーカーオプションの「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン」。
ボディーカラーは、メーカーオプションの「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン」。
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「ハリアーPREMIUM“Advanced Package”」(ガソリン車)のインテリア。内装色はブラック。
「ハリアーPREMIUM“Advanced Package”」(ガソリン車)のインテリア。内装色はブラック。
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「ハリアーPREMIUM“Advanced Package”」(ガソリン車)の後席。シート表皮はファブリック(上級)+合成皮革。
「ハリアーPREMIUM“Advanced Package”」(ガソリン車)の後席。シート表皮はファブリック(上級)+合成皮革。
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■国内専用車へ

実に10年ぶりのモデルチェンジとなる新型(通算3代目)は、「レクサスRX」の“バッジエンジニアリング車”から、国内市場専用車へと路線を改めた。開発に当たっては、「革新」「先進」「高級」「ハイコストパフォーマンス」といった以前からのハリアーらしさを継承したうえで、「ハリアーは20代から60代までと幅広いお客さまに支持されているが、他の車種に比べて20代が多い」(チーフエンジニアの有元真人氏)という実情を踏まえたうえで、若い消費者への訴求も重視したという。

エクステリアのデザインテーマは「エレガント・ヴェロシティー」というもの。ヴェロシティー(velocity)には「速さ」や「速力」という意味がある。長いフロントオーバーハングと短いリアオーバーハングという“インバランス”なプロポーションを採用することによって躍動感を表現し、同時に車両のショルダー部に通した水平的な軸と前傾したクオーターピラー(Dピラー)で、ハリアーならではの流れるようなスピード感を演出したという。

ボディーサイズは全長4720×全幅1835×全高1690mm。従来型と比較すると、順に15×10×20mm(全高については、アンテナを除外したルーフパネル同士の比較)小型化された。トヨタによれば、その理由は、日本国内での使い勝手の良さを考慮したため、とのこと。最小回転半径は、従来型より0.4m小さな5.3m(ガソリンFF車の場合)とされた。

ボディーサイズが小さくなり、ホイールベースについても従来型より55mm短くなっているが、室内空間は従来型以上のゆとりが確保されているとうたわれる。例えば、後席のニールーム(ひざ前空間)は47mmも拡大されている。これは前後席間の距離を12mm広げ、前席の背もたれの形状を見直すことで獲得した。また、ラゲッジルーム容量は17リッター拡大の456リッターとされた。併せて床下に大型の収納スペースを設けることで、荷室の実用性を向上させた。

 
荷室のフロアには金属調のレールが付き質感が演出される。
荷室のフロアには金属調のレールが付き質感が演出される。
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2.5リッターハイブリッドシステム。総出力は197ps。
2.5リッターハイブリッドシステム。総出力は197ps。 拡大
2リッターガソリン自然吸気エンジンは151psと19.7kgmを発生する。
2リッターガソリン自然吸気エンジンは151psと19.7kgmを発生する。
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「ハリアーPREMIUM」(ハイブリッド車)。ボディカラーはメーカーオプションの「ホワイトパールクリスタルシャイン」。
「ハリアーPREMIUM」(ハイブリッド車)。ボディカラーはメーカーオプションの「ホワイトパールクリスタルシャイン」。 拡大

■2.5リッターハイブリッドと2リッターガソリンの2機種を設定

パワーユニットには2.5リッターハイブリッドシステム(システム最高出力197ps)と、2リッターのガソリン自然吸気(最高出力151ps)の2機種が設定される。ハイブリッド車は全車が4WD、ガソリン車についてはFF車と4WD車が用意される。JC08モード燃費はハイブリッド車が21.4~21.8km/リッター、ガソリン車が14.8(4WD車)~16.0km/リッター(FF車)。

ハイブリッド車のパワーユニットは、2.5リッターアトキンソンサイクルエンジン(2AR-FXE型:152ps)にハイブリッドシステムの「THS II」(フロントモーター:143ps)、および電気式4WDシステム「E-Four」(リアモーター:68ps)を組み合わせたもの。前後輪間に機械的なつながりはなく、E-Four用のリアモーターが後輪を独立して駆動する。加速性能は3リッタークラスのガソリン車と同等という。また、モーターのトルクを制御して車体の揺れ(ピッチング)を抑制し、フラットな乗り心地をもたらす「ばね上制振制御」が「プリウスα」などに続いて採用されている。

一方、ガソリンエンジンには吸気バルブのリフト量を連続的に変化させる「バルブマチック」機構や、吸排気バルブのリフトタイミングを制御する「Dual VVT-i」が採用され、2.4リッターなみの加速性能を備える。また、トヨタ車で初めてエアコンに蓄冷エバポレーターが搭載され、アイドリングストップ時でも冷気が送風されるようになった。

ガソリン車向けの4WDシステムについては、従来のフルタイム式から、「ダイナミックトルクコントロール4WD」と呼ばれる電子制御カップリング式に変更された。通常の走行では事実上FF車として走り、燃費効率を重視する一方、発進時や滑りやすい路面では最適な駆動力を後輪に配分するようになっている。

サスペンション形式は前がマクファーソンストラットで、後ろがダブルウィッシュボーン(従来型はストラット)。大入力に対しては高い減衰力を維持しながら、ゴツゴツした路面など小さく速い入力に対しては減衰力を低下させ、突き上げの少ない快適な乗り心地を実現するために「FADショックアブソーバー」が採用された(FADとはFrequency Adaptive Dampingの略。「振動数感応」の意)。

 
「ハリアーPREMIUM」(ガソリン車)のインテリア。シート表皮はアイボリーのファブリック(上級)+合成皮革。
「ハリアーPREMIUM」(ガソリン車)のインテリア。シート表皮はアイボリーのファブリック(上級)+合成皮革。 拡大
「ハリアーPREMIUM」(ハイブリッド車)。
「ハリアーPREMIUM」(ハイブリッド車)。 拡大
発表会では俳優の佐藤浩市さんが登場。トークショーが行われた。
発表会では俳優の佐藤浩市さんが登場。トークショーが行われた。
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写真右から、開発を率いたチーフエンジニアの有元真人さん、俳優の佐藤浩市さん、デザイン部のサイモン・ハンフリーズさん。
写真右から、開発を率いたチーフエンジニアの有元真人さん、俳優の佐藤浩市さん、デザイン部のサイモン・ハンフリーズさん。
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■充実した安全装備

充実した安全装備も、新型ハリアーの見どころだ。衝突を事前に察知し、衝突被害を軽減する「プリクラッシュセーフティシステム」については、「クラウン」などと同じ最新のものが搭載される。これに加えて、「左右確認サポート」(トヨタ初)付きの「パノラミックビューモニター」が最上級グレード「PREMIUM“Advanced Package”」に搭載される。これは、車両を上から見下ろしたような映像をナビ画面に表示したうえで、駐車場や見通しの悪い場所からの発進時に、側方から現れる人やクルマなどを検知して知らせるもの。
また、道路上の白線をカメラで認識し、ドライバーがウインカー操作を行わずに車線を逸脱する可能性がある場合、ブザーとディスプレイ表示でドライバーに注意をうながし、同時に電動パワーステアリングを制御してドライバーの操舵(そうだ)をサポートする「レーンディパーチャーアラート」(LDA)も「PREMIUM」以上の上級グレードに搭載する。

価格は以下のとおり。月販目標台数は2500台。トヨタの高岡工場(愛知県豊田市)で生産される。

<ガソリンFF車>
・ハリアーGRAND:272万円
・ハリアーELEGANCE:280万円
・ハリアーPREMIUM:305万円
・ハリアーPREMIUM“Advanced Package”:360万円
<ガソリン4WD車>
・ハリアーGRAND:290万9000円
・ハリアーELEGANCE:298万9000円
・ハリアーPREMIUM:323万9000円
・ハリアーPREMIUM“Advanced Package”:378万9000円
<ハイブリッド車>
・ハリアーGRAND:361万円
・ハリアーELEGANCE:367万円
・ハリアーPREMIUM:392万円
・ハリアーPREMIUM“Advanced Package”:447万円

(webCG)

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